猫と音楽の話 the AristoCats
1.テーマソング
この映画のオープニングシーン。
日本語では「おしゃれキャット」と訳されました。
日本では、キャラクターの可愛らしさだけが一人歩きしています。
しかし、このアニメ映画の素晴らしいところは20世紀はじめの美術や音楽、ファッションの流行がおしゃれに描かれていることです。また、舞台はパリですが、生き生きとしたアメリカ文化も楽しめます。
原題は “the Aristo Cats“
〝the Aristocrats“(貴族)をもじった造語です。
歌っているのは、フランスのモーリス・シュヴァリエさん。フレンチサウンドの英語!
2.Scales and Arpeggios
元オペラ歌手のボンファミーユ夫人が住むパリのメゾンで、アートするかわいいネコちゃん達。可愛らしさに惹かれます。パリでアパルトマンではなくメゾンに住めるのは、本当に一握りのお金持ちです。
(ボンファミーユとは、「良い家族」という意味)
お母さん猫は『ダッチェス』という名前で、『公爵夫人』という意味だそうです。
ピアノを弾いたり、歌を歌ったり。
『スケールズアンドアルペジオズ』
「音楽を学ぶ生徒はみんな知っている」
猫ちゃん一家が歌の基礎練習をします。
ドミソドドトミド ドミソドドトミド♪
マリーちゃんとお母さんは歌を
末っ子のベルリオーズ(作曲家と同じ名前!)は、全身を使ってピアノを弾きます。
こちらは、作曲家のベルリオーズ。
最後は絵を描いていた長男猫のトゥルーズも参加。アンリ・マリー・レイモン・ド・トゥールーズ=ロートレック=モンファは、画家のロートレックの正式名称。おそらく、ここからのネーミングだと思われます。(絵の具の色がロートレックの作品ぽい)
映画を製作したときに、もう一匹の兄弟猫にワーテルローと名付ける予定だったとか。もし採用されていたら、どんなストーリー展開になっていたのでしょうか?
↓何気にビゼーの楽譜が!流行っていたんですね。
↓スケールズアンドアルペジオズ(英語版)
3.Everybody wants to be a cat
まさに貴族的な暮らしが約束されていた猫ちゃん達でしたが、ボンファミーユ夫人が「猫に財産を相続させる」とお抱え弁護士に話しているのを盗み聞きし、嫉妬した執事により、パリ郊外に置き去りにされてしまいました。
ジャズ猫トーマス・オマリーと知り合い一緒にパリを目指す旅をします。
‘Everybody wants to be a cat’↓
アメリカのちょっと古いスラングに、
cat=jazz musician という意味があります。
実際、この曲の中で
But cat's a only cat who knows how to swing.
While playing jazz you always has a welcom mat 'cause everybody digs a swingin' cat.
と歌っています。
軽快なテンポのジャズソングが続く中、ダッチェスのアリアで見せ場を迎える。優雅にハープを奏でながら歌う。この箇所は何故か、サントラ版では割愛されています。
クラシックな猫ちゃん達もジャズでノリノリになり、楽しそうなのが印象的です。
↓こちらはイタリア語バージョン
英語で、”Everybody wants to be a cat”の部分をはっきり”tutti quanti voglion fare il jazz!”と歌っています。歌詞も、かなり音楽的です。さすが、音楽用語になっている言語だと思います。
フランスのエスプリとジャズ、アメリカンドリームが散りばめられたこの作品を 一度じっくりとご鑑賞いただけるきっかけになればと思います。