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闇の中、ウラングラスの輝き
連休中の「地方出張デート」で、わざわざ何度も行ってる観光地の高山なんかに寄らなくても、とは思うんだけど、都会の隠花植物だって、人並みにゴールデンウィーク気分を味わいたいじゃない。
そんな感じで、出張デートで高山付近に行ったら、いつも立ち寄るのが宮川朝市です。
宮川朝市の一番の見所は、何と言っても店番してるおばちゃんにお婆ちゃん達ですね。
洒落たお店の抜けちゃたマネキンさんの姿を見るのも楽しいけれど、彼女たちも可愛いよ~。
お弁当広げて朝御飯してるおばあちゃんとか、商売そっちのけでカッパノベルス読んでるおばちゃんとかもう最高。
そして宮川朝市通りが始まる鍛冶橋には、お互いが向き合うように立っている「足長像」と「手長像」が印象的。
この像は嘉永元年に名工谷口与鹿が高山屋台の恵比寿台にとりつけたものを模したものだとか。
手長像を初めて見たときは、布袋大黒とオランウータンのキメラかと思った程その姿が衝撃的でグロテスクでした。そういえば外人さんがしきりにこの像をカメラに収めていたっけ、、。
手長足長・・・ 元は中国の仙人なんだそうです。
「足長」は海の幸を得るために脚が長くなり、「手長」は山の幸を得るために手が長く特化した。
この二人が「夫婦」だというのは、いくらなんでも谷口与鹿さん「そら無茶でっせ。」と言いたくなるけど(笑)。
第一、そんな身体だと夫婦の営みが、、えーっっとあーやってこーやって、、。
あっ意外といいかも!セックスは創意工夫です(笑)。
ところでみなさんは、ウランガラスってご存じですか?
高山の「木の国館」では、このウランガラスにブラックライトを当てて、黄緑色の蛍光を発色させて展示しています。、、その光はホントに「怪しい」って感じ。
何というのか、そう、「江戸川乱歩」色!!
実を言うと、私はこのウランガラスにもう一度「出張デート」先で出会う事になります。
ウランガラス、、ゴージャスな見た目に反して、受け取る感覚はチープ、、その光の安っぽさや、危ない感に辟易して目を逸らしそうになるけど、印象自体が強いから、怖々、又、見てみたくなるという感じの不思議さ。
名前の通り、ウランガラスって、ガラスの着色剤として微量のウランを混ぜたガラス製品なんですね。
普通の状態で見ていても、このウランのお陰で、うっすらと黄色や緑色をしてるんです。
昔は、私たちが持っているウランの知識とは、まったく別の視点で、着色料としてウランが利用されていたわけです。
ウランが発見されたのは、今から約200年ほど前。1830年代からヨーロッパで製造が始まって、ボヘミア地方を中心に、食器など各種のウラン着色のガラス製品が大量に作られたそうです。
勿論、今ではアメリカなんかで僅かな量が生産されてる状態で、滅多にお目にかかれない代物になってるわけなんだけど。
このウランガラスのチープさに絡まるようにしてあるのが、「放射能」っていうイメージ。
「放射能」について、私たち日本人には特に強いタブー観がありますよね。
実際には、ウランガラスの衰退は、放射能への忌避感以上にガラスの着色技術の発達によって運命づけられていたようなもののようですが、、。
でもウランガラスに含まれるウランは微量だそうで、健康には全く影響がないって話です。
興味がある人は「はまって」みたらどうかと、、コレクションの対象としては穴場じゃん?と、かねがね思ってたんですけど、あったんですよ、これが。
しかも今回の出張デートのお相手さんの所に、、。
私達のプレイを、飾り棚の上から黄緑色の蛍光を放ちながら、静かに見守っていたのは、そのウランガラス、、。
今回ご登場願う殿方様は、せっかく高山方面まで来たので、「Aさん」の匿名じゃなく、谷口与鹿にあやかって「与鹿さん」と呼ぶことにします。
これからご紹介する与鹿さんのビザールプレイにかける創意と工夫、じっくり味わってください。
私はかなりびびってましたが、、。
ところで、プレイにそのまま使えるような「離れ」を持ってる田舎の豪家へ出向くのはそんなに珍しい事じゃありませんが、ゴールデンウィークの最中に、家人を旅行に出させて、自分だけがデリバリーSM嬢と楽しむというケースになると、それはそのプレイ内容を含めて、色々な意味で「特殊」なことが多いんです。
感覚的にはジキルとハイドさんの「ハイドさん」の方に拉致られてるみたいな(笑)。
離れの中の一室に案内されると、すでにそこには沢山の合羽が床に敷かれていました。
その他、拘束のために使うベルトや手錠が何本もあリました。
