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22.お金そのものに「価値」はない
「お金そのもの」は単なる紙や金属であり、大した価値はありません。加えて日本のお金は不換紙幣といい、その紙幣が示す金額が、金(金属の「きん」)との交換を保証されるものではありません。
普段は意識しませんが、「お金」の価値は、多くの人々が「お金はその同額のものと交換できる」と信じ込んでいてこそ発揮されるものです。
現在の「不換紙幣」は、各国政府がその価値を保証するからこそ、皆がその価値を「信じ込む」ことができているのであって、その政府の信用がなくなるとジンバブエドルのようなパニックに陥り、最悪の場合「ただの紙切れや金属片」になってしまいます(信用リスク)。
このように、お金そのものには価値がなく、「誰かの保証」や「利用するものの共通認識」によってお金が交換の手段として成り立っているのです。
日本最古の通貨と言われている和同開珎(一説では富本銭のほうが古いと言われている)を、スーパーに持って行っても何も買えないことからも、①誰の保証で、②共通認識があって、③物価上昇に弱いものであることがお分かりいただけるでしょう。
また、『おかねはつこうてなんぼ!』という表現も、「お金は使ったときに初めて価値が現れる」と言い換えれば、お金そのものに価値がないことがお分かりいただけると思います。
⬜︎お金の「種類」が増えている
一円・五円・十円・五十円・百円・千円・五千円・一万円…今は見ることがなくなった二千円…という話ではありません。
日本では、日本銀行が発券する紙幣「日本銀行券」と、日本政府の直轄施設である造幣局が製造する「硬貨」を合わせて「現金やお金」と呼びます。
ただし、現代社会において前述のような紙幣、硬貨はもはや「お金」の一部でしかなくなっているのが現実です。
政府の保障のある紙幣や通貨以外にも、物的貨幣である商品券や地域振興券などや、暗号資産(以前は仮想通貨)と呼ばれる「法定通貨と比較した場合強制通用力を持たず、特定の国家の裏付けのないもの」も登場しています。
(日本では、暗号資産(仮想通貨)に関する法律は2016年に成立し、2017年4月に施行され改正資金決済法第2条第5項で、「物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」又は「不特定の者を相手方として相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」と定義されました)。
そうはいっても、お金の大部分は「預金通貨」と呼ばれる銀行預金が占めていることには変わりなく、預金はお金の中でも政府や日銀以外が発行する唯一の法定通貨であり、銀行の貸出(信用創造)によって発行されています。