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病院戦国時代のリーダーに必要な力とは
「これから病院経営も戦国時代を迎える」
これは長く病院を経営されてきた理事長がおっしゃっていた言葉です。
確かに、医師の働き方改革に伴う医師の獲得競争、
インフレの中にありながら他業種に比べて給与をあげにくい現状、
コストはあがるけれど診療報酬等の収益はあがりにくい社会情勢、
地方税の減収に伴う地域の公立病院への補助金等の打ち切りなど、
今後の病院経営はかつてない困難な時代を迎える
といっても過言ではないと思います。
その中で、生き残る病院とそうでない病院の差は
どういうところに生まれるのでしょうか。
私は「組織デザイン力」だと思います。
組織デザインというのは簡単にいうと
組織を効果的に動かしていくための役割設定や情報共有、
意思決定のルールを設計していくことですが、
今後はそういうものがないと
戦略を決められない、舵を切れない、人がついてこないなど
様々な問題を多重債務のように抱えることになってしまうからです。
その中でも、
組織はトップの決断で決まるということを考えると、
トップの意思決定力(ビジョンある決断技術)は
最も重要なポイントになってくると思います。
そういう意味では
病院戦国時代のリーダーに欠かせない必携スキルは間違いなく
「周りの声に耳を傾け、誰の声を聴かずに決める力」。
おいおい、矛盾しているじゃないか!と思われると思うのですが(笑)、
これらは「両立」することが大切なのです。
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職員の不安や不満、意見を広く聴くというのは
マネジメントの要素として必要ですが
「みんなの声を聞いて決めましょう」というアプローチは
経営状況が悪いときや組織が混乱しているときには得策とは言えません。
統計的に、誤った決断をする可能性が高くなってしまうためです。
なぜ決断を誤る可能性が高くなるかというと
経営状況が悪い時や不安定な時は職員も不安になっているわけで、
自分の生活を守るためにどうしても自分の権利や
自分の事情が先立つからです。
組織のためにといいつつ、
自分の事情がかなり多めに入ってしまうものです。
(みなさん自分の生活がありますから
それを優先したい、守りたいと考えるのは悪いことではないですし、
むしろ当然のことだと考えています)
リーダーの一番大切な仕事は
とにもかくにも経営を成り立たせることであり、
そのために必要なことを「決めること」と
「決めたことをなんとかすること」です。
もちろん現場の意見を聞くことは重要なことなのですが、
みんなの意見を真摯に聴いてその通りにした結果
病院を潰してしまっては役割を果たしていないことになってしまいます。
結果的に現場を見殺しにすることにもなりかねません。
両立するためには何が必要かといえば、それは「軸」。
当然いきなりはできませんので、経営判断をする時の自身の判断軸、
意思決定技術を、普段から鍛えておく必要があります。
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そうはいってもなかなか一人で軸を作るのは難しいと
ご相談いただくことも多いので、数は限定されてしまうのですが、
理事長・院長・事務長など病院の経営陣を
対象としたエグゼクティブ・コーチングを
2024年の6月以降を目標に復活することになりました。
(直近は予定が入りすぎているので申し訳ありません…!)
病院経営における判断軸、決断軸などを作って
盤石の経営基盤を築きたいという方がいらっしゃいましたら、
ぜひこの機会にお問い合わせください。
病院戦国時代を戦い抜くための軸を一緒に作っていきましょう。
お問い合わせはこちら!
人事コンサルタント
金森秀晃