なんでも屋さん
♣️ハウスなるもので「まりこさんはベルリンで何をされているのですか?」と質問され、「これまでは、撮影コーディネーターを中心にフリーランスで仕事をしてきました。」と答えた。
すると、他の方が「何でも屋さんですよね。」と付け加えたのだが、まさにそうで撮影コーディネーターというのは現場で通訳もすれば、インタビューの翻訳もするし、ジャンルも政治・経済から観光、クラシック、アート、サッカーまで幅広い。
毎回毎回、テーマもコロコロと変わり、その度に1から勉強して撮影に臨むわけだが専門性という点においてはかなり疑問だ。
現場がとにかく好きなので、撮影現場をさっさと回すことはできても、「このジャンルなら任せてください!」という自分ならではの強みを作っておかないと後々厳しいことになりかねない。
私の場合は芸術や建築・デザイン、観光関連の撮影やコーディネートが好きで、時事ネタも興味のある分野であれば環境から難民までこれまた幅広くやってきた。
タレントを交えてのバラエティー番組の撮影はどちらかといえば苦手だった。それが不思議なもので、今だになぜか依頼が途絶えていないのがバラエティー番組を抱えている制作会社からの仕事なのである。なぜなのか。
無茶振りに堪えないからだ、としか言いようがない。
以前のようにタレントが来て、そのまたマネージャーやらメイクやらがぞろぞろと来るような大型案件は今日の予算上ほぼない上、ロックダウン中なので逆にディレクターですら来ることができない状態が続いている。
すると、どうなるのかといえば、自分でネタ探しのリサーチからインタビュー相手のアレンジ、簡単な撮影、素材の翻訳と編集以外の全てを自分でこなすことになる。
この展開はさすがに予想していなかったので、カメラをもっときちんとやっておけばよかった、と軽く後悔したものの必要に迫られないとなかなか取りかかれない性分なのでこればかりは仕方がない。
そういうわけなので、IT分野で活躍している知人や大学院で専門的な勉強をしている友人、すでに大学を卒業して専門分野一本で勝負している知人の近況を聞いていると正直凹む。凹んでいる暇があれば勉強すればいいのは分かっている。それでも凹むんだよなぁ。
一方で、何かひとつのことをずーっとする、ということが非常に苦手なタイプなので、浅く広く何でもやってきたというのも、もしかすると仕事をする上で役に立っているのかもしれないな、と感じたりもする。どのテーマを振られても動じない、というか。何でも楽しんでできるといえばわかりやすいだろうか。
だから今だに仕事をしながらかなり凹むんだけれど、凹みつつも自分なりに楽しんで仕事をしているというわけです。面白い仕事あれば是非。
*タイトル画像はみんなのフォトギャラリーよりillust_himeさんのイラストをお借りしています