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√2の魅力:見えない数の世界の扉

1 イントロダクション

 「$${\sqrt{2}}$$」。この数は中学校3年生で学習します。私は初めてこの数を知ったとき、「なぜ急に出てきた?」「何に使うの?」という疑問をもちました。そこで、この記事ではこの不思議な数「$${\sqrt{2}}$$」が生まれた背景と日常生活のどんな場面で使われているか紹介していきます。
 最後まで読んでいただけると嬉しいです(^_^)

2 √2の定義

 ではまず$${\sqrt{2}}$$とはどんな数か。それはこのように決められています。

 【$${\sqrt{2}}$$の定義】
方程式$${x^2=2}$$を満たす解のうち、正の方を$${\sqrt{2}}$$とする。

 ちょっとわかりにくかもしれないので説明すると、「方程式$${x^2=2}$$を満たす解」とは、同じ数を2回かけて2になる数を「解」と言います。その数(解)は正の数と負の数の2つあり、その正の方を$${\sqrt{2}}$$としますよ~と言っています。
 じゃあ次に、なんでわざわざ「√」という記号を使うのか。それは$${\sqrt{2}}$$が分数で表すことができない数だからです!そのような数を無理数といいます。つまり、$${\sqrt{2}}$$は無理数なんです。(証明は省略します)

3 √2の数学的背景

・ √2の発見

 では、$${\sqrt{2}}$$はなぜ生まれたのか?それは有名なピタゴラスの定理から生まれました。

【ピタゴラスの定理】
 直角三角形の斜辺を$${c}$$、他の2辺をそれぞれ$${a}$$、$${b}$$とする。
 このとき、$${a^2+b^2=c^2}$$が成り立つ。

直角三角形

 もし、$${a=1}$$、$${b=1}$$だったら、ピタゴラスの定理から
 $${1^2+1^2=c^2}$$
 $${c^2=2}$$
 この式は、2 $${\sqrt{2}}$$の定義 で示した方程式の$${x}$$が$${c}$$に変わっただけだから、$${c>0}$$より
 $${c=\sqrt{2}}$$
となります。
 ただしピタゴラスの定理から導かれた$${\sqrt{2}}$$は、長らく数として認められなかったそうです。なぜならピタゴラスは、「この世の数は整数と分数だけ」と考えていたため、$${\sqrt{2}}$$は「アロゴン」とよんで研究対象から除外していたそうです。

・ √2の必要性

 では$${\sqrt{2}}$$は必要かというと、必要です。
 $${\sqrt{2}}$$は上述したように、分数で表現することができない無理数です。ですが、分数で表現できなくても現実世界に存在しています。それは、等しい辺の長さが1の直角二等辺三角形の斜辺が$${\sqrt{2}}$$になることから明らかです。$${\sqrt{2}}$$がないと、したの図のように数直線に穴が開きます。ちなみに無理数がないと、数直線は穴だらけになっちゃいます。

途切れない数直線をかくには、√2や無理数が必要

4 √2はどのくらいの数なのか

 $${\sqrt{2}}$$は無理数、つまり分数で表せない数なので、どのくらいの数なのかは小数で考えてみます。

・ 手計算でがんばって求める方法

 では、$${\sqrt{2}}$$がどのくらいの数なのか手計算で求める方法を紹介します。手順は、次の通りです。

  1. 整数小数の整数部分(〇.△◇・・・の〇の部分)を決定するために、整数の中から2乗して2より小さい数と、2より大きい数を考える。その内、小さいほう数を$${\sqrt{2}}$$の整数部分とする。

  2. 小数の小数第一位を決定するために、小数第一位まである小数の中から2乗して2より小さい数と、2より大きい数を考える。その内、小さいほう数の小数第一位を$${\sqrt{2}}$$の小数第一位とする。

  3. 同じように$${\sqrt{2}}$$の小数第二位、第三位、・・・と決めていく。

具体的には、このようになります。

  1. $${1^2=1 ,  2^2=4}$$だから、$${1^2<(\sqrt2)^2<2^2}$$。各辺は正の数だから、$${1<\sqrt2<2}$$。この結果から、$${\sqrt{2}}$$の整数部分はとわかる。

