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20070105 生々乳

 「生々乳」の読み方が何となく判ってきた。「なまなまにゅう」と読みたくなるが、おそらく「せいせいにゅう」だろう。「生乳」ならば「なまちち」か。「生々$${^{*1}}$$」で次々と物が生ずる様、生長し育つ様、となる。「生々乳」ならば、意味は「育ち盛りの乳房$${^{*2}}$$」ぐらいか。

 全く違う。毒薬$${^{*3}}$$の名称である。明治時代の毒物劇物の取り扱いを記した法律$${^{*4}}$$に出てくる薬品の名前だ。五年ほど前に毒薬の昔の呼び名について記事にした$${^{*5}}$$ことがある。この時は「生々乳」の読み方も、どんな物質かも判らなかった。

 熟語の読みは音訓を揃えるという大原則$${^{*6}}$$からすれば、「なまなまにゅう」ではなく「せいせいにゅう」に決まっている。「生々」という熟語を知らなかったため読み方が判らなくなっていたのだ。

 ではどんな物質なのか。「天然の二硫化砒素(鶏冠石$${^{*7}}$$・雄黄$${^{*8}}$$)を含んだ鉱物の昇華物」という記述$${^{*9}}$$を見つけた。砒素$${^{*10}}$$が入っているのでとにかく毒なのだろう。

 それにしても次々と乳が出てくる毒とは一体どんな毒なのか。毒の色が白か肌色をしているのか。服用すると乳をほとばしらせながら死に至るのか。鍾乳石$${^{*11}}$$と混同して薬害がしばしば発生していたという。鍾乳石$${^{*12}}$$に似た形で産出するから「乳」なのか。

*1 せいせい 0 【生生】 - goo 辞書
*2 20040807 乳房雲
*3 毒薬等の適正な保管管理等の徹底について
*4 本文|近代デジタルライブラリー 官民必携諸罰則提要
*5 20020305 毒物劇物
*6 20011201 気付
*7 「鶏冠石の毒性」(医薬品情報21)
  *8 薬膳情報.net-中薬(雄黄)
*9 “中国医学”を知る
*10 20020626 ○○の素
*11 20020731 龍河洞
*12 鍾乳石の種類

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