その時の私の格好は、上半身は体にぴったりと貼り付いたブラウス、下半身には深くスリットの入ったミニスカート、スカートの中は心もとないほど小さなパンティだけ。
エロいといえなくもないけれど、私的には結構普通の格好です、、通常なら入浴シャワーを経てプレイ用のコスを着用してから事に及ぶのですが、与鹿さんにはそういう手順は必要ないようです。
それでも衝立の影で服を脱ぐ私をチラチラと見ていたのは、おそらく私がニューハーフだからでしょう。
「どれでも好きな合羽を着てくれればいいよ。でも最低3枚は重ね着してね、一番上にはあの黒色のビニール合羽を着てくれるともっといい」と言われました。
どれでも好きな物を選んで良いと言われれば、プレイに対する執着も少なく自由って感じだけど、実質3枚以上合羽を重ね着、さらに一番上は黒色指定なんだから、ちっとも「自由」じゃない上に、今回のお相手の気難しさがひしひしと伝わってきます。
「あっ、これは契約にあったようなライトSMって感じじゃないな」って、すぐに判って、緊張しながら服を脱ぎ終えると「合羽を着る前に手にこれをかぶせるよ。しかし肌が柔らかいな、、」と、与鹿さんにビニール袋をかぶせられ、さらにその上からゴム手袋をはめられました。
すぐに手の中にジワッと汗がにじむのがわかりました。
同じように脚にも、つま先から太ももが入る大きなビニール袋をそれぞれにかぶされ、それをビニールテープで固定されたのです。
「どれを最初に着る?」
私は、汗で薄いビニールが密着する感触を思い出し、こういう人は多分、ああいう感覚が好きなんだろうと考えて、透明で薄い素材でできている合羽を指差し「これにします」と言いました。
「いいよ、それでいい。それはゴミ袋のような薄さだけど、多少引っ張ったりしたぐらいでは破れない素材でできててね。試しに思いっきり引っ張ってごらん。」
その通りにしてみたら少し伸びるだけで、一切破れることはありませんでした。
ビニール袋で覆われた手足をなんとか動かし、透明ビニール合羽を着込みました。
すぐに全身に合羽が密着して汗が滲みはじめます。
「フードもかぶってもらうけど、このフードは鼻の穴しか開いてないからね。先にキミの希望通り、口にビニールテープを貼ってあげるよ」と与鹿さんが言い、私の口を黒色のビニールテープで厳重に塞いでしまいました。
勿論、私は「口にビニールテープ」なんて事を希望した覚えはありませんが、すでにプレイは始まっていて、私は与鹿さんがいうような「拘束好きのオトコオンナ」を演じる他ないわけです。
契約の「ライトSM」とは、要するに「本番がない」という意味にしか過ぎなかったようです。
「よし、フードをかぶせてやろうか。」
ゆっくりフードが私の頭を覆って行きます。
私は、とまどいながらビニール越しに与鹿さんの動きを見ているしかありません。
フードも透明なビニール素材でできているので、視界を奪われることはありませんでしたが、唯一開いている鼻の穴が小さいため、かなり呼吸が苦しい状況でした。
「このフードは私の自作で2枚組みになってるんだ。もう1枚のフードもかぶせるとさらに息苦しくなる」と言って与鹿さんは、私の顔を眺めながら2枚目のフードをかぶせ、その上から幅広のビニールテープで、きつく目と鼻以外の部分を巻きつけ始めます。
「・・・・・んぅぅ・・・」
「いいなぁ並の女よりそそるよ」
ビニールテープが顔面を圧迫して来ます。
しかも小さな呼吸穴しか開いていないフードを2枚もかぶせられているので、かなり息苦しい・・そんな私を与鹿さんは、嬉しそう見ています。
「さあ、後はこの2つの合羽を重ね着してくれ。と言ってもかなり動きづらい状態だろうから、手伝ってあげるよ」と言われ、真っ黒のビニール合羽とズボンを2枚着せられました。
全身から汗が噴き出し合羽が素肌に密着しています。
呼吸もかなり苦しい・・・私はゴム手袋を嵌められた指でフードを引っ張るようにして、なんとか空気が呼吸穴から入ってくるように工夫していました。
そんな私の様子を見て与鹿さんは、「大丈夫、すぐに呼吸は慣れる。大きく息を吐いて、ゆっくりと息を吸うといい」と声をかけてきました。
言われるままに試してみると、ほんの少し呼吸が楽になった気がしました。
「これを履いてくれ」と、今度は黒いゴム長靴を渡されました。
このゴム長靴も与鹿さんの自作品らしく、伸縮性が高い素材でできており、引っ張るようにしてそれに足を入れていくと、つま先から太ももまで完全にゴム長靴で締め付けられるようになりました。
私にとってはお馴染みのラバーなんですが、与鹿さんの差し出すこれは、まったく雰囲気が違う物でした。
ファッションとは縁遠い代わりに、ゴムとしての禍々しい魅力に溢れています。
「いよいよ完成だな。最後にこれをつけよう。」
