20040601 筆の誤り
書道家も字を間違えるらしい。弘法$${^{*1}}$$にも筆の誤りと言うぐらいだから、間違えて当然と言えば当然かも知れない。ついつい凡人は、大家というものはその道において過ちなどないと考えがちである。篆刻$${^{*2}}$$に関する本を読んでいたら、ある書道家が堂々と間違った字を書いて日展$${^{*3}}$$などに出品していたと書いてあった。
篆書$${^{*4}}$$で書かれたある作品中の字が駄目らしい。例えば「雲崗$${^{*5}}$$」の「崗」の字の「山」がはっきり斜めに書かれている$${^{*6}}$$。「崗」の上の「山」は山岳の意味だから真っ直ぐになってないと駄目らしい。
「微$${^{*7}}$$」「端$${^{*8}}$$」などの「山」の部分は篆書になると斜めになる。山の形ではなく草の芽の形を表している。「而」の部分は根っこである。水分を得て植物が発芽して根を張るさまをかたどっている。山とは関係ない。「微」の真ん中の部分も「端」の旁が変化したものだ。
従って岡と同じ意味の「崗」の山の部分は山そのものを意味しているので、斜めにするのは完全に間違っているということである。そもそも山が崩れていては山でなくなる。「崩$${^{*9}}$$」という字の篆書でも「山」は傾いていない。
表面的な理解では書き表せないとは、漢字というのはなんと奥が深いのだろう。
*1 20020828 高橋泥舟
*2 篆刻網Online
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*6 文化勲章受章作家展ギャラリ-
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