クリスマスイブの朝、月への祈り
藍色の空に、金色の月。
日の出まではまだ少し。
月が昨日よりも欠けているのはきっと、私の祈りを叶えてくれたから。
両端がほんのり上がって、ほほえんでいるような。
⭐︎⭐︎⭐︎
昼前の青空に、下弦の月。
予定の時刻まであと少し。
携帯電話の時計と白い半月を交互に見ながら、私はひたすら歩いていた。
ただ祈っていた。あなたの無事を。
手をにぎることができない代わりに、せめて心だけはそばに-
『お部屋からね、まっ青な空が・・・・・・』
電話の向こうの声は、意外なほど明るくたくましかった。
あの空が、あなたのところまでつながっていたのだと知った。
クリスマスイブの前日に、何にも代えられないプレゼント。
笑顔の形に口をひらいた月が、明日へと沈む。
⭐︎⭐︎⭐︎
クリスマスイブの朝、半月よりも欠けた金色の月。
日の出まではまだ少し。
朝焼けがこんなに美しいから、今日も青空があなたのお部屋から見えるだろう。
月の近くには、真珠星スピカ。
高く見上げた先に、麦星アークトゥールス。
夫婦星とよばれる星たちが、朝にしずかな光を放つ。
祖母と祖父が。
母と父が。
大切な人とその大切な人が、永くながく寄り添っていられますように。
みなさん、素敵なクリスマスをお過ごしください🎄🌟