見出し画像

20060429 花札(2)

 花札の絵柄$${^{*1}}$$は独特な雰囲気を醸し出している$${^{*2}}$$。中でも幼少の頃から気になっていた札がある。雨のカス札$${^{*3}}$$だ。カス札とは花しか描かれてない札だが、雨のカス札の場合は、何やら巴太鼓と稲妻のような物$${^{*4}}$$が書かれている。

 ずらっと札を並べてみると$${^{*5}}$$この雨のカス札だけが異彩を放っている。札には必ず草木が描かれている。十一月の雨の札にも$${^{*6}}$$が描かれているが、カス札には柳が一切描かれていない。四十八枚中唯一の例外である。

 そもそも十一月、十二月の札は特異な札$${^{*7}}$$らしい。絵柄と季節とが合っていない$${^{*8}}$$。旧暦の十一月では既に冬なので、蛙は冬眠$${^{*9}}$$している。十二月の札に描かれている桐は冬ではなく春に花を咲かせる$${^{*10}}$$。その中で十一月の雨のカス$${^{*11}}$$は更に不思議な図案である。

 なぜ雨のカス札には、柳が描かれていないか。鬼札の名残ではないかと言う説$${^{*7}}$$がある。鬼札とはトランプのジョーカーみたいなものらしい。ジョーカーだから他の札から独立しているはずだが、花札では一緒になってしまっている。地方札$${^{*12}}$$と呼ばれる、見るからに古い絵柄の札には鬼その物が描かれている「鬼札$${^{*13}}$$」が入っている場合が多い。

 花札の雨のカス札$${^{*4}}$$に赤色が使われているのは、この鬼札の流れを汲んでいるからではないだろうか。そして赤と黒との模様は何を表しているか。地方札の一つである越後花$${^{*14}}$$の絵柄$${^{*15}}$$を見ていると、カス札の赤と黒との起源が何となく見えてくる。黒い部分は「柳」ではないだろうか。柳を黒という色だけで表している。他の三枚の札を見れば黒が柳$${^{*16}}$$であるということは想像できる。そして縦の赤い筋状の部分は赤短冊、上下の赤い部分は鬼札に因んで赤く塗っただけだろう。そして線で描かれているのは$${^{*17}}$$、巴太鼓$${^{*18}}$$、稲妻$${^{*19}}$$、雨それと雷神の手である。雷神$${^{*20}}$$が太鼓を落として、それを拾おうとしているところを描いているのである。

*1 20060428 花札
*2 The Cards
*3 花札ゲーム 現代版こいこいの遊び方
*4 hanafuda.jpg
*5 Palaun Hanahuda: The Cards, the rules, and the yaks
*6 シダレヤナギ(枝垂れ柳)
*7 ギャラリー花札 花札12ケ月
*8 教えてエラいひと!!/トランプ以外についても教えて!! ~花札、株札、サイコロなど~
*9 花札の絵柄 aafuda11.jpg
*10 キリ(桐)
*11 博物館-花札-
*12 ギャラリー花札 地方札
*13 ギャラリー花札 大二 任天堂
*14 (六)京都のカルタ屋による全国の「地方札」の制作
*15 地方札・越後花
*16 大阪屋製菓
*17 hanafuda.jpg
*18 tomoedaiko.jpg
*19 20030913 雷
*20 風神雷神図屏風

いいなと思ったら応援しよう!