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「平和は闘いだ」を読んだ感想


1 今回読んだ本

タイトル:平和は闘いだ
 著者 :田中裕二、太田光、伊勢崎賢治
 出版社:講談社

 著者の一人、伊勢崎さんは平和構築学を研究されている方です。
 平和の大切さはもちろんですが、実地での見聞を踏まえて、平和を具体的にどうやって構築していくか研究している方です。

2 心に残ったことや考えさせられたこと

・共通の敵を見いだし団結させる

 これは著者の伊勢崎さんが実際に他国で行った方法と書いてありました。
 ある国のスラム地域に住んでいる人たちがいました。その地域は様々な宗教の人たちがいます。異なる宗教の間では衝突があっていたようです。しかしこのスラム地域では、トイレがない、住む場所は強制撤去させられるといったことが起きており、非常に住民は困っていました。
 落ち着いた生活を送れない、という悩みは宗教を問わない悩みです。そのため、共通の敵(この場合は政府)を見いだして団結させたそうです。

図1 宗教の垣根を越えて共通の敵のために団結させる

 これは確かに日常でもありますよね。でも伊勢崎さんがすごいのは、それを発展途上国のスラム街でできてしまうことです。命の危険だってあります。

・自衛隊の派遣だけが必要なのか

 これは、ずーと議論されていることですね。
 「日本はお金しか出さない」「兵士を戦場に送らないことは、アメリカなどに頼っている」
 しかしこの本を読んでいると、お金を出しているだけではありませんね。
 紛争解決に向けた武装解除の提案や軍事監視団、司令部要員を派遣、政務に関わる人間を出すなどしています。

 この議論の問題は、「武力による平和維持を他国任せ」にしていることはどうなんだ、ということでしょう。
 憲法9条では、「紛争を解決する手段として、武力を用いない」とあります。憲法は最高法規のため、これは絶対の方針です。

 この本で書かれていたのは、日本という経済的にも軍事的にも大きな国が憲法で武力を用いないとしていることに価値がある、と書いてありました。

 では、すべての国が憲法でこの条文を書けば紛争がなくなるでしょうか?
現状では期待できませんね。
 この本で伊勢崎さんも、武力を完全に否定はできない、と書いてます。
 ある地域で2つの勢力が争っていたときに、国連平和維持軍という「中立の立場の武力」があったおかげで和平交渉できたらしいです。

 私たちの日常生活でもそうだなと思います。
 何かトラブルが起きたときに武力(暴力)に頼った解決をしようとしても警察がいてくれます。その抑止力は必要なのでしょう。

3 おわりに

 この本を読んで色々と考えさせられました。

 和平交渉をするために抑止力としての武力が必要なのは、ある程度理解できます。しかし、それが行き過ぎたらどうでしょうか。核の問題がそれにあたると思います。

 また、紛争がこの世の中から完全になくなることはないでしょう。一人一人の正義は異なるからです。
 でも減らしたり、紛争が起きても早期に解決して被害を最小限にすることはできると信じたいです。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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