そう言いながら与鹿さんは、私の合羽ズボンのベルト通しに、頑丈そうな黒革製のベルトを通しました。
「どうだい、こういう合羽を着せられた感想は?と言っても話すことはできなかったな」と与鹿さんは興奮したように話しかけて来ます。
相変わらず、私は指でフードを引っ張るようにして、なんとか空気が呼吸穴から入ってくるようにし続けていました。
「ここに胡座の体勢で座ってくれ。」
その通りにすると、与鹿さんは手に持った長めの革ベルトで胡座に組んだ私の足をきつく固定します。
「足を動かしてみて」と言われましたので、足をばたばたさせようとしたのですが、胡座に組まれた両足はびくとも動かせません。
「仕上げはこれだ。」
与鹿さんから金属製の手錠を見せられました。
それは特殊な手錠で、手首に嵌める部分がリストバンドほどの幅広になっていて、手首を痛めないように内側にはゴムが貼り付けられていました。
「面白い手錠だろ。並のSMクラブとかではあまりお目にかからないはずだ。何しろ実用本位だからね。嵌められた人間が手錠の痛みを感じないようにこんな形にしたんだよ。逆に言うと何時間も嵌め続けさせれるってことだけどね。」
そう言い終ると、その手錠を私の腰ベルトの背中側に持っていき、南京錠でベルトと手錠を固定してしまいました。
「どうかね、合羽を重ね着した感触は?今、鼻の穴以外は、すべてビニール製の合羽で密封されてるわけなんだが、、君はゴムが好きなんだろう?でもこれは序の口だよ。さあ自分で背中に固定している手錠を嵌めてくれるかね。私はこれを一度嵌めたら、しばらくは、その後手の手錠を外さないつもりでいる。これからどうするか、君が自分で決めるんだ。」
そう言い終ると与鹿さんはじっと私を見つめたまま何も言わないのです。
デリバリーSMと言っても、今回の相手は「会員候補」の方ですから、それなりに身元はしっかりしていて、こんなプレイでも滅多な事は起きないのは判ってはいるのですが、主導権が完全に相手にある場合には不安がつきまといます。
勿論、ここまできて、いまさら止めることはできません。
私だけでなくクラブの信用にもかかわりますから。
手探りでまずは左手を背中に回し手錠を嵌めました。
なかなかロックがかからないので、強めに手錠を押さえるようにするとガチリッと音がして、手首を痛めず、同時に隙間なくロックがかかりました。
残った右手は、まだビニールフードの中に空気が入るように指でフードを引っ張るようにしたままです。
そうしているのは、この状態で右手にも手錠を嵌めると、息ができなくなるのではないかと不安でたまらなかったからです。
本当にこういったディープなプレイヤーに出会うと、受け身のままで、自分がどこまでやれるのか見極めるのが難しいのです。
逆に言えばお客様の方も、私の事を、どこまで遊べる相手なのか瀬踏みをしている状況なのですが。
与鹿さんは何も言いません。
ふぅぅぅという私の呼吸音だけが部屋に響いています。
私は決心して右手をゆっくりと背中に回しました。
もがき続けて懇願する私に向かって「そんなに喜ぶなんて意外だよ。だって4分もビニール袋で窒息させられるなんて聞いたら、普通は逃げ出すはずなのに、君は嬉しさに身を震わせているじゃないか。君は、私がいつか出会いたいと願っていた通りの窒息Mだ、本当に嬉しいよ。」と与鹿さんが言います。
窒息Mって何?聞いてない!
んんっんぐっと(違います一度解いて下さい)と言いました。
実を言うとこれは半分演技で、半分は本気だったんです。
プレイの中でも「窒息」は危険度が高いんです。
でも、これだけの器具を自分で用意が出来て、クラブの本筋のルート紹介の人なら「窒息」に熟達してる筈、なら、お相手のロールにちゃんとのっからないと思ったんです。
この意識配分が、プロのM女として適切なのかどうかよく判りませんが、基本Sの私がMをやると、いつもこうなります。
そんな私に構わず、与鹿さんの話が続きます。
「君の早く責めを受けたい気持ちは分かるが、いきなり4分もビニール袋をかぶるのは止めておいた方が良いね。少しずつ・・そうだなある程度の時間から、15秒づつビニールをかぶる時間を長くして慣れさせた方がいい。君の体が大事だからね。」
妙に優しい口調が、さらに私を不安にさせます。
私が嫌がっているのを分かった上で、意地悪く言っているのではなく、完全に私が責めを望んでいると信じきっている口調だからです。
確かに私の売りは「サドでもマゾなニューハーフ女王様」だし、ラバー・呼吸制御系OKな人なんですが、「窒息M」と正面切って言われれば、それはそうではないような、、。
「少し拘束のパターンを変えてみよう」
そう言って与鹿さんは私の頭部からビニールフードを脱がしました。
