#46冊目「好き本」の作り方。振り返り
私は介護施設で介護職員をしています。
介護職員として働く中で「介護職員の働き方改革」しながら
介護の外側をせっせと作っています。
今日は私が行っている「好きな人に本を贈る」という自作で本を作る
取り組み、#46冊目の振り返りをこちらのnoteに書きます。
こんな人に見てほしい
・自分の人生を記憶から記録にしたい人
・好きな人との思い出を形にしたい人
↓
今回は1人のおばあちゃんの生きた証を息子さん2人に贈るために作りました。
きっかけ
今回の好きな人に本を贈るは二ツ井町で出会った森岡さんと一緒に作る、森岡さんの生きた証本。

森岡さんとの出会いは能代市から二ツ井町へ引っ越してきたときの
区長さんで(ご主人が区長さんだったのを引き継ぎ、今は退任している)挨拶に行ったとき「はい〜?ん?あぁ〜聞いてる。聞いてる。まず上がれ〜」と家に上げてくれて「まずいらっしゃい。なんとなく話っこ聞いてるけど…まずお茶飲むか?そいともコーヒーか!?」と、もてなしながら話を聞いてくれた。
うちの町内会は30世帯ほどの集まりで、まわりに比べると小さい区(らしい)その中で集まりとなると女性陣が9割を占める。
その中のまとめ役が森岡さん。
家にお邪魔するときは大抵「どうも〜遊びに来たよ」
「おーい、いるか〜」「すみませーん」と町内の人が出入りする。
「いつでも遊びにおいで〜」その言葉に甘えて、たまにお邪魔して
「今度、こんなことやりたいです」と話しをすると
「できるかな…!?けどまずやってみるか。みんながここに来たときにはなしてみるね」といつも前向きに検討してかたちにしてくれる。(いつもありがとうございます)
秋田で出会った、おばあちゃん。 会うたびに引き込まれ好きになる。
きっかけのきっかけ
先日もお邪魔していると話をしていると「これ見て!父さんとの写真っこ。取材してもらった写真と文章大きくしてもらって、額に入れてもらったの」と新聞の切り出しを見してくれた。「これ、息子たちにもやる!って話すんだけど。いらないっていうの。ここに来れば見れるって…まずその通りなんだけどさ。あと写真もいっぱいあってそれも全部ここさあってさ…元気なうちに片付けねばね!っと思ってるところ。あはははは〜」
新聞の切り出し、ちょこっと見してもらった写真 森岡さんが話くれるその当時の思い出。話している表情が実に良い。 柔らかく、楽しそう。
これは本にして家族さんに渡したら、良いじゃないの?
よし、今度来るときにしまうまプリントで作った本持って説明しに行こう
本作りのきっかけをくれた1枚
井上: 「前話してくれた写真。本にできますよ。見て、これ」
森岡さん: 「あい〜!こんたのもあらったか。いや〜いいな。あ、これ。これ◯◯さんじゃねか…」
井上: 「そうです。そうです。今、写真があればパソコンで本ができるんです。大きくて重いアルバム渡すのは難しいかもだけど、これぐらいの本だったら息子さん、孫さんも、もらってくれると思いますよ〜」
森岡さん: 「んだな。これぐらいの大きさであれば邪魔にならないから良いな。で井上さん私は何をすればいいの?」
ここから森岡さんと一緒に本作りが始まった。
どういう風に本を作成したのか
しまうまプリントというオンラインで本が作れるサイトを使用
森岡さんが自分で作る形ではなく
「写真と言葉」をこちらが聞き語りし本へと落としていく。月に1回ぐらいを目安に訪問して都度、写真と言葉を本に起こす。
記憶から記録へ。好きな人に本を贈る。
森岡さんの生きた証を家族へ贈るお手伝い。
左は森岡さんの結婚写真。右は本の説明につかった「説明本」
森岡さんってどんな人?
・旦那さんが町内会長(2018年まで)をしておりそれを傍で支える
・家族が大好き(旦那さん、息子さん、孫さんの話もしてくれる)
・息子と孫が大型連休に帰ってくれば何十人前の料理をテキパキつくる
・人が絶えず家に来る(人気のお店っかくらい常連の地域の人が来る。仏壇がお土産とかお供物でいっぱい)
・どこぞの馬の骨とも知らない人(井上)に「まずあがれ〜」とあげてくれお茶を出し話しを親身に聞いてくれる
・庭・畑・手仕事(料理はもちろん、ものづくりまで)を自分でやる
大事にしたこと
果てしなく「ゆるく」
夜勤明け9時ごろに行ってまず「だべる」(話す)
お父さんの仏壇に手を合わせ、お茶を飲み、お菓子を食べ、話す。
「まずあがって、あったかいお茶っこ飲め〜」とお茶を頂いていると
「どら、もってくるか。フフフフ」と階段から出てきたのはアルバム5冊。
「これは主人と旅行で行った時の・・・」
「これは主人の友達とその奥さんとで行った・・・」
「これは商店街で・・・」
「この写真は教室のみんなと・・・」
「お義母さんの写真も入れたい・・・」
「あとは、あとは・・」
そこから本作りが始まる。
「この写真、いいねー!!」
「そのエピソード書きましょう!」
話が膨らみ、写真を撮る。言葉をメモする。たまに聞く。
やることはそれだけ、この繰り返し。
気づけば12時。
「なんもねいけどね〜」でこれだけのものがパッと出てくる秋田のおばあちゃんはすごい。いつも美味しいお昼ご飯を頂きつつ本作りでした。
制作振り返り
まず作ってみる
森岡さんがテンション上がったものを採用し本にする
「これで完成!」というより
「こんな感じで本になりますよ!…ここにあとこういった写真とかもどうですか?」と提案材料に使いました。
こういった写真とは?
