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映画や本・音楽について

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#毎日note

「いる」の確保

お昼を食べながら、読んでいた本の一文に目がとまった。自分ではあまり手に取らない類の本なのだけれど、こういう一文に出会えたりもするので乱読もいいものである。 「いる」をもたらしてくれる人たちの存在。それがないと、人は安心して眠れないらしい。 ううむ。ちょっと唸ってしまった。これまで不眠のようなものに悩まされたことが一度だけあるからだ。 「家」「家族」「居場所」なんかは常に自分の中で解けない類のテーマなんだけれど、「ね、眠れない…」という状態に一定期間陥ったのはあれが初めて

筆を取れば物書かれ、

パラパラと本をめくっていたら(実際はKindle本なのだけれど)、こんな文章に出会った。 兼好法師が「徒然草」の157段で綴っている言葉なんだそうだ。 いいなぁ、こういうの。こんなふうに自然にすらすらとなにか言葉を書けるといいな、と思いつつ「毎日note」を書いていたからだ。そして気付いたらざっと600日以上になっていた。 ところが日本に3年ぶりに一時帰国をしている間は、あまりの暑さのせいか言葉が綴れなくなった。猛暑の中、出歩いて夕方頃に帰宅した後には、文字通り頭がちっ

帰国前のプレッシャー

仕事柄、移動やホテルの手配をするのには慣れている。有事の際に、どう回避すればいいのか、ということも現場では多々あるので余りあたふたもしない方だと思う。 ただ、今回の一時帰国だけは様子が違うらしい。ある意味、運任せのところがあり、自分がどう努力してもできない不確定要素が多すぎるからだ。 こういうのを人は「無理ゲー」と呼んだりもする。 最初から何もできないのは分かっているのだから、そこはどーんと構えていられれば楽なのに。3年ぶりの子連れ帰国ともなるとそう悠長に構えてもいられ

子どもたちと呪術廻戦を観る

実は今回の映画鑑賞は前回のリベンジだった。ドイツのプレミア上映はベルリン市内にいくつかある大きな映画館で開催されたが、オンラインチケットを購入したら「16歳以上でないと入場できません」という知らせが後になってメールで届いたからだ。 既にネットでアニメ版を観ていた娘は「え、なんで!?」とがっかりしたが、身分証明書の提示が必要になるなど厳しいルールが適用されるので前売り券はすべてキャンセルした。確か3月頃だったように思う。 さて、この4連休中にまだ休みらしいことを何もしていな

空き時間を作って観た「ナヴァルニイ」のインパクトが強すぎた

今月は医者にばかり行くことになっていることは、先日のnoteで少し触れた。しかもその上に、自分で予定を増やし続けているような気がしてきた。 来月に3年ぶりの日本行きが迫っているので、それまでにまとめて色々とやっておこう、という気持ちになっていることは自分でもよくわかる。それにしても、お誘いや用事というものは重なるときは本当に重なるものだ。 元来、面白そうな話にはつい、飛びついてしまうという習性があるんだけれど、娘に良さそうな案件があったので「やってみたら」と半ば勢いだけで

面白さには叶わない

今日は本来なら作業が一通り終わっているはずだったのだが、お昼を食べながらテルマエ・ロマエを見始めたのが運の尽きだった。噂には聞いていたが、予想以上に面白かったのである。意志の敗北。面白さに叶うものなどない。 ローマの堅物が究極のテルマエを求めて考えを巡らせる話だが、なぜか風呂の湯を介して「平たい顔」の支配する国へと足を滑らせる。 かなり無理のある設定だが、この妙なアンバランス感が堪らない。是非、まだの方は一度見てほしい。この作品が2010年に漫画大賞を受賞していたのも知ら

娘の推しアニメと登場人物

夜もわりと眠れたが、朝方の咳がひどくて息子のフルーツをタッパーに入れたり、目玉焼きを作って力尽きた。行ってらっしゃい、より前にまたベッドに逆戻り。まだまだ咳が出ると辛いのである。 あー、今日もこんな調子で1日が過ぎるのだろうか、と朝から暗澹たる気持ちになりかけたが、娘と咳をゴホゴホしながら「文豪ストレイドッグス」の推しキャラについて議論を交わしているうちに気分が晴れた。面白い娘である。最近、アニメにやたらとハマっているので私の方が彼女から「これ面白いから見た方がいい」などと

