家の音楽環境を整える(6)Listudeさんを訪ねる
Listudeさんへ
というわけで、奈良、新大宮のListudeさんを訪ねた。
私が購入した頃は「soni house」という名前だったが、「聴く」+「態度・姿勢」を示すListudeという名前に変わった。
このインタビューがとっても分かりやすい。
私はこのスピーカーを作っている鶴林万平さん、その奥様の安奈さんと、2011年の奈良県立図書館のイベントで出会った。そしてほぼお二人の佇まいだけで、このスピーカーの購入を決めた。1作目のSceneryを京都のお店に入れた、皆川明さんもそうだったのではないかと思う。
皆川明さんや中村好文さんがいる、今思い出してもよいイベントだったな。
ショールームで、万平さんと安奈さんが迎えてくれた。
お寿司屋さんを改装したという2階には、ライブもできるショールームがあり、時にライブも開催される。
”しない”音づくり
Listudeという名前で表現しようとしている音作りは、具体的にはどういうことか、そして他のスピーカーとどう違うのだろうと聞いてみた。
端的に言うと、多くのスピーカーメーカーがするであろうことを、なるべくしない、ということだそう。
「それぞれのメーカーさんが、色んな方針でスピーカーを作っていると思うんですよ」と教えてくれる。
音域がどのくらい出るか、雑音やブレをどのくらい減らせるか等の各数値を最大限改良するというやり方もあるだろうし、音響心理学を用いて、人が気持ちよく思うような音づくりをするというやり方もある。
でもそうした操作を、なるべくしない、というのがListudeの方針なのだそう。
もちろんそうした数値も参照はするけれど、音が空気を伝って、耳に届く、その自然な流れを阻害しないようにすることがListudeのスピーカーなのだそうだ。
Vision,Sight,Seneryとスピーカーをつなぎ変えて音を聴かせてもらった。
4、8、12とユニット数が増えると、音の広がりの違いがはっきりと分かる。12面体が最も自然で豊かな広がりがあり、はじめから12面体のSceneryを購入しておいて良かった、と思った。
うちの狭い部屋で聴いていた時には分からなかったが、弦と歌に非常に向いているスピーカーだと思った。
万平さん夫婦と会った奈良の奈良県立図書館のイベントは、西村佳哲さんが主催したもの。私は西村さんの「インタビューのワークショップ」で、人の話の聞き方を集中的に教えてもらった。いかに人の話を、自分の意図や判断を加えずにそのまま聞くことが難しいか、また聞き手の態度が話し手にいかに影響力を持つか。そしてそれが、「聞く」という一つの行為を超えて、私たち人間としての、そして社会のあり方とつながっていることを、身を持って、生まれてはじめて体験した。
このスピーカーが体現しようとしていることは、そこで習った、「聞く」=「聴く」態度につながっている。