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ランメルスベルグ鉱山〜ハルツ山地〜

世界遺産に登録されているゴスラーの旧市街と併せ、1992年に登録されたのがゴスラー近郊にあるランメルスベルグ鉱山博物館である。

正面入口のアーチをくぐると鉱山坑の建物がどーんと視界に飛び込んでくる。なかなかの迫力だ。

博物館だけでは子供たちがすぐに飽きてしまうため、エンタメ要素の強いと思われるBergwerkbahn(鉱山列車)で500メートル下の鉱山に降りるガイドツアーに申し込んでみた。こちらは人数制限があるので、事前に予約しておくことをお勧めしたい。

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ブログの方ではまた詳細に触れたいと思っているが、noteの方では簡単に印象だけお伝えしておこう。

鉱山列車ツアーは約1時間。かなり大きな音を立ててギシギシと薄暗い坑道を進んでいくのはスリルがある。子供たちも疑心暗鬼な表情だ。

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ガイドの方の説明もマスク越しで聞き取りにくい場面もあったが、1000年以上も前からこの場所で銀貨に使う銀の採掘が行われていたであろうこと、後には銅や鉛などが採掘されたことなどについての説明があった。

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博物館としての展示室もかつては稼働していた工場跡がうまく利用されている。時間が限られていたのでざっとしか見て回れなかったが、きちんと見ようとすれば少なくとも半日は必要だろう。産業遺産や産業史に興味のある人にとってはパラダイスである。

正面玄関の絵画が気になって写真を撮っていると、「この絵について少し説明しましょうか?」と博物館の方が声を掛けてくれた。

彼の話ではこの絵が描かれたのは1936年。中央の男性が両手を広げているが、これは鉱山労働者が階段を上がってくると丁度、天井からぶら下がっているシャンデリアを受け止めるポーズに当たる。シャンデリアは太陽を意味し、「今日も無事に鉱山での仕事を終え、太陽が見られた。」ということを表しているのだそうだ。

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左端の女性と子供ふたりをよく見ると、子供たちが右手をそれぞれ斜めに上げているのがわかる。ヒットラー時代に描かれたプロパガンダ芸術だということがこれで明らかになる。

左の音楽隊のマーチに合わせて背後で行進しているはずの突撃隊(SA: Sturmabteilung)は後に描き変えられたのだそうだ。こんなところにも歴史の断片が埋もれている。どこへ行っても東西分断の歴史やナチスの歴史が絡んでくるのがドイツらしいといえばドイツらしい気がした。


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