ヒッチハイカー⑫これで乗せるの3回目
これまでにヒッチハイカーを何十人と乗せてきた。
ヒッチハイクしている話を聞くと楽しいし、1人で移動していることが多いので話相手になるし、良いことが多い。
そんなヒッチハイカーの中にたった1人だけ嫌な気持ちになった人(以下A君)がいた。
遭遇10回ほど
実はこれまでにA君を10回ほど目撃したことがある。いつもヒッチハイクをしている。
そして2回乗せたことがある。初めて見かけたのはたぶん3,4年前だったと思うがそのときに初めて乗せた。そのあと数か月後に2回目を見かけて同じ人を2回見かけるなんて珍しい!と思って乗せた。
2回目の乗車後に「もうA君を絶対に乗せない」と決めた。
その後も何回も見かけたが乗せることはなかった。
ただ、これほど見かけるので「なんであんなにずーっとヒッチハイクをしているんだろうか?」と少し気になっていた。
友人にこの話をすると「あと1回乗せて話聞いてきて」と言われたので、もう乗せないと決めていたがあと1回だけ乗せることにした。
それから半年
その話をしてから半年が経過した今月にA君を見かけた。高速SA&PAの出口付近にいつも立っている。
何度も見すぎて遠くから見ても「あ、またA君や」と冷静に判断できるほどになっていた。
乗せると決めていたにも関わらず、1度車を停めて「やっぱりどうしよかなー」と少し悩んだ。後に約束を果たすために乗せることにした。
乗せたくない理由
A君を乗せたくない理由は2つある。
1つ目はあまり面白くないということ。これに関しては理由としては薄いが一応1つ目ということにしておく。
これまで乗せた誰よりも話が盛り上がらない。というか、あまり話をしてくれない。偏見かもしれないがヒッチハイカーってだいたいワクワクして楽しそうにしている。
A君はあまり楽しそうにしていない。ワクワク感は1回目乗せたときから全く感じなかった。こちらから話かけてもあまり会話が続かないのは結構珍しい。
2つ目は物乞いがすごいことである。これが本当の乗せたくない理由である。
会話が少ないのに「お腹が空いた」「昨日から何も食べていない」「早く食べたいなー」「財布を盗られお金がない」などと発する。
今まで乗せたヒッチハイカーで一緒に昼飯を食べたこともあるし、応援する気持ちで「お金を出してあげたいな」と思うようなこともある。
しかしA君には全く思わされない。
3回目の乗車
決心して乗せた。話が盛り上がらないことはわかりつつ、聞きたいことを決めていたので質問攻めでいった。
Q「乗せるの3回目やけど覚えてる?」→A「覚えてないです」」
Q「これまで何回ヒッチハイクしてる?」→A 考えた末に「7回目ぐらいですかね」
Q「どこ行くの?」→A「九州です」
Q「どこ住んでるの?」→A「関東です」
この時点で「絶対7回以上ヒッチハイクしているなー」と思っていた。少なくとも7回は見かけているし。
以前も聞いたがまた同じ質問をした。
Q「これまでにヒッチハイクの大トラブルってなに?」→A「男に犯されかけたこと」
これは以前にも聞いたので私も覚えていた。さらに続けて、
A「今回お金を盗られたこと」
??????????????
「え?それ前にも聞いたけど…」と思った。
そしてやっぱり「お金がない」「お腹が空いた」「昨日から何も食べていない」といつもの決まり文句。
どれが本当で嘘なのかわからなくなってきた。何が目的でヒッチハイクをしているのかももうわからなくなった。
そして1番近いパーキングエリアで降ろした。
改めて決意
「もう絶対にこれ以上乗せない」と決意した。もう不思議な人間過ぎてわからない。
特に嫌な気持ちになっていないが、少し呆れた。
このようにネタになるのでいいのだが、楽しい体験ではなかったし、ある意味貴重な体験だった。