あの時の匂い①

匂いは、記憶と共に僕の脳に刻まれていた。

平凡なサラリーマン、うだつの上がらない生活を続けている。
大学を出て、10年。同じ職場で、30歳を迎えた。
同期が転職して、ステップアップをしていたり、寿退社して幸せな家庭の様子をSNSに投稿する様を遠巻きに眺めながら、日々が過ぎていった。

僕は結婚もしていなければ、彼女もいない。仕事から帰ったら、適当に食事を作りビールを飲む生活。

孤独ではない。同僚と飲みに行ったり、大学の同期と休日に遊びにいったりもする。仕事もさすがに慣れて、後輩をまとめて、事業を進める中心であったりもした。

だが、毎日が平凡だった。変わり映えのない生活を送り、昨日と今日の区別もつきにくい。1日が当たり前のように始まり、そして終わる。これといった趣味もなく、毎日、サブスクの音楽や動画を見て、時間を潰している。

「時間を潰す……」この表現が僕に今一番ぴったりだった。たった一度の人生なのに、その貴重な時間を潰している。そのことに、自覚と焦りを感じながらもどうすることも出来ない、無気力な状況に僕はいた。

そう、あの時までは……

歴史を学ぶ意義を考えると、未来への道しるべになるからだと言えると思います。日本人は豊かな自然と厳しい自然の狭間で日本人の日本人らしさたる心情を獲得してきました。その日本人がどのような歴史を歩んで今があるのかを知ることは、自分たちが何者なのかを知ることにも繋がると思います。