間違いを通して理解を深める ~内角の和の学習を通して~
1 三角形の内角の和は?
今回は中学2年生を想定して記事を書いています。
中学2年生は図形の学習に入ってすぐ、三角形の内角の和が180°であることを、平行線の性質を使って理解します。
2 四角形の内角の和は?
三角形の内角の和が分かれば、次は四角形の内角の和です。
これを考えようとすると、おそらく次のような会話が、生徒と教師の間でなされるでしょう。
さて、前時までの学習内容を理解していたり主体的に学習したりする生徒ならば、四角形の図の中に、何かしら補助線を入れたりすると思います。
例えば、次のような補助線を入れて、四角形を三角形に分割するとよいのです。
3 五角形の内角の和は?
数学の先生や数学が得意な人であれば、上述した内容から、五角形ならば次の図のように分割するのではないでしょうか。
このように分割すれば、四角形の時と同様にして、計算できます。
では、次のような補助線をひいて分割した場合はどうでしょうか。
補助線をひいてこのような分割ができるのは、五角形以降です。
実際に生徒の中にはこのような分割をした生徒がいました。
4 間違いの中に深まりがある
実は図7のように分割すると、五角形の内角の和を求めることができません。
その理由は、補助線をひいて、新たに内側にできた五角形が原因です。
では、この間違いをした生徒は、その理由を考えるでしょうか?
私は、教師が意図的にこの間違いを取り上げないと、この生徒はその理由を考えないと思います。
正解の補助線を黒板で示されて、「あ~。あれが正解なんだ。」と納得して終わりです。
でも、私はこのような間違いこそ、学級全体で取り上げて、考察することで、間違った生徒だけではなく、他の生徒の理解の深まりにつながると思います。
なぜこの補助線だとだめなのか?と教師が問えば、生徒たちは考えるでしょう。
論理的な思考力を育むためには、そのような仕掛けも必要です。
ちなみに、図9のように、図7の補助線を1本減らせば、内側にできる図形が四角形になります。
四角形であれば、既に内角の和が360°だとわかったいるので、この補助線
の引き方で、五角形の内角の和を求めることができます。
5 終わりに
教師にとっては見慣れた問題でも、生徒たちにとっては初めて出会う問題。
だからこそ、生徒たちは様々なアプローチで問題に答えようとします。その中には、「なぜそう考えるのだろうか?」と思えるような間違えがあります。
でも、その間違えこそ、生徒たちの学びを深める要素を含んでいたりします。
教師が生徒の間違いをただ採点して終わりとするのではなく、興味関心をもって教室全体に「なぜだろうか?」と投げかけて考えさせることが、理解が深まる1つの方法ではないかと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。