ビートルズ風雲録(9) クオリーメン
さて、物語の主役たちは大方出そろいました。
いよいよジョン・レノンが動き出します。
1956年、スキッフル・バンド「クオリーメン」の結成です。
1956年 クオリーメン、誕生!
母ジュリアにバンジョーを教えてもらったジョンですが、おりからのスキッフル・ブーム。
「とにかくギターが弾きたい!」と、まずはミミおばさんをどうにかこうにか説きふせて17ポンドのギターを買ってもらいます。
ジョンは近所では名の知れた不良で、ピート・ショットン、エリック・グリフィス、アイヴァン・ヴォーンという仲間たちと悪いことばかりやっていました。
特にピート・ショットンとは仲が良く、いつも、どこに行くにも必ず二人は一緒。
そしてその悪ガキ仲間を集めてバンド結成! 初期メンバーは、ジョン・レノン、エリック・グリフィス、ピート・ショットン、同級生のビル・スミスの4人。
決して一人ではやらないけれど、仲間内では必ずリーダー。これがジョン・レノンです。
最初は「ザ・ブラック・ジャックス」という名前でしたが、学校名のクオリーバンク・スクールにちなんで改名しました。
ジョンとエリック・グリフィスはギター担当。グリフィスはバンドに入ってからギターの練習を始めたばかり。
ビル・スミスがティーチェスト・ベース担当。
ティーチェスト・ベースとは、茶箱にモップの柄のようなものをくっつけて、太い1本のヒモを張って、ぶんぶん鳴らす楽器で、安価で自作可能のものです。
ピート・ショットンはウォッシュボード担当。こちらも洗濯板を擦ったり叩いたりしてリズムを刻むものです。
ティーチェスト・ベースとウォッシュボードがいわゆるリズムセクションで、素人でも一応音は出せました。
こんな状況だった初期メンバーですが、その後、メンバーの入れ替えを繰り返し、学校のダンス・パーティなど数々のライブパフォーマンスをこなし、やがてとてつもないグループに育っていくのです。
ところで、ジョンの悪ガキ仲間のアイヴァン・ヴォーン。一時期クオリーメンに入ってティーチェスト・ベースを担当しましたが、すぐに脱退。バンドメンバーとしての活躍はそれほどではありませんでしたが、ほどなく最重要キーマンとして登場します。
アイヴァン・ヴォーンは、そこそこ勉強ができたということもあり、そしてまた何より、両親が不良のジョン・レノンと同じ学校に進学することについて猛烈に反対したため、ジョンとは別の学校、リバプール・インスティチュートに進学します。
そこで友達になるのが、ポール・マッカートニーなのです。
次回、ジョンとポールの歴史的邂逅に、乞うご期待。