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採用面接はミーティングだと思っている話

最近、立て続けに知人から「採用面接を担当することになったので、コツを教えてくれ」という相談を受けた。

振り返ってみると、採用領域をメイン事業とする企業に勤めていた時期があったり、前職や現職でも採用面接をそれなりに多くの数担当していたりと、ひとより少し多く採用面接に関わる人生を歩んできたと思う。

相談を受けて話をする中でだいぶ頭も整理されたので、せっかくなので自分自身が採用面接をどう捉えているか・何を心がけているかといったことを書き残しておこうと思う。

なお、TIPS的なものではなく、どのように考えるべきかという抽象的な話です。

採用プロセスのゴール

面接の話の前に、採用プロセスのゴールについて。

大前提、採用プロセスのゴールは「候補者のニーズ」と「採用企業のニーズ」が交わっているか?について互いに的確な判断することだと思っています。

これが達成できていない状態で採用・入社する判断をすると、入社後に早期に退職することになってしまったりして、候補者としても時間の無駄になってしまうし、企業としても採用コストを無駄に消費することになるでしょう。

逆に、これが達成できていない状態で採用・入社しない判断をした場合も、候補者にとっては自身に合う仕事を逃してしまう可能性があるし、企業にとっても自社に合う人材を逃してしまう可能性があって、うれしくないです。

採用プロセスの構造

採用プロセスのゴールを、「候補者のニーズ」と「採用企業のニーズ」が交わっているか?について互いに的確な判断することとするならば、採用プロセス全体を通してやるべきことは判断できるだけの情報を集めることだと思います。

集めた、

・候補者のニーズ
・採用企業のニーズ

の情報をインプットに、

・ニーズが交わっているかを判断する

というプロセスを経て、合否というアウトプットを出力する。

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これが採用の構造かなと思います。
(上図は採用企業側からみた場合のプロセスフロー)

そのため、採用という仕事を成功させるには、「候補者のニーズ」と「採用企業のニーズ」の情報を正しく得ることがとても重要になります。

採用プロセスは情報非対称性を削減するためのもの

採用プロセスのスタート時点において、「候補者のニーズ」「採用企業のニーズ」の情報は互いに非対称性が大きく、不足している状態です。

「候補者のニーズ」については企業側はあまり情報を持ってなくて、候補者側に情報が多い状態だと思います。

逆に、「採用企業のニーズ」については企業側に情報が多くて、候補者側に情報が少ない状態でしょう。

的確な判断を下すためには、まず互いの情報非対称性を削減する必要があります。

そのために存在しているのが、書類選考や採用面接や体験入社といったような、採用プロセスです。

よい採用面接とは、効率よく情報非対称性を削減できる面接だと考えます。

採用面接とミーティングはやるべきことが同じ

採用面接と、みなさんが日々社内関係者やクライアントとやっているミーティングは、やるべきことは全く同じだと思っています。

ミーティングでは、共通のゴール認識のもと、より良い判断を下すために異なる情報を持っている面々で意見を交わして、判断を下すのに十分な情報を集め(情報の非対称性を解消し)、最終的な判断を下していると思います。

採用面接も、やるべきことはなんら変わらないです。

逆に望ましくないのは、有効な情報の交換が少ない状態です。

例えば、用意されたリスト(企業側のニーズに合うかを判定するための質問だけで構成されている)に沿った質問を次々に繰り出していくだけになってしまうような面接です。

採用企業 : あなたの○○な経験について教えてください。
候補者 : はい。○○なプロジェクトで△△なことがあり、✗✗しました。
採用企業 : そのプロジェクトでどんな問題があり、どのように乗り越えましたか?
候補者 : ○○の問題があり、△△のように考え、✗✗のようにしたところ、うまくいきました。
採用企業 : ありがとうございます。では次の質問に...
候補者 : (今のはなにを意図した質問だったんだろう・・・)

こういう感じです。
普段のミーティングでこういうことはやらないと思いますが、採用面接ではなぜかよくみるシーン。

こういう面接をしてしまう一番の問題点は、候補者からみて情報非対称性の削減が進みにくく、候補者が入社したいかどうかの判断が下しにくくなってしまうことです。

また、インタラクティブな情報の交換が発生しないことで、実は企業側も有効な情報を得にくくなっていて、判断を下しにくくなっていると思います。

じゃあどうすればいいのか?というと、一番簡単なのは、候補者の回答に対してどう解釈・判断したのか、フィードバックをすることです。

ミーティングなので率直に話す

ミーティングのように採用面接をやる場合、例えば候補者の回答を聞いて自社に合わなさそうだと思ったら、どのような点についてそう思ったか、その場で率直にフィードバックします。