久々に新鮮な空気を大量に吸い込むことができました。
ビニールフードが私の呼吸をどれだけ大きく制御していたかを感じさせられた瞬間でもありました。
「目を閉じてっ」
与鹿さんの言葉や様子の変化に不安を感じ、何か抵抗するとさらに過酷な責めを受けさせられる気がして黙って命令に従うことにしました。
両目にベッタリとビニールテープが貼りつけられ目の前が真っ暗になりました。
目蓋を開けようとしましたが、ビニールテープに阻まれてしまい動かすことができません。
オトコなのにオンナに見えるこの「顔」が売りなのに、、と思うまもなく、「そのままジッとして」という命令が下りました。
ゆっくりと硬いヘルメットのような全頭マスクをかぶせられ、首元でギュッと締め付けられる感触がありました。
これも初めての感触です。
クラブで使う全頭マスクの中には、ファッションではなくハードボンデージ用のものもありますが、ここまで固くはありません。
さらに両手を握り締めた状態で、その上からテープでグルグル巻きにされます。
一方で、足の拘束が解かれて、足全体が開放感に包まれましたが、痺れていてすぐに立ち上がることができない状態でした。
「ほら立って、少しだけ移動しよう」
与鹿さんに体を支えられるようにして視界を奪われたまま数歩移動すると、ベンチのような長椅子に寝転がされました。
固い革製のベンチのようでひんやりとした感触があります。
「両足を真っ直ぐに伸ばして。」
言われるままに従うとベンチに取れ付けられているらしい革ベルトで、足首・膝下・膝上・太ももをガッチリと締め付けられるように拘束されました。
両足はベンチと完全に固定されてしまいビクとも動かすことができません。
「これから手錠を外すよ。特製の革拘束具で拘束し直すから、手は後に回したままにしてること。」
「3分間を超える窒息責めは、革拘束具を使って体の動きを完全に封じておかないと、暴れまわったりして関節を痛めたりするかも知れないんでね。これには素人だとかプロだとかは関係ないんだ。」と言われました。
一瞬ですが、両手の拘束が解けました。
与鹿さんの「責め」の興奮を、こちらの主導に奪還し高めるチャンスです。
別に先ほどの「素人だとかプロだとか」の言葉に意地として反応したわけではなく、オカネを戴いている限りは、なんの反応もない、ただの人形であってはいけないのです。
「じゃあ、手錠を外すぞ」
ガチャリと音がして長時間嵌められていた手錠が外されました。
自由になった両手を使って、激しい勢いで、、上半身をくねらせながら頭にかぶらされてしまった硬いヘルメットのような全頭マスクを脱ごうとしました。
そうすることで与鹿さんの加虐の炎をより大きくすることが出来るからです。
「おい、手は後のままだと言っただろ!」
与鹿さんの叱るような声が響きます。
私は必死に全頭マスクを脱ごうとし続けます。
勿論、身体をよじりくねらせながらです。
全頭マスクの内側に響く私の叫び声は、妖しいくぐもり声として与鹿さんに届いている筈です。
でも当然ながら、両拳を握り締めた状態でテープでグルグル巻きにされている状態では、全頭マスクを外すことは出来ません。
何か、首の辺りで固定されているらしく、強引に押し上げるように脱ごうとしても首に痛みが走るだけで全頭マスクは一切脱げる余地はありませんでした。
「手を後ろにしろと言ってるだろ!」
再び与鹿さんの怒声が響きました。
かなりヒステリックに叫んでいるので、どこまでが興奮なのか、演技上の怒りなのか?微妙な部分で、それが私を不安にさせました。
私は全頭マスクを剥がそうとする演技から、今度はその動きを足の拘束を解くことに変更しましたが、実際こちらの方の解除も(演技どころではなく)やはり拳をグルグル巻きにされている手では、革ベルトさえ外すことができませんでした。
私に残された手段は、手を後に回さずに、芋虫のようにのたうち回って抵抗の姿勢を示すことだけでした。
バシィィィッッ!
大きな音とともに私の上半身に痛みが走りました。
その何かの正体は目を封じられているので分からなかったのですが、平鞭らしきもので叩かれたようです。
でも、その痛みで少し安心しました。
与鹿さんはちゃんと鞭打ちの強度を加減をしています。
というかこのようなプレイに、おそろしく場慣れしてるようです。
これなら私も事故を気にしないでプレイに本気で突っ込んでいけそうです。
「言うことをきかないと悪い子はおしおきだ!」
「おぅ、手を後に回せ!」
「まだ抵抗するのか、もう1発だっ!」
バッチィッ、今度は股間を叩かれました。
「どうだ、まだ股間に鞭を喰らいたいか?そんなになっても急所は急所なんだろう?何発でも言うことをきくまで叩いてやるぞっ」
バチィッ!ビシッ!バシッ!
