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「ある晴れた夏の朝」読了

1 あらすじ

ヒロシマ・ナガサキへの原爆投下について、あなたはどう考えますか?

原爆が投下されてから数十年後、原爆肯定派と否定派に分かれた討論会が

アメリカで開かれた。

日系アメリカ人のメイや中国系、ユダヤ系など8人の高校生が悩み考えながら、チーム力、リーダーシップ、リサーチ力、語彙力――自分たちの力のすべてを結集し、2チームに分かれて白熱の論戦が始まった……!

2 感想

 あらすじにある通り、原爆投下の是非について、4人ずつ2チームに分かれて討論が行われます。

 その中で、トルーマン大統領の政略的な考え方や人種差別と原爆との関わり、日本兵の中国人に対する迫害など、実に多面的に議論が展開されていきます。

 私もこの本を読んでいって知らなかったことがたくさんありました。

 また、そんな私だからことだと思うのですが、原爆肯定派の根拠のある主張を聞くと、「なるほど。一理あるな~」と感心しながら読み進めていきました。

 ただ私は原爆投下否定派としてこの本と向き合っていたので、何とか反論してくれ~と願っていました(笑)

 さて、この本の素晴らしいのは日本に住んでいたり、学校の授業だけでは触れられない、原爆を投下した国アメリカの意見に触れることができるところです。それも先述した通り根拠をもった意見に触れられます。

 またこの本のクライマックスで、原爆投下肯定派のナオミが述べた次の2つの発言は、とても心に残りました。

パレスチナ人とユダヤ人のあいだにはりめぐらされている、憎しみと怨恨のチェーン、暴力と暴力の連鎖を断ち切るためには、互いに相手を許すしかない。相手を許し、愛さなくてはならない。平和を築き上げるためには、憎しみと暴力を切り捨てなくてはならない。
(中略)
われわれ人類は一致団結して、われわれの共通の敵、すなわち、無知や憎悪や偏見と戦わねばならない。憎しみという敵はわれわれの外側ではなくて、内側にいる

ある晴れた夏の朝

原爆投下を肯定することは、ナチスがユダヤ人に対して犯した罪を肯定することと同じです。原爆とガス室。ふたつの行為は、どちらも間違ったものであった。どちらも憎むべき悪であった。どちらも、醜い人種差別の行き着く先にあるものだった。

ある晴れた夏の朝

 無知から生まれる偏見。このことを私自身、肝に銘じることだと感じました。そうならないように、多文化にも目を向けること。それが、私ができる平和への第一歩だと思います。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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