中学受験と少年野球
この前、Twitterでこんなことを言っている人を見かけた。
「今の都内の中学受験はひと昔前の少年野球のような状態だ」
都内というか特に文京区の話だが、気づいたら多くの小学生が受験塾に通っていて、
「〇〇の塾に通っているんだ」とか
「中学校受験するんだ」とか言うと
なんとなく身分が保証される感じもあり、実際受験に成功したお兄さんやお姉さんを見ると大変魅力的に見える。
これはひと昔の少年野球…というか私の経験からいうと、「40年前のロード・トゥ・甲子園」に似ている。
かく言う私もその競争に身を投じた1人であった。これは15年前の話だが、
小6のとき、「中学に入ったら野球部に入りたい」と言ったときの周りの反応といえば、
「今から?」
「中学からはじめるんだ。大変だよ」
みたいな感じであった。
当時の少年野球界での
「中学から始める」は
今の中学受験界での
「小5の夏から塾に通い始める」
みたいなことであったのだ。
高校に入ると、
「隣のクラスに高校から野球を始める奴がいる」
と噂になっていた。
「高校から野球を始める」は
「小6の夏から塾に通い始める」
という状態に酷似しており、相当な才能がないと活躍は難しいとされていた。
時代を40年遡り、私の親の世代までもどると男児のほとんどは少年時代に野球をやっていたという経験を持っている。
2023年現在、中学受験のホットスポットである文京区のある学校では、6年の2月1日、クラスの9割が受験で学校を休むという状況である。
地元の強豪校の4番でエースのお兄さんに憧れて野球を始めた少年のように、
子どもは、友だちや周りに影響されて、なんとなく受験をしたくなるものである。
受験をしたいというと大人から歓迎される。同時に親はほとんどの子には訪れない華やかな受験生生活を妄想し、期待する。
しかし、多くの場合にはそうはならない。
タケシくんの親が、
「ちゃんとやれないならやめればいい。お前がやりたいと言ったんだ。」
と言う行為は、
「中学受験生のタケシ」から
「タケシ」
になることを強要することになる。
もちろん、ただのタケシでいいのだ。何の問題もない。
しかし、今の状況で子どもはそう思えるかどうかは甚だ疑問である。