んぐぅぅっっ!!!(止めて下さい、痛い、言う通りにします。)
私は与鹿さんの命令に従う他は無く、両手を後に回し両手を後に回し腕組みするように重ねました。
「よしよし、素直になったね。少し、生意気な子をおしおきする気分も味わえて楽しかったよ。」
与鹿さんは、自ら私の頭部を覆った全頭マスクを剥がしてくれました。
この時は、これから普通のプレイが展開されるものだと安心していたのですが。
後で判った事ですが、与鹿さんは30センチぐらいの長さの頑丈な革でできている筒状の拘束具を用意していたようです。
筒の中は2つに仕切られているようで、それぞれの穴に右腕・左腕を通すようにと、与鹿さんに説明と指示を受けました。
目をテープで塞がれているので、与鹿さんが介助する形で右手・左手を穴の中に通します。
肘下から手首までがスッポリと拘束具の筒の中に収められてしまいました。
筒上の拘束具の外側には、両腕を束ねるように拘束するためのベルトが5本取り付けてあり、それを締め上げると両腕は後手に腕組みしている状態で束ね固く拘束される仕組みになっていたようです。
さらに筒の中から腕を抜けないように、それぞれの手首に筒の穴より大きいサイズの手錠を嵌められました。
万一、5本のベルトが緩んでしまっても、手錠が筒に引っ掛かり拘束が解けないように考えられているとの事、、、。
その上、その5本のベルトも絶対に緩まないように各ベルトは小さな南京錠でロックするという念のいれようです。
「どうかね、これで君の腕は絶対に後手の状態から動かせないだろう?」
起こされていた上半身もベンチに仰向けに寝かされ、腰、わき腹、胸、首をベンチに取り付けられている革ベルトで締め上げられ、ベンチに固定されてしました。
この拘束ベンチは、頭を乗せている部分だけが下に倒せる構造になっていて、与鹿さんが何か金具のようなものを押すとその部分が倒れ、私の頭だけがガクンと下に落ちそうになりました。
頭以外をすべてベンチに拘束されているので、頭だけが仰向けの状態で垂れ下がり逆さに部屋の床を見ているような体勢になっているようです。
もちろん私の目は塞がれているので、部屋の床は見えず真っ暗なままなんですが。
ややあって与鹿さんから、ベンチのこの部分だけが倒せるようにしてあるのは、窒息責めに使うビニール袋を頭にかぶせやすくするためだと聞かされました。
もう私には抗う術は全く残されていませんでした。
自ら手錠を嵌めた瞬間から、与鹿さんによって完全に計算された拘束を受け続けることが決まっていたようです。
あの瞬間が「踏み絵」の瞬間だったわけです。
いくらプロのSM嬢相手でも、こういった危険の伴うプレイを展開する場合には、プレイヤーの側にも、相手に対するそれなりの値踏みが必要だったのでしょう。
それが私の「手錠を自ら掛ける」行為だったわけです。
私の方も、プレイという枠組みを超えて、「もう耐え続けるしかない」と、窒息の苦しさにさえ、もがくことすらできない拘束を施された状態では、すべてを与鹿さんに任せて受け入れるしかないのだと思いました。
こういうお仕事を続けていると、少なからずこんな腹の括り方をしなければいけない場面があるのものです。
「ビニールフードは、かぶせない代わりに、この特製のビニール袋をかぶせてあげよう。自慢のアイテムだよ。これは非常に薄くて柔らかいビニールで作られていてね。君がわずかに息を吸っただけでも、すぐに君の鼻腔に密着して窒息させることができるようになっている。破こうとしても伸びるだけで絶対に穴が開いたりすることがないから、窒息責めには最適のアイテムなんだよ。」
勿論、私は何も答えることは出来ません。
もうすべての責めを受け入れるしかないのです。
無駄にもがいて体力を消耗しきってしまえば、いざと言うときの備えがなくなるので、動きをセーブしできるだけ呼吸を整えておくことにしました。
「すべての責めを受け入れる覚悟ができたようだね。まずは3分ちょい前でいくか、、我慢してもらうよ。」
ゆっくりと特製ビニール袋が頭にかぶせられようとしています。
不安な気持ちが働いて、無意識に後頭部をベンチに押し付けるようにして、ビニール袋をかぶされないように抵抗しようとしました。
ガタンッ!!突然、ベンチの頭を支えていた部分が倒れ、頭だけが宙に浮いている体勢になりました。
「いくら窒息Mの君でも長時間ビニール袋をかぶせられると思うと無意識に抵抗してしまうのは仕方ないことだね。私も経験があるが、これで自慰などをした時にはせいぜい1分ぐらいしかビニール袋をかぶり続けられない。密着が強すぎる。恐怖感がわくんだな。だからこのベンチはこんな風に改造してあるんだよ。これなら抵抗のしようがないだろ」
頭の先から首へと特製ビニール袋がかぶされていきます。
ビロードのような柔らかい感触が顔の表面を撫でていきます。
軽く息を吸うと、鼻の穴から汗や唾などが混ざり合ったような異臭がしました。
「いい匂いだろ、この特製ビニール袋には、今まで私に責め抜かれた奴隷達の汗や涎が染み付いてるからな。」
奴隷?実際にはそんな事はないにしても、そう言われるとそのような匂いがする気がしました。
そう言い終ると与鹿さんは、私の頭の先から首までを押さえつけるように撫でて、特製ビニール袋の中の空気を抜いてから、首元をゴム紐で軽く締め付けるように止めてしまいました。
窒息責めが開始されました。
早く時間が経つのを祈るしかありません。
ゆっくりと、浅く息を吸い込みます。
ペチョリ・・・いきなり特製ビニール袋が私の鼻腔に貼りつき、わずかな呼吸も許しません。
息が吸えなくても、息を吐いてしまうことになります。
ふぅぅぅ~と最小限の息を吐くようにしまたが、吐き出されました空気は首元から特製ビニール袋の外に漏れ出て行くだけです。
「息を吐くことはできても、ほとんど息を吸うことはできないだろ。ビニールが君の顔の形に沿って貼りついているぞ。いいなあぁ、独特だよ。オンナともオトコとも違う色気がある。」
ぐぅ(息ができない)
んぐぅっ!ぐむぅむぐぅぅっっ!声にはなりませんが、思わず「ビニール取って」と叫びました。
ねっとりとビニールが顔面に貼りつきます。
股間に差し込まれました責具をグリグリッ回され、激痛と窒息の苦しさにもだえながら、気を失いそうになったところで窒息責めから解放されました。
これから、4分間もビニール袋をかぶせられたまま耐えられるようになるまで、過酷な責めが繰り返される。
そんなことを私は受け入れ続けられるだろうか?このままプレイを放棄しちゃおうか?
