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第38話 多角的財務分析術❶ザイマニ式フレームワーク
ザイマニが提唱する総合的な財務優良企業を見つけるためのフレームワークについて解説するシリーズ(前編)です。
この文脈における総合的な財務優良企業とは、弱点(死角)が少なく、持続的な成長や企業価値向上を期待できる企業を指します。
本シリーズでは、そんな財務優良企業を見つけるにはどんな視点でどの指標を組み合わせて評価すべきか?を中心に解説します。具体的には、数多く存在する財務指標を以下の5つの視点に分類できると仮定し、各分析視点における実践的な分析手法を共有いたします▼
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多角的な分析が必要なシーン
例えばあなたが銀行の融資業務に従事しているとイメージして下さい。中小企業Xに融資を実行するか?また、実行するならいくらが限度額か?これらを判断したい場合、あなたならどの指標を重点的にチェックしますか?
また、個人投資家の立場で上場企業から有望銘柄を選定しているシーンを想像して下さい。この場面であなたがチェックすべき指標はどれでしょうか?ぜひ一度、考えてみて下さい。
いかがでしょうか?前者は流動比率や自己資本比率などの財務安全性に関する指標、後者ならPERやPBRなど株価の割安性に関する指標を挙げる方が多いのではないでしょうか?
これは以下で提案する多角的財務分析術とは異なる"集約的"または"一面的"な分析手法と言えます。上記で紹介した5つの視点のどれかに特化して分析を行うイメージです。
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誤解のないようお伝えしたいのですが、集約的分析術が多角的なそれよりも劣っている訳ではありません。目的に応じて迅速に分析を完了できるなど、集約的な分析の方が優れている点も数多く存在します。
例えば、銀行員は融資額(元本)に利息をプラスして返済してもらうことがビジネスモデル上の基本となるため、財務安全性(倒産危険度の評価)に注力するのが合理的です。逆に言えば、成長性や割安性への関心は低くても問題になることは少ないでしょう。
また、投資家なら大半の方は売買による利益を目的としています。その利益額を最大化するためにはやはり現在の株価の割安性こそが関心事であり、事業が効率的に回っているか?等に関する優先順位は相対的に低いでしょう。
つまり、特定の業務目的などに即した分析視点が存在する場合、集約的な分析を駆使する方が効率的に成果に結びつきやすいと言えます。
では、多角的な財務分析はどのようなシーンで使用するのに適した分析方法なのでしょうか?結論から言えば「手間をかけてでも持続的な成長や企業価値向上を期待できる企業を見つけたい時」となります。具体例がこちら▼
多角的財務分析術を活用したいシーン
・就職先、転職先企業の選定
・長期的な投資先企業の選定
・ビジネスパートナー(取引先)の選定
要するに、長期的な時間軸を前提とした重要な意思決定が求められるシーンに適した分析術なのです。多少手間をかけてでも、弱点(死角)の少ない総合的な財務優良企業を見つけたい方におすすめの手法となります。
ちなみに、ザイマニの主力カテゴリ「財務分析図鑑」の各企業ページに掲載されている内容こそが、この多角的分析術による分析結果です▼
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各企業を5つの視点で100点満点評価(S~Dのランク評価も併記)
つまり、「各上場企業に関する多角的財務分析の結果だけわかれば十分」という方はぜひザイマニをご覧ください。一方で「自分でも多角的分析術に挑戦してみたい」「分析に使用する指標を専門業界用にチューニングして分析の精度を上げたい」そんな方はぜひ続きをご覧ください。
以下と次回の記事で5つの視点(安全性、成長性、収益性、割安性、効率性)それぞれにおいて、分析すべき観点と指標を解説します。
視点❶財務安全性|倒産しそうにないか?
ひとつ目の分析視点は財務安全性。以下の5つが代表的な分析観点です。各観点での評価によく使用される財務指標も記載しています▼
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