旅の効用
旅が好きだ。
コロナ禍に伴うわずか8週間あまりの外出制限で心身ともに思った以上のダメージを喰らっていた。
今回、デンマークに来てみて改めてそう感じた。
私の場合はどうやら行動範囲が狭まると視野も狭くなってしまうらしい。
思考も同じところを堂々巡りしがちだし、新しいアイデアやポジティブな考え方もできなくなってくる。
外出制限下に書かれたnoteを読んでもそれが手にとるように分かる。
思考が同じところを果てしなくグルグルと回っている。ある意味、かなり特殊な状況下だったので仕方ないといえば仕方ないのだろう。
荷物をスーツケースに適当に詰めて車に乗り違う土地に行く。これだけのことで水平線がパァーっと広がり、心が軽くなる。
ベルリンのいつもの公園でランニングをしていると、同じところを文字通りグルグルと何周か回るんだけれど、それはそれで悪くはない。同じところを走るのは勝手が分かっているので走りやすくもあるのだ。
違う土地に行って走ると、どこが走りやすいのか初めは全くわからないし、思わぬ向かい風が吹いたりもする。コンフォートゾーンを出る、とは恐らくこういうことを指すのだろう。
知らない土地、チンプンカンプンな言葉、まだ歩いたことのない道。
勝手が分からないことが最高に楽しく、刺激になり、同時に大変でもあるのだ。
コロナが収束していないのに、旅行なんて時期尚早では、と思ったりもしていたのだが、やはり思い切ってドイツを出てみて良かった。
デンマークの片田舎にいると、逆にベルリンよりも人が少なく安心感があるくらいだ。近所の海岸にも家の周りにも人っ子ひとりいない。
羊と馬と牛、野鳥や虫たちに囲まれる10日間である。
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