そんな私の躊躇を尻目に、何度も窒息責めが繰り返されました。
けれど3分ベースの窒息責めを受けた続けたところで、ついに体がビクビクッと痙攣を起こしたようです。
そのたびに責めは中断され、再び窒息責めが再開されるのですが、そのうち体の痙攣が治まらないようになりました。
「どうやら、この責め方では目標の4分は君の限界だね。もう少し窒息の苦しみを紛らすように工夫が必要かな、、」
再び特製ビニール袋が私の頭にかぶせられました。
これまで、ここで窒息責めを受けたという奴隷達の汗と涎の残り香に私の汗が混ざり、特製ビニール袋はひどく臭い匂いがしました。
「いい匂いだろ、だんだんこの匂いが嗅ぎたくて嗅ぎたくて仕方なくなるよ。窒息奴隷はこの匂いを嗅ぐと興奮する生き物だからね」
再びゴム紐で密封されてしまいます。
不思議なことに、与鹿さんの言葉通りこの臭い匂いが嫌でなくなっていました。
むしろ媚薬のようにこの匂いを嗅ぐと興奮が高まって来るのです。
普段のセルフラバーボンデージの習慣の影響だと思います。
そして過酷な窒息責めを受け続けたおかげで、初めの2分程度は何事もなくジッと我慢できるようになっていました。
けれど、そこから先はやはり拷問のような過酷な責苦に変わるのです。
息苦しさに、身もだえが始まります。
ポトリ・・・突然顔面に熱い滴が落とされ、その熱さに身を捩ろうとしたが拘束されました。
体はわずかに震えるだけでした。
ポトッ・んぐぅぅ。ポトリ・んぐっ!!ポトリ・むぐっっ!!
「どうだね、顔面密封ロウソク責めだよ?私の特製ビニール袋は、この程度の熱では溶けたりしないからね、安心して顔面で蝋の熱さを楽しめばいい。」
ボタ、ボタ、ボタと容赦なくロウソクが私の顔面に垂れてきます。
んぐぅ(熱いょ~)んぐっんぐぅっ!!(止めてぇぇ止めてぇぇ)
あまりの熱さに後手に拘束された腕にも力が入ります。
しかし頑丈な拘束具は私の両腕を決して自由にはしません。
「、、もうすぐ3分経過だ。今度は顔面に付いたロウを取ってやろう」
バチィッ・・・・・顔面を鞭で叩かれました!。
んぐ~~~!!!(痛い)
ビチィッ・・・・・ロウソク責めの熱さなど比べものにならない痛みが顔面を襲いました。
冗談!!いくら手加減したからって顔は駄目っ!
顔はニューハーフの命なんだからっ!
