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読者記録「戦争と天皇と三島由紀夫」保坂正康・半藤一利・松本健一・原武史・冨森叡児著

朝日文庫
2005

保阪氏と、相手を変えて4人との対談がおさめられた一冊。終戦から65年である2005年の本。
以下、目次。

半藤一利×保阪正康「昭和の戦争と天皇」
松本健一×保阪正康「二・二六事件と三島由紀夫」
原武史×保阪正康「昭和天皇と宮中祭祀」
冨森叡児×保阪正康「戦後日本を動かした政治家たち」

最初の半藤一利氏との対談で面白いと思ったのが昭和天皇が軍の統領としての大元帥としての天皇と、立憲君主としての天皇という2つの役割を認識し、はっきりと使い分けていたという話。軍服の着用でもそれが伺えるという。
西南戦争を経て、明治憲法が出来る前にすでに統帥権というものが成立しており、昭和天皇は軍人教育を徹底的に受けているということ。それが女帝に関する議論にも関係しているという指摘だった。
エリザベス女王の国葬での一連行事の中で目にした軍指揮官としてのイギリス国王の姿と、さらには軍服を来たアン王女の姿が思わず浮かぶ。

天皇のもうひとつの役割である宮中祭祀の話も興味深い。
昭和天皇を引き継いで今の上皇が一層、祈りに熱心であったこと。そしてそこには上皇后のキリスト教的なバックグラウンドも影響している可能性もあること。
戦後の祭祀は私的行事であり公にする必要はないというのはもはや通用しないようには思う。

対談本は対談者だけが分かり合っている部分が大きくて、読み手が蚊帳の外になってしまう部分が否めないなと改めて感じた。

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