荒れ果てた地下道
今日は本当に春が訪れたかとおもうほどの晴天になったベルリン。
窓からの日差しだけを見ていると、外は暖かいのではと勘違いしてしまうほど。鳥のさえずりも聞こえてくる。
実際に外に出てみると空気はまだ冬の冷たさだった。でも、確実に春が近づいているのがわかる。日差しも空気もやわらかくなりつつある。
そして、そんな春めいた日差しを求めて、またわらわらと人が通りに溢れ出すのがこの季節だ。ドイツに住むようになって、冬から春になるこの時期の人々の太陽に焦がれる気持ちが少しわかるようになった。
今年は若干、冬が短かったような気がしないでもないのだけれど。
そんな晴れた土曜日の午後に、娘と連れ立って森ではなくワクチン接種会場に向かった。行き先は決して楽しい場所ではないけれど、どんよりして雨が降っているよりは気分が晴れる。
接種会場の駅について、地下道に入ってびっくりした。メッセ会場に続く地下通路がこんなに荒れているなんて。かれこれ2年くらいメッセが開かれていなかったのが原因なんだろうか。それにしてもこの寂れ方は予想外だった。
暗くて階段にはドブネズミがひっくり返って死んでいる。こんな意気消沈するようなお膳立てはいらない。人通りがなくなるとここまで寂れてしまうのか、というような雰囲気である。
それにしても、この会場もずいぶん前からベルリン市内にある大きめのワクチン接種会場のはずだ。人通りがあるはずなのに、なぜここまで閑散としているんだろう。
外も閑散としていたが、入り口に近づくと行列なんて全く見られず、受付を済ませ接種するまで15分くらいしか掛からなかった。今まで3ヶ所違う場所で自分の接種や子供たちの接種のために足を運んだけれど、今回の会場はその中でも一番空いていたかもしれない。
担当医に「それにしても全く混んでいませんよね。」と聞いて見るとため息混じりに「本当にどうなっているんだか。正直がっかりしますね。」と言っていたのが印象的だった。
たくさんの受付窓口もクローズしているところがほとんどで、接種ブースも一部しか稼働していない状態。接種ピークは過ぎているんだるけれど、予想外の空き具合には正直驚いてしまった。
会場のスタッフも暇そうな印象で、空いた受付にいた男性は読書をしていたほど。接種キャンペーンもほとんど意味を成していないんだろうな、と。今の状況から接種率を上げるのが、恐らく一番大変なんだろうということが体感できたような気がした。