人生近道なんて、きっとないから
この世は何事もコツを知っている人が強い、と思う。
例えばゆで卵の殻を剥く時は水を流しながらやると剥きやすいとか
テストでわからない問題に出くわした時は一旦飛ばしてわかる問題から解いた方がいいとか
新しい職場では仕事を覚えるより先に誰がこの場を仕切っているボスなのか、
誰を敵に回すと今後が厄介かを早めに見極めて、その人との付き合い方をまず会得しておくとか
誰かが教えてくれる訳ではなく
生きていく中で自然と学んでいくものだけれど
どれだけこういうコツの存在に気付けるか、そして拾って自分のモノにしていけるかで
たぶん、人生の生きやすさはちょっと変わる。
洋服についた食べ物の汚れを落とすには食器用洗剤がいいとか、ね。
オタクは必ずあの感情を通る
学生時代、明るくて先生にも可愛がられ友達も多くて目立つタイプの同級生がクラスに必ず一人はいた。
そういう子は決まって多少のルール違反は見逃されていたし
合唱コンクールでは指揮者になるのがお決まりで
決まってそういう人間はノリが良く、いつも輪の中心にいた。
そして世間一般から見た「ジャニーズアイドル」は
こんな人間の集まりというイメージを持たれていることが多いと感じる。
親から譲り受けた整った顔できれいな衣装を着て、
汗ひとつかかずかっこよく歌って踊り、女性からキャーキャー言われてキラキラしているというイメージ。
ジャニオタ(ジャニーズのファン)であれば
売れていると世間から思われているアイドルにも下積みがあったり苦労してきたエピソードをそれはもう山ほど知っていて、
そんなエピソードをことある事に心の宝箱から引っ張り出しては眺めて、アイドルを続けてくれてありがとう……と泣きながらツイートする。
『アイドルでいてくれてありがとう』はジャニオタの合言葉みたいなものだ。
努力の燃料効率
私が24時間365日これからもずっと幸せでありますようにと願う人、
阿部亮平さん(SnowMan)はジャニーズで初の院卒アイドルで難関資格の一つである気象予報士の資格も取得している。
デビューするまでの下積み時代は15年にも及び、その間には売れるために自分の得意な勉強を武器にしようと決意して
ジャニーズの活動を半年間休んで受験勉強をしたというエピソードもある。
私がいわゆる「阿部担」と呼ばれる阿部さんのファンになった理由は
彼がジャニーズJr.として活動しながら
自分が今立っている位置より前に行くには、名前を呼ばれるには一体どう振舞っていけばいいのか、
10代の頃から常に深謀遠慮して生きてきたと強く思わせるから、というところにある。
誤解を恐れずに言うと
阿部さんはアイドルとして集団の中にいると決して一番最初に目立つタイプの方ではないと思っている。
でも今こうして「令和のクイズ王」とクイズ番組でテロップがつけられたり、
インテリジャニーズと言えばという話題でまず名前が出てくるようになったのは
阿部さんが経験した長い下積み生活の中で
アイドルとして成功するために必要な要素を自分の中に落とし込んで、自分なら何ができるだろうと変換し
恐らく失敗や後悔もたくさんしながら、努力の「コツ」をたくさん自分のモノにしてきた結果だと思う。
彼の武器である勉強を考えても、ただ時間をかけて取り組めばいいというものではなく時間にも体力にも限りがあるし
阿部さんのようにジャニーズとしての活動をしながらとなると、効率的に進めるコツなくしては不可能に近い。
爽やかで物腰が柔らかく、なんでも器用にこなしてしまいそうな天性のアイドル阿部さんは
実は誰より夢に貪欲で、しなやかさと芯の強さを併せ持って淡々と戦略的に努力を重ねてきた人。
これこそが、決してクラスの中心人物ではなく不器用に生きてきた私にとって
阿部亮平というアイドルに惹かれた最大であり最高の魅力だ。
どうせ生きていくならば
こんな阿部担である私は、まったくと言っていいほど要領が良くなく生き方も本当に下手で
かなり人生を遠回りしてきた実感がある。
ただ、そんな私も30代を過ぎて
『あ、これ進研ゼミでやったところだ』
ということに出くわすことが増えてきた。
人生の進研ゼミは実践問題しかないのでちょっとしんどいけれど、経験してきた全てのことに無駄はなかったとここ数年やっと心の底から思えるようになった。
自分を大事にしてくれない男との未来に幸せは絶対にないことに早く気付くことも
話し合っても分からない人には時間と感情を消費して向き合うのではなく
そもそも分かり合おうという気持ちをとっとと捨てるのが1番の解決策ということも
自分ってダメ人間だなと思ってしまう時は弱ったメンタルが思わせている錯覚なので
何も考えずにお腹いっぱい好きなものを食べてとにかく早く寝るのがいいということも
全て私の進研ゼミで出てきた応用問題の答えだ。
どんなお金持ちでも買うことはできない時間
人間に等しく与えられた時間を少しだけ、泣くよりも笑う時間の方が長く生きていけるように
コツを押さえて人生を楽しんでいきたいなと最近の私は思っている。
泣く日も絶望する日も逃げたくなる日もあるけれど
私たちにこう思わせてくれて、明日を生きる気力をくれるアイドル。
推しを作ることこそが、人生を楽しく生きる上で1番のコツなのかもしれない。