読んだ本紹介【6月】
1.音楽と生命 坂本龍一 福岡伸一
先日、亡くなられた故 坂本龍一さん。
日本国内で大きなニュースとなった。
その中で私が気づいたことは若い人も多くリアクションを残していたことだ。
私は恥ずかしい話、坂本さんの名前程度しか知らず、「戦場のメリー・クリスマス」をこの前知った。ここまでの影響を与えるピアニストについて知りたくなり本を探してこの本を手に取った。
この本はピアニスト:坂本龍一氏と科学者:福岡伸一氏のテレビ企画の対談を文字起こしした内容だった。
自然を表す「ピュシス」と言語や文明を表す「ロゴス」の対比をテーマにしながらお互いの専門である音楽と科学について対談されている。
一回性の美しさや破壊と創生の繰り返しなどピュシスの中にあるロゴスの存在や我々人間の存在、この壮大な地球と宇宙の美しさを改めて言葉で感じさせられた。
坂本さんのアルバム「Async」について度々会話がもたれる。
そこで、途中から「Async」聴きながら読み進めた。
ピュシスの美しさを音楽に取り込むその腕に人々は魅了されているのだろう。
また本を通じて自分の中の新しい扉を開けた気がする。
安らかにお眠りください。
2.ダイアローグ ヴァージル・アブロー
約1年半前急逝したルイ・ヴィトン史上初の黒人ディレクター故ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)。
彼の41年の生涯とデザイナー・ディレクターとしてのキャリアにおける歩みを彼と業界の著名人(トム・サックス他)による"ダイアローグ"(対話)により紐解いていく一冊。
ルイ・ヴィトンの他に大手家具ブランドIKEAやNIKEとのコラボレーションや自身が手がけるoff-whiteなどファッション界に大きなインパクトをもたらしたヴァージル。
彼の生い立ちや学びから来る作品創造への想い。
大胆に見えて緻密に計算された作品の数々。
代名詞とも言える二重引用符にヘルベチカのフォント。
"Helvetica"
ここに込められた彼の意図、文字とレディメイドの組み合わせによる新しいアイデアどれもが新しい発見だった。
決して難しいことはしていないのだが、無数のアイデアと建築的な計算により人々を魅了した。
彼のやり方は知らない人からしたらファンション界に殴り込みを入れたブラックアメリカンのように彼は見えるだろうが全く違う。
自分のルーツや構想と業界の構造の狭間に居場所を見つけた彼なりのステイトメントなのだ。
3.1995年のエア マックス 小澤匡行
続けてファッションジャンルの一冊。
現在のスニーカーブームの起点となったのが1995年発売の"エアマックス95"と長年ファッション誌を手掛けた著者は考える。
スポーツシューズからスニーカーへの昇華、インターネットの普及からプレミア化、様々な時代の要素に合わせて変動するスニーカー市場。
エアマックスシリーズを誕生させたNIKEを中心にここ40年ほどのスニーカー史を振り返り新たな気づきを勉強させてくれた一冊。
前述した通りスニーカーにとても興味があり日頃からSNS等で情報収集してる私でも新たに得る知識ばかりで読んでいてワクワクした。
今や株式のように投資対象にもなるスニーカー。
スポーツシューズから変化した"スニーカー"は、メゾンなどのハイブランドとのコラボレーションも珍しくなくなり新たな価値として人気を集める要因にもなっている。
読み終えた後に自分の愛用するスニーカーを履くと新鮮な気持ちにさせてくれた一冊でした。
今月は新たな出会いと自分の好きなファッションジャンルの本で充実した読書ができた。来月こそ、小説を。。。
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