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20060705 危機を機会に

 北朝鮮がミサイル発射実験を行った。数週間ほど前からその準備が伝えられていたが、少し忘れかけていた。実験をするとは思っていなかったので驚いた。北朝鮮の行為に対して日本国政府$${^{*1}}$$は厳しい対応をとることが必要であると判断し、即刻に具体的な措置を実施することを決めた。

 実際に日本国の安全保障上どういった危機があるのかなかなか想像できない。北朝鮮が日本を侵略する理由$${^{*2}}$$は何かあるのだろうか。怨恨、復讐だけで行動する可能性はあるのか。米国との取引のためだけに日本を侵略することがあるのだろうか。北朝鮮の武器輸出$${^{*3}}$$によって巡り巡ってテロなどの危険性が出てくるのだろうか。まぁ、これなどは日本の安全保障だけではなく、世界全体の話になってくる。それとも他人は常に理詰めで行動するわけではない、何をしでかすか分からないから「危機」と考えるのか。国際世論は北朝鮮に対してミサイル開発を止めろと言ってきた。それに対して北朝鮮は「日本や米国は兵器の開発を行っている。同様に我々が自主権の範囲で行うのが何故悪い」と主張している。やくざが「警察や自衛官は鉄砲を持っている$${^{*4}}$$のに、どうして我々が持ってはいけないのか」と主張するようでもある。

 このミサイル発射実験の事実自体は大した危機ではないだろう。実験が成功か失敗かは他国にとって本質的な問題ではないような気がする。今回失敗したからといって金輪際、侵略できないということはない。日本の危機は「今回の北朝鮮の危機」ではない。この危機に便乗して何かを進めようとすることが危機だろう。誰かが「危機」を「機会」にするのである。米国は五年前の同時多発テロ事件$${^{*5}}$$をきっかけに国内外に様々な行動を実施した。歴史は繰り返される。かっては日本の真珠湾攻撃$${^{*6}}$$をきっかけにして日中戦争に参戦し最終的にはそれまでハワイ$${^{*7}}$$$${^{*8}}$$までであった太平洋の覇権を日本にまで拡大して、今日に至っている。

 日本国政府も今回の危機を利用して憲法改正$${^{*9}}$$などに弾みをつけるかも知れない。危機を煽るために「7・5北朝鮮ミサイル危機」は北朝鮮の思惑通りに「技術的」成果も得たのではないかという見解に変わってくる可能性もある。政府の微妙な変化を逃さないことと冷静な思考とを常に心掛けることが肝要であろう。

*1 首相官邸ホームページ
*2 20050709 ガスタンク爆発
*3 NHK週刊こどもニュース:今週の大はてな2006
*4 20000623 拳銃
*5 米国同時多発テロ事件
*6 真珠湾攻撃
*7 20000815 沖縄の廃藩置県
*8 20000913 星条旗の星
*9 20060505 日本国憲法

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