ぐぅんむぅっっ(痛い止めてぇ。)
バチンッ、バチィッ、ビシィッ・・・・・部屋中に顔面を鞭で叩く音が響き渡っています。
実際には音ほどのダメージが加えられていないことは判っていても、顔面への鞭の精神的な圧迫感は凄いものです。
「ついに3分15秒経過だぞ。あと45秒だ、好きなだけもがいて呻いて窒息責めを楽しめんでくれたまえ」
鞭で叩かれるのが止まると、今度は恐ろしいほどの息苦しさが襲ってきました。
ベタッ・・・ビニールが鼻の穴を塞ぎます。
ぺトッ・・・何度を息を吸おうとしてもビニールがもの凄い速さで収縮し顔面に貼りつくのです。
あぐぅ!自分の大きな呻き声が部屋中に響いているのが判ります。
「あと10秒で・・・4分・・・」
与鹿さんの言葉が途切れるように聞こえました。
気付いた時にはビニール袋が外され、与鹿さんの覗き込むようにする顔が私の目の前にありました。
「よく私のために我慢したね。4分は無理だったが3分50秒もビニール袋をかぶり続けてくれた奴隷は君が初めてだ。」
優しく私の顔を撫でながら与鹿さんは話し続けます。
「君も相当長い時間窒息責めを受けたから、かなり体力を消耗しているはずだろうね。だが、もう少し頑張って私の願望を叶えてくれないか。それが終わったらゆっくりと休むといい。」
再び胡座に足をベルトで、両手を後手錠で拘束されました。
いくら抵抗しても無駄だと思ったので、素直に拘束を受け入れるしかありませんでした。
ゆっくりと頭の上から特製ビニール袋がかぶせられるのが、見えなくても匂いで分かるようになっていました。
ようするに「休憩」だったわけです。
与鹿さんが胡座拘束されている私の背中側に座り、足は私の胴を締めるように、両腕は私の首に回して抱きしめるような体勢をとっています。
「これまでの君の窒息している顔を見てて、もう私も我慢の限界なんだよ」
「今からどんなに君がもがいても4分間は完全窒息密封するよ。だが窒息責めを早く終わらせるチャンスもやろう。後手錠のまま私のをつかむんだ」
気が付くと、ビニール袋は外され、目に貼られていたテープもはがされていて眩しく感じました。
どのくらい時間が経ったのだろう・・・まだ呼吸が完全には整っていなことから数分程度なのかも知れない。
相変わらず胡座の体勢に後手錠のまま拘束され続けていました。
部屋の奥で冷蔵庫の中からジュースを取り出している与鹿さんの姿が見えました。
「気が付いたようだね。君は見事に私の願望を叶えてくれました。本当に凄いよ。感心した。」
その言葉を聞いて、ようやく窒息責めから解放されると安堵の気持ちが私の中に押し寄せました。
このプレイは私にはきつすぎる。
早く拘束も解いて欲しい・・・でも口はテープで塞がれたままだったので、その意志を伝えることはできませんでした。
「君も相当疲れたろ、少し寝て休息した方がいいな。拘束されたまま責め果てさせられ、眠りつく姿も私は好きなんだよ」
まだ解いてもらえない・・・これだけの責めに耐えたのは、与鹿さんに満足を与えた上で解放されたいためだったのに、与鹿さんは「まだやりたい」と言うのです。
「本契約分の5時間は拘束を解かないから。まだ、あと3時間もある。これからがもう1つの楽しみなんだよ。5時間もそんな体勢で拘束され続けていると、どんな呻き声を聞かせてくれるのか、どんなもがき方を見せてくれるのか・・・想像するだけで興奮する。」
抵抗する気力もなく私は再び目をテープで封じられました。
そして肘の上にも手錠が嵌められ腕の動きを完全に封じられました。
「私はこの手錠での拘束が気に入ってる。ロープの緊縛も楽しいが、絶対に解けない絶望感を味あわせるには金属の手錠が一番だな。胡座拘束のまま疲れ果てて眠りにつく姿も最高に私を興奮させてくれるしね」
3時間を少しでも楽に消化しようと、もう一度眠りたいと思ったのですが、関節の痛みと臭い匂いが気になって眠ることができませんでした。
ただ胡座拘束を施されたまま時間が経過するのを待ち続けるしかないというプレイ・・・・・普段からの継続的な従属関係が出来ているならまだしも、これは違う意味で苦痛でした。
そして肉体的にも関節が痛くて仕方がないのです。
後手錠で肘を絞るように拘束され、両手首も手錠を嵌められ、腰ベルトにつながれているので、腕のどの部分もまったく動かすことができません。
一体、何時間経ったのだろう・・・目も口も強力な粘着ビニールテープで塞がれているので時間を確認することができません。
関節の痛さから、かなりの時間が経っているはずと考えたかったのですが、こういう形で後手錠拘束を施されたこと自体が初めてなので、私の経験値からは関節の痛さで時間の経過を探ることはできませんでした。
「かなり拘束された感覚を楽しんでいるようだね。奴隷として拘束を施され被虐感を感じてみたいと思っていたんだろ。絶対にその拘束は解けないし、解かないから存分に楽むといいよ」
与鹿さんのこの言葉、そういう資質のある人には刺激的な内容なのでしょうが、私などには、その半分程度しか理解できません。
第一、これはあくまで金銭のかかったプレイに過ぎないのですから。
残りの半分は職業意識で埋めているのです。
しかし与鹿さんが解かないと言った限り、契約の時間が切れるまでどんなことがあっても解いてもらえないのだろうと思いました。
その事自体は契約違反ではありませんし、支払われる報酬額を考えると、あり得ない行為でもありません。