調子の悪い息子と積み上げられた本

とうとう息子がダウンした。胃腸風邪のようなものも流行っているらしいので、数日前からお腹の調子が悪かった息子は、もしかするとそっちの方にかかったのかもしれない。まだよくわからない。 とにかく今日の午後はおやつも食べず、うちに来たクラスメートと3時間くらい一緒に遊んではいたのだ。友達が帰った途端、ベッドに「しんどい」といって倒れ込んだ。そしてそのまま夕飯も食べずに寝てしまった。 食べないときは、本当に調子が悪いのでよくわかるのだ。 この2週間怒涛のような毎日を過ごしたので、

困ったときの「キアヌ」

さて、今日も気付けば割といい時間になっている。何を書こうかな、と思ったんだけれど頭の中は幸か不幸か、「キアヌ」でいっぱいになっている。だから、間違いなく「幸」なのだろう。そこはさすが神。 ・・・・・ 昨日の晩にここまで書いたのだが、思考が勝手に止まらなくなり、空白の1時間半くらいを過ごした挙句、結局ダウンして寝ることにした。最近、自分のあまりの耐性のなさに驚いているところだ。 寝つきも悪く眠りも浅めだが、通して眠れているのがまだ救いだろう。不眠だけは本当によくない。

ショスタコーヴィチの遺作

今日も快晴で雲ひとつないベルリン。皮肉なことに最近、天気だけは何が起ころうと安定した「晴れ」の日が続いている。 Twitterのタイムラインに流れてきた「ショスタコーヴィチへのオマージュ」。もうロシア関連の音楽を当分聴けなくなるのでは、という過剰な心配を吹き飛ばしてくれた。「ショスタコでも久しぶりに聴きに行きたいな」などと思っていた矢先のことだった。 急遽、ベルリンのジャンダルマン広場にあるコンツェルトハウスのサイトでチケットを確認する。目についたのはブラームスとショスタ

「ソ連ー誤解をとく25の視角」

この本を手にしたのはいつだったのだろう。もしかするとモスクワ行きを決めた2000年だったかもしれないし、モスクワを初めて訪問した後だったのかもしれない。 まさか、この本がこんなに役に立つなんて。 のっけから思い当たる節がたくさんあったのだ。以下、少し引用部分が長いがご紹介してみようと思う。 私は5年余りソ連で暮らしたことがあるが、あちらで生活した経験からいうと、どんな指導者が現れようといかなる改革策が出されようと、あの国が本質的に変わるとはとても信じられないと言うのが正

懐かしむことくらいしかできない

どこかでちらっとそんなことも脳裏をよぎった気がするが、友人と今朝話している時に「下手したら、もう2度とロシアには行けないかもしれないね。」というフレーズを聞いた瞬間に心がフリーズした。 「近いうちにまた会えるといいね」、なんてモスクワの友人と話をしたのは昨年の誕生日の翌日に連絡をもらった時だっただろうか。今年は話ができるのかどうか。それすらもわからない。 「会いたい時に会える」ことがこんなに貴重なことだったなんて。それはもう、コロナ禍のロックダウンの時に痛いほど思い知った

歌とその歌詞、その時の心情

混乱したり落ち込んだりしたときによくやること。とにかく周囲の雑音をシャットダウンして、ノイズキャンセルできるヘッドフォンで音楽を聴く。そして、こういう時は歌詞を目で追いながら邦楽を聴くことが多い。 安全地帯、白神真志朗、ぼくくり。 すーっと伸びのある声に乗って流れてくる歌詞のテキストがとても重要なのだ。本を読むのではなく音楽とそのテキストを追う方がしっくりくる。ドイツに住んで長くなった今は、日本語の歌詞がストンと乾いた心に沁みわたる。 そういえば、日本で学生をやっていた

息子の誕生日の翌日に映画鑑賞

今年もクラスメートを招待して息子の誕生日会を開けなかった。誕生日の日は平日だったので、週末の今日に何がしたいと尋ねたら「一緒にアベンジャーズの続きを観よう!」ということになった。 先日、たまたま何気なく「スパイダーマン」を観たのがきっかけで、最新作のスパイダーマンを映画館に観に行こう、ということには前々からなってはいるのだ。 ただし最新作を楽しむためには、これまでのシリーズをある程度なぞっておかないと理解できないらしい。そこで、詳しい友人に教えてもらった「これだけは押さえ