賞与が◯◯給化しているところは要注意!という話
最低賃金がどんどん跳ね上がり、物価も上昇を続けていますね。
一方で、診療報酬の伸びは正直あまり期待できず、
病院経営はますます難しい局面を迎えています。
このような状況の中で賃金制度の抜本的な改革や
収入を確保していくための医師のマネジメントシステム構築に
動き出している病院もここ2~3年で非常に増えてきました。
とりわけ最近多いのが「賃金制度改革」のご相談です。
従来型の年功序列システムでいるだけで昇給し、賞与も利益に応じてではなく
所定の月数を支給するというような様式で運用している病院が
いよいよ限界を迎えて、抜本的改変を余儀なくされているというのが
実際のところなのでしょう。
・最低賃金をあげて全体のベースアップをしてしまったら人件費率が上がりすぎる
・でも新人と10年選手が同じ給与というのもバレたらまずい
・これまでのように昇給させていたら経営がもたない
・全員をベースアップしてしまったら賞与も退職金も膨らんでしまい病院が潰れる
こういったご相談を多々承っていますが、
医療業界において真っ先に変えた方がよいと思うのが・・・
賞与の生活給化
です。
本来一般の事業会社における賞与というものは、利益を配分するものであり
経営状況がよくなければ「出ない」ものです。
ですが多くの病院では賞与は利益に応じて分配されるという認識ではなく、
数カ月分ほぼ確実に出るものという認識のところが多いかと思います。
(もちろん利益分配式になさっているところもありますが)
満額出せるに越したことはありませんが、
今後の病院を取り巻く財政状況を考えると
ここが生活給化しているのは致命傷になりかねません。
最低賃金はこれからもあがっていく可能性が高いので、
賞与も含めた年収ベースで調整ができる余地を残しておかないと大変なことになるからです。
もちろん出せるうちは満額支給してもよいのですが、
できるだけ早いうちに「賞与は経営状況が悪くても出るものではない」という認識を職員のみなさんに示す必要があると思います。
本当に追い込まれて、「もうすぐにでも賞与を減らさない」といけない状況になってから、
「賃金制度を変えます!」ということになれば、
「賞与を支給しないために制度を変えた」と思われても仕方ないですし、
職員に不信感をもたれてしまうためです。
まだ支給できる余裕のあるうちに賞与は生活給ではないという考えを説明し
利益に応じた配分を行う方式を示して、
全員の経営努力によって賞与が支給される、
場合によっては増えるのだという実感を与えておけば
状況が悪化して一時的に賞与を下げざるを得ないことがあっても
受け入れてもらいやすくはなるでしょう。
理想はもちろん職員の給与をあげて頑張りに報いることですが、
病院が潰れては元も子もないわけですから、
「ほぼ確実に来る危機」に備えてしっかりと着実に準備を進めていきましょう!
どのように準備を進めてよいか困っている方はぜひお気軽にご相談ください。
人事コンサルタント
金森秀晃