その覚悟はすでに今までの責めでできていました。
でも関節の痛みと臭い匂いが、辛過ぎたのです。
ですからこの頃には、逆に居直りさえ出てきて、どうせなら約束の時間まで、こういう形の完全拘束に身を任せて味わってみようとさえ思えてきました。
「どうやら、奴隷の自覚が芽生えてきたようだね」
私の心が読めるかのように与鹿さんの言葉が聞こえました。
「奴隷にはこれをかぶってもらおう。心配するな、窒息責め用じゃなくてただの全頭マスクだから鼻の穴は開いてる」
と言って私の頭にゆっくりとそのマスクをかぶせました。
元々、目をビニールテープで塞がれていたので何も見えなかったのが、全頭マスクをがぶらされるとさらに目の前が真っ暗になりました。
「よし、又、奴隷らしい格好になったぞ。テープで目を塞ぐだけじゃ、万が一取れてしまうと拘束の被虐感に身を任せている君も興冷めしてしまうだろしね。この全頭マスクは簡単には脱げないからその心配も無い。君専用の世界でもっとも小さな牢獄だよ。」
私の気持ちも少しずつ変化して来ました。
居直りというと職業としては語弊がありますが、どうせなら約束の時間までは完全な拘束を施されたいと願い始めていたのです。
日頃のラバーボンデージ体験が、この体験から得られる感覚を馴致させるのでしょう。
全頭マスクが頭全体を締め上げる感触は私にとってお馴染みのものだけれど、今回のこれはまた格別な感じがしていました。
また静かに時間が経過していきます・・・・・解けない手首を動かそうとして拘束感を楽しみました。
汗と唾液の匂いすら心地良くなっている。
臭い匂いから逃れられない拘束に酔っていたのかも知れません。
べったりと全身に貼りついた合羽の感触も楽しんでいました。
この気持ちの変化を利用して、被虐感をたっぷりと全身で味わっていたかったのですが、締め切った部屋の中ので合羽を着て胡座の体勢で拘束され続け、体力が急速に消耗していくのが自分でも分りました。
やっぱり拘束姿勢を変えて欲しかった・・・各関節がきしむように痛い・・・けれど、それを訴えるために言葉を発することすらできないのです。
また、いつの間にか眠ってしまったようでした。
しかし目覚めても何も状況に変化はなく、胡座に厳しく拘束されましたままです。
もう相当な時間が経っているはず・・・関節の痛みも気になりましたが、それ以上にほんの一瞬だけでいいから拘束を解いてもらい、自由に腕や足を動かしたくて仕方ありませんでした。
(一度だけ解いて下さぃ)という私の呻き声を聞いて与鹿さんが言いました。
「ぼちぼち、完全拘束の次の段階に進んだようですな。解いて欲しいのに解けない・・これからが本当の完全拘束を味わう時間の始まりですよ。まだ時間はたっぷりある、しっかりと悶えてくださいよ。」
その後、何度も呻いて悶えて懇願を繰り返したのですが、そのたびに与鹿さんからは「時間はたっぷりとある、ゆっくりと楽しめ」の言葉が繰り返されるだけでした。
私は、自ら捏造した被虐感を楽しむ余裕がなくなってきていました。
拘束を解いて欲しい・・・それが叶わないのなら、せめて今の時刻だけでも知りたい・・・そう考え出した時に、時間の経過を絶対に私に分からせないように全頭マスクをかぶせられたのでは?との考えがよぎりました。
けれど、そう考えたところで今の私にはどうすることもできないのです。
・できることは施された拘束に無意味に抗うだけ・
あまりにも長い時間が経過している。
同じ胡座の姿勢で拘束は続いている。
目をビニールテープで塞がれました上に全頭マスクをかぶせられ、真っ暗闇の中で過ごしている。
与鹿さんに言葉をかけられたのが何時間も前に思える。
与鹿さんが近くにいるはずだと思うのに、その気配が感じられない。
・・一体どうなっているのだろう・・誰もいないの?・・ずっとこのままなの?・・
不安でたまらなくなる。
けれど私は待つことしかできない。
完全手錠拘束を解くことはできないのだから・・
自分の中ではさらに長い時間が経過する。
あれからも何の変化もない。
暗闇と拘束されました私がいるだけ。
不安よりも、何も変化がおこらない状況に焦り、気がおかしくなりそうな感じがしました。
・・お願い・・いるなら何か言って下さい・・何でも言うことを聞きますから・・このまま暗闇で拘束されるのは耐えられない・・お願い・・
このままだと私は闇の中に溶けて消えてなくなってしまいます。
そんな私の様子を与鹿さんは、ブランデーを舐めながら息を殺して観察し続けていたのです。
それが与鹿さんのメインのプレイなのでした。
契約の時間が過ぎて、全ての戒めが解かれたとき、部屋の飾り棚に置かれたウラングラスがぼんやり怪しく光っているのが印象的でした。
追記 こういったプレイでの事故が結構あります。
専門知識と言ってはおかしいかも知れませんが、人間の身体に対するそれなりの知識や緊急時の対処の仕方などを、充分心得ておく必要がありますね。
それと信頼関係も。
私は子供の頃、一時期、磯野カツオ君のヘヤースタイルをしてた頃があります。
散髪屋さんにいくと、襟足の部分に剃刀の刃を当てて生え際を整えてくれるんですが、この時はいつも「散髪屋さんがその気になったらいつでも僕を殺せるんだろうな」とかボンヤリ考えてました。
考えてみれば、普通に生活していても、相手に自分の生死を握られているって事は一杯あるんですね。
・・飛行機とか電車とか船とかもそう。全部、信頼関係の中で成り立っています。
信頼関係、これ大切です。