「家族の写真」お父さん、息子、孫、親族などの写真
「日常的な写真」旅行=特別ではなく、日常=集まり、風景がある写真
サクッと作った1冊目はこんな感じ
森岡さんが最初に出してくれた表紙の写真と「旅行」の写真。
P24で作成しとりあえず「作ったものを魅せる」ことに徹した。
そうすると反応があった。
森岡さん:
「まあまあ〜こんな感じでできるの?」
井上:
「んです〜こんな感じでできるんです・・・ただ、これまだ完成ではなくこれを見て後入れたい写真ってありますか?例えば家族の写真とか、孫の写真とかありますか?」
森岡さん:
「ある!ある!!そいたばこれとこどうだ〜!?」
森岡さんは仏間に飾ってあった写真。棚にしまってある家族の写真を持ってきた。
森岡さん:
「これはお父さんとお祝いの時の・・・」
「これは息子2人の小さい写真・・・」
「これは孫の結婚式・・・」
「あ、おばあちゃんも入れるか!」
それを何度か繰り返すと出てくる思い出の数々。
それをまた写真に撮って本にした。
2冊目でページ数はP48になった。
旅行→家族→思い出の順番で
出来上がりは8割な感じを持っていった。
井上:
「また持ってきました〜!お父さん、息子さん、孫の写真入れてきましたよ〜」
森岡さん:
「おお〜!どれ見てみるか」
「んだんだ、良い写真だな〜!へぇ〜これがこうなるんの〜!」
驚きから表情がにこやかになってきた2冊目
ここから残りの2冊を詰めていく
「はじめに」「さいごに」の言葉を入れていく作業に入る
井上:
「この本を作った経緯とか書きたいんですけどこんな感じでいいですか?」
森岡さん:
「んだ。あとこれも入れてけれ〜」
井上:
「さいごはこんな感じでいいですか?」
森岡さん:
「いいな!それ!!」
そんな感じでできた「はじめに」「さいごに」がこれ
最後にタイトルを思い出→「80年と私」に直した。
森岡さん:
「私にとってこの80年は幸せがいっぱいだった」
ポロっと出たこの言葉…
「良いね!」とタイトルを変える自分がいる。
嬉しいサプライズ
散々話したあとに帰ったら電話が鳴り
森岡さん:
「一昨年、井上さんの友達来た時の集合写真も本さ、つけてけれ〜!」
井上:
「わかりました〜」
森岡さん
「まずたのむよ〜!」
その声、電話越しでもわかる。森岡さん、とってもルンルンでした。
2019年に森岡さん家に秋田・都心の友達呼び
「おばあちゃん食堂」を実施した時の写真です。
おばあちゃん食堂とは…
田舎のおばあちゃんの家にお邪魔して
その家のおばあちゃんのご飯を食べる。
食べる前後におばあちゃんの手伝いをしながら
地域の話やおばあちゃんの話を
みんな一緒になってゆる〜く聞きながら過ごす。
とてもゆる〜い集まりです。
そして最後に最後に嬉しいサプライズが
森岡さん:
「これ入れてほしいんだけど」
「町内会に入ってもらって井上さんに会えて良いアルバムを作ってもらって感謝してますって書いてけね」
この言葉は本には書かなかった(とっても嬉しかったけど)
1人のおばあちゃんの生きた証を息子さん2人に贈るために作った本に
私とのやりとりが強く出るものは不粋かと思って・・・すると
森岡さん:
「とってもいい本だけど、あの言葉入れてねな!」
井上:
「いや〜恥ずかしくて・・・」
森岡さん:
「入れてくれれば良かったのに〜」
井上:
「まずこの本は、息子さん2人に渡すのが1番なんであんまり出しゃばりたくなく・・・」
「もし良かったらここに置く本の後ろに手書きで書いてもいいですか?」
森岡さん:
「気使ってくれてありがと!んだっ!書いてけね」
町内会に入ってもらって井上さんに会えて
アルバムを作ってもらって感謝してます。森岡キミ
書いた後に感極まって、お礼即レス
その言葉をもらった時は
とってもとっても嬉しかったです。
こちらことステキな機会を
ありがとうございました。井上弦
この瞬間にこの本は「世界でひとつの本」になった。
こうして46冊目の本が完成しました。
本って「読む」時代から「作る」時代になったんだといつも
本作りをしていると実感します。
本は作れる。好きな人に本を贈ることはできる。
今回は秋田で出会ったおばあちゃんへ作った本。
贈り先は息子2人。出来上がった本を飾る森岡さんの顔は
晴れやかで清々しく、ニコニコでした。
もし、もしも好きな人に本を贈ることをしたいと思っている人がいれば
声をかけてもらいたい。直接会って近くで一緒にわいわい作ることは叶いませんがオンラインの力を借りて、画面越しでワイワイやりましょう。
佐藤(井上)弦