ベルリンに戻ってきた途端にカオスな日々
寒くて暗いベルリンになんとか帰還した。時差ボケなのか軽い躁状態のせいなのかはよくわからないがとにかく睡眠が細切れになっていてよく眠れない。なんなら「今日はやっと6時まで通して眠れた!」なんて夢で目が覚めたらまだ4時前だった、というような有様。
さて、そんな寝不足の日々を過ごしているが昨日は7週間ぶりの出勤だった。そして初日から朝番なので5時前に起きた。早く目が覚めてよく眠れないので5時起床といっても実はそれほど難しくはない。ただ、午後の時間になると否応なしに眠気が襲ってくるはずだ。梅干しにぎりを握り、コーヒーを持参して出勤。
外に出ると寒い上にまだ真っ暗だった。時計を見るとまだ6時前。
こんな無茶な時間に働くのも長期的にはどう考えても無理だよなぁ。今年いっぱいにした方がいいのか、それとも来年の前半まで続けた方がいいのか。
そんなことを考えながら白い息を吐きつつ、地下鉄の駅に向かう。8番線はベルリン市内でも悪名高き非常に問題の多い路線である。とにかく汚い上にここのところ犯罪が増えている。特に職場に向かうSバーンへの乗り換え駅はできれば夜間は避けたいくらい治安が悪い。ただ、それに乗らないと帰宅できないのだから困ったものだ。遅番の日は0時くらいにその乗り換え駅で数分地下鉄を待つ必要がある。
そういうことも含め、何かあってからでは遅いので長期的に仕事を続けることには採用された当初から迷いがあった。あくまでも一度は現場に入ってみる、というのが目的だったからだ。
通勤中の地下鉄やSバーンの乗客の様子を眺めていると日本とはあまりにもギャップがありすぎて、本当によくわからなくなる。なぜ同じ「先進国」でここまで違うんだろうか。地下鉄の駅構内は汚く、異臭が漂う。朝早い通勤客の表情は明るいとは到底言えない。いわゆる日本では一般的なサラリーマン風の人など皆無である。朝から車内をフラフラした足取りで徘徊する男性は床に座り込んで動かなくなった。そちらの方にチラチラと視線を走らせる乗客と場所を移動する人たち。
そんな中、列車が目的地に着き、今度は難民センターまで直通の専用バスに乗る。もちろんバスの中は列車にも増して独特の雰囲気が漂っている。完全にアウェイな気がしてヘッドフォンをしながら目を閉じる。
ベルリンで私は一体何がしたいんだろう。
答えのあるような、ないような問いが頭の中でぐるぐると旋回する。そして大阪や東京で会った人のことを思い出して、そのときの感覚を取り戻そうと試みる。いや、あまりにもハードモードすぎやしないか、ベルリン。
暗い中、バスはテーゲル空港の敷地内に入っていく。サーチライトに照らされた白いテントがいくつも並んでいる。これからベルリン、そしてドイツはどうなっていくのかな、それを見ながらぼんやりとそんなことを考える。
テントに着いたら同僚が久しぶりー!と迎えてくれた。仕事はきついが同僚たちは面白いのだ。そうでないとやっていられない。ただ、このあと上層部から今後の方針について重要なメールが従業員全員に届くなんて予想だにしなかった。職場復帰初日からカオスに陥った、それもまたベルリンらしい。
どうすればいいかな、という今朝の問いには自然と「年内まで」という答えが出たことになる。明日は質疑応答の場が設けられるらしい。さて、どんな答えが聞けるのだろうか。