伝えて、「ご自身ではどう思いますか?」と聞くのです。

すると、候補者から「いや、私は少し認識が違って」とか「そういうことなら、別のエピソードがあって」いったような情報が得られて、そこから更にディスカッションに発展する場合があります。

逆に、自社に合いそうだなと思ったらそのポイントも伝えます。

すると、「そういうことであれば、実はこういう話もあって」と追加の情報を提供してもらえることも多いです。

形式的に質問していくだけよりも多くの情報が得られます。

あまり候補者をお客様扱いや受験者扱いしすぎず、「お互いにとって良い選択を一緒に考えましょう!」というノリで、共通のゴールに向かって議論を交わす仲間のように考えてやる、つまりミーティングのようにやるのが、お互いにとって一番効率よく情報の非対称性を削減し、的確な判断を下しやすくなるやり方なんじゃないかと思っています。

候補者の方はつい「合格しよう」というスタンスになってしまうところだと思いますが、もっと身軽にミーティングのような心持ちで採用面接に臨んでいただけたときのほうが、お互いにとって良い結果を得やすいと感じています。

採用面接の難しさの正体

そもそも採用面接をうまくやることは、多くの人にとっては難しいと思います。

自社と候補者の互いのニーズが一致するかを判断するためには、情報として、
・自社のニーズが何であるかの詳細
・候補者が知りたいであろう情報を提供できるだけの自社、他社、その他知識
が必要です。

また、スキルとして、
・候補者が自社のニーズに合致するかを判断するための情報を引き出す質問力
・候補者のニーズを引き出し、それに合った的確な自社の情報を提供するプレゼン力
を備えることは必須になります。

このうち、下記のふたつは仕組みである程度カバーできることが多いかなと思います。

・自社のニーズが何であるかの詳細
→例 : 求人票によってカバー
・候補者が自社のニーズに合致するかを判断できるだけの、情報を引き出す質問力
→例 : 質問リストによってカバー

難しいのが、のこりのふたつです。

ふたつをまとめると「候補者が知りたいであろう情報を探り当てて、的確に情報提供すること」みたいな感じになるのですが、これ、自社のことだけ知っていてもできません。そこが難しさの正体です。

当たり前ですが、候補者は他人なので、自分とは違う目線を持っています。おそらく、これまでに候補者が経験してきた会社・キャリア・環境等々というメガネを通して自社のことをみています。

雑な例えですが、2万人規模の大企業で働いている人が100人規模のスタートアップの面接を受けている状況なら、候補者のデフォルトは自分が勤めている大企業の環境やキャリア等となっていて、それとどこが違うのかという見方をしています

候補者自身で思いつく点は質問してもらえると思いますが、想像できていないギャップはこちらから伝える必要があります。

しかし、伝えようにも、自分が似た境遇で働いたことがなければなかなか何を伝えるべきか思いつかないでしょう。

こればっかりは、色々な境遇を経験することでしかカバーができないんじゃないかと思っています。

単独で難しいならチームでやればいいじゃない

ということで、採用面接をうまくやることは多くの人にとって難しいと思っているのですが、これはあくまで単独でやる場合の話です。

会社に多様な人がいればカバーし合うことで目的を達することができます。
採用面接のどこかのタイミングで、候補者と近いキャリアの人をアサインするのがよいんじゃないかなと思います。

ちなみに、同様の理屈で世の中のマジョリティ側に位置する条件の採用ポジションにおいては、採用面接の難易度が下がります。

候補者の想像と実際の状況のギャップが小さくなりやすいので、こちらから多くの情報を提供しなくても問題ないことが多いからです。

例えば、SaaSビジネス x セールス人員の増加でドライブできるビジネス状況 x セールス組織の一員としての採用とかであれば、経験者も多く想像と実態のギャップが小さくなりやすいので、採用面接の難易度も比較的低くなるでしょう。

まとめ

・採用プロセスのゴールは、「候補者のニーズ」と「採用企業のニーズ」が交わっているか?について互いに的確な判断すること
・採用プロセスは、「候補者のニーズ」と「採用企業のニーズ」に関する情報非対称性を削減するためにある
・よい採用面接とは、効率よく情報非対称性を削減できる面接
・採用面接は「お互いにとって良い選択を一緒に考えましょう!」というミーティングのつもりでやるとよい
・採用面接はそもそも難しいので、チームでうまくやれるように設計する

自分はこんな感じでやっている、というまとめでした。
張り切って採用活動がんばっていくぞ!


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