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20000304 塩化ナトリウム

 $${^{*1}}$$の辛みはどこからくるのだろう。塩は水や唾液に溶けると塩素イオンとナトリウムイオンに分解する。塩辛$${^{*2}}$$いと思う成分は塩素イオン$${^{*3}}$$なのかナトリウムイオン$${^{*4}}$$なのか。それとも両方あって初めて「塩辛い$${^{*5}}$$」と感じるのだろうか。
 食品の栄養成分表示$${^{*6}}$$ではナトリウムしか書いてないのでナトリウムが辛さの元なのだろうか。

 小学生の頃、理科の時間に「NaCl塩化ナトリウム$${^{*7}}$$」が普通に家庭で使う食塩のことであることを実感さようとして、先生が舐めてみたい者に塩化ナトリウムを配った。
 薬包紙$${^{*8}}$$の白い結晶を舐めてみると舌がピリピリする。塩を舐めたときと全然違う。

「先生、ものすごい味がする」
「そうでしょう。塩そのものですからね」
「なんかピリピリする」
「えっ?そんなはずは・・・。あっ、塩化アンモニウムNH4Cl$${^{*9}}$$」
 先生は薬瓶のラベルを見て叫んだ。

 水酸化ナトリウムNaOH$${^{*10}}$$と間違えなくてよかったと思う。形が全然違うから間違いにくいと言えば間違いにくい。水酸化ナトリウムは劇薬$${^{*11}}$$だから舌がピリピリどころでは済まないだろう。

 この人体実験から分かるように塩素イオンではなくナトリウムイオンが塩辛さの元$${^{*12}}$$のようである。ナトリウムによく似たカリウム$${^{*13}}$$の塩化物である塩化カリウムKCl$${^{*14}}$$は少し味が違う$${^{*15}}$$様だが、塩化アンモニウムのようなものすごい味にはならないようだ。

 塩分の摂り過ぎ$${^{*16}}$$は体に良くないと言われるので、安心して塩味を楽しめる代用の「塩」はできないのだろうか。甘味$${^{*17}}$$はサッカリンやチクロ$${^{*18}}$$など昔から砂糖の代用品がある。砂糖はなくても生きていけるが、塩分は絶対必要な成分なので舌を騙すことは出来ない仕組みになっているのかも知れない。

*1 塩事業センター
*2 イカの塩辛
*3 塩の働き
*4 塩化ナトリウムの精製
*5 塩味とナトリウムの代謝
*6 食品の栄養表示基準制度をご存知ですか?
*7 NaCl外観
*8 薬包紙って知っている?
*9 試験管の中に雪を降らそう
*10 水酸化ナトリウム 水酸化カリウム
*11 劇物その1
*12 味と香りの研究所【味と香りの豆知識】
*13 alkali
*14 塩化カリウム
*15 塩味とナトリウムの代謝
*16 発掘!あるある大事典 第57回『塩』
*17 甘味生活
*18 コーラ四季報 甘味料概論 第3回 四大人工甘味料編

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