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20040428 変圧器の巻き数

 電線に流れる電気には直流と交流の二種類がある$${^{*1}}$$。直流は電気が流れる方向が固定されている。交流は時間とともに電気の流れる方向が変化する。一般には直流は電池から流れ出る電気、交流は家庭用の電源を指す場合が多い。

 コイルに電気を流すと磁石の作用が現れる$${^{*2}}$$。電気を沢山流せば強い磁石$${^{*3}}$$になる。電気の量と方向とが一定である直流を流すと、一定の磁力$${^{*4}}$$を持った電磁石になる。交流を流せば電流の方向と量とが常に変化しているため磁力がそれに伴って変化する電磁石になる。

 一方、コイルの近くで磁力が変化すると自然とそのコイルに電気が発生する。これを電磁誘導$${^{*5}}$$という。イギリスのファラデー$${^{*6}}$$という人が発見した。ここで変化する磁力は電磁石によるものでも普通の磁石によるものでも同じことが起きる。電磁石に交流を流せば磁力は変化する。普通の磁石は磁力が一定なので、その磁石をコイルに近づけたり遠ざけたりすればコイルにとって磁力が変化したことになる。コイルに発生する電気は磁力の変化に応じて変わるので、発生する電気も交流である。

 コイルに発生する電気の電圧はコイルの巻き数に比例する。前述の電磁石とコイルとを組み合わせて電磁石に交流を流せばコイルにはその巻き数に応じた電圧の電気が発生する。つまり電圧を変換することができるのだ。これを応用したのが変圧器である$${^{*7}}$$。交流は変圧器を使えば自在に電圧を変えることができる。直流だと磁力が一定なのでコイルには電気が発生しない。直流は変圧器では電圧を簡単に変えることができない。この差が家庭用電源に直流ではなく交流が普及$${^{*8}}$$するきっかけとなった。

 電磁石も電気が発生するコイルも同じ導線などを巻いたコイルである。変圧器では磁力を発生させるコイルと電気が発生するコイルとのそれぞれの巻き数の比で変換される電圧が決まる。例えば1:10の巻き線比の変圧器に100Vをつなげれば1000Vの電圧が出てくる。10:1ならば10Vになる。巻き線の巻く回数の比だけである$${^{*9}}$$。

 比だけで決まるのでそれぞれの巻き数は多くても少なくても変圧器で変換できる電圧は同じ筈である。極端に言えば1回巻き:10回巻きでも1000Vが出るはずだが、現実にはそれぞれ何100回も巻いてある。なぜ「1回巻き:10回巻き」ではだめなのか。

 変圧器の中では磁力を発生させるコイルと電気が発生するコイルとは直接導通していない。コイルで作られた磁力は空間を伝達してもう一方のコイルに伝わる。この時、巻き数が少ないと何か不都合があるのだろうか。

 巻き数が少ないと磁力が十分に相手のコイルに吸収されにくいと考えればいいのかもしれない。巻き数が少なければコイルが小さくなるので磁力が洩れ易そうである。ならば平べったい線で包めば良さそうであるが、実際そんな変圧器は見たこともない。巻き数を計算する式$${^{*10}}$$がある。発生させる磁力$${^{*11}}$$を決めると巻き数が決まるが、この磁力はどのように決められるのだろうか。

*1 TEPCO : 電気・電力辞典 | 電流
*2 電磁石づくり/電磁石の原理
*3 2-3-2 電流がつくる磁界
*4 量子の世界を見る 外村彰 3. 電子の波で見るミクロの世界
*5 ゴロピカ工房 電磁誘導
*6 Faraday, Michael (1791-1867) -- from Eric Weisstein's World of Scientific Biography
*7 GO!GO!デンキーズのエネルギー探検!
*8 20020103 電源周波数
*9 インダクタの種類と特徴/インダクタって何だろう
*10 トランス屋Webサイトにようこそ 捲線回数の設計について
*11 実験の理論と原理 磁束密度

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