  2. $${1.1^2=1.21 , 1.2^2=1.44 , 1.3^2=1.69 , 1.4^2=1.96 , 1.5^2=2.25}$$だから、$${1.4^2<(\sqrt2)^2<1.5^2}$$。各辺は正の数だから、$${1.4<sqrt2<1.5}$$。この結果から、$${\sqrt{2}}$$の小数第一位はとわかる。

  3. この作業を繰り返すと、$${\sqrt{2}=1.41421356・・・}$$となる。

他にも「開平方」という方法があります。以下のサイトを参考にしてください。

・ 数列の極限で考える


 次のような数列$${a_n}$$を考えます。
 $${a_1=1 , a_{n+1}=\frac{3a_n+2}{a_n+3}}$$
 この数列$${a_n}$$を、$${n \to \infty}$$にすると、$${a_n \to \sqrt2}$$に収束することが知られています。つまり、$${n}$$の値を大きくしていけば、$${\sqrt{2}}$$のおよその値がわかることになります。ちなみに、この数列の極限を考えることは、無理数$${\sqrt{2}}$$が必要であることも示唆しています。

・ 数値計算で求める

 微分を利用した数値計算(ニュートン法)で$${\sqrt2}$$の値を求めることができます。
 $${f(x)=x^2-2}$$とおけば、$${f'(x)=2x}$$
  $${x=\sqrt2}$$は、$${f(x)=0}$$の正の実数解である。ニュートン法を用いて、求める漸化式は、
 $${x_{n+1}=x_n-\frac{f(x_n)}{f'(x_n)}}$$
         $${=x_n-\frac{x_n^2-2}{2x_n}}$$
         $${=\frac{1}{2}(x_n+\frac{2}{x_n})}$$
$${x_1=1.5}$$として、$${|x_n-x_{n-1}|<0.001}$$となったら終了する。
このとき、$${n=4}$$で、$${|x_n-x_{n-1}|=0.000002}$$となるので終了で、$${x_4=1.414214}$$が得られます。

5 √2の実世界の例

 $${\sqrt2}$$は、実世界のどんなところに表れるのか、2つ紹介します。

・ コピー用紙の拡大や縮小に使われている

 コピー用紙には、A3やA4などのサイズがあります。実はA3はA4の紙の面積が2倍で相似になるように規定されています。
 A4の紙は長方形なので、面積は縦×横で求められます。A3の紙と相似にならないといけないので、縦だけ2倍にするわけにはいけません。ここで使われるのが$${\sqrt{2}}$$です!!
 縦と横をそれぞれ$${\sqrt2}$$倍すれば、相似な図形ですし、面積は2倍にすることができます。
 コンビニとかでA4をA3に拡大するとき、拡大率が「141%」と表示されるのは、$${\sqrt{2}}$$が隠れているからなんです!!

・ 電気の分野にも活用されています

 電力会社から送られてくるのは交流の電気です。交流の電気というのは、時間によってその大きさが変化します。じゃあどうやって家庭用に100Vの電気がきているといえるかというと、最大電圧$${V_m}$$、実効電圧を{V}とすると、
 $${V_m=\sqrt{2}V}$$という計算で算出しているからです。ただ、なぜ$${\sqrt2}$$がでてくるかという説明をすると、電気の知識や積分が必要になるので、ここでは控えますね。

6 結論とまとめ

 $${\sqrt2}$$という一見不必要に思える数だが、存在している数で、これがないと数直線が書けないことがわかった。
 $${\sqrt2}$$のおよその値は、手計算や数値計算で求めることができた。ちなみに、$${\sqrt2}$$は「連分数展開」という方法で表現できて、この表現の上では規則性が見られる。ユークリッドの互除法を学習した高校生なら理解できる内容なので、調べてみてほしいです。
 また実生活にも、様々なところで使われているため、生活をする上でとても大切な数である。
 ちなみに、実生活では曲尺という大工道具がありまして、そこにも$${\sqrt2}$$が隠れています。ぜひ調べてみてください!!

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