台湾ラムフェスティバル2023を振り返る
こんにちは、Rum club japan の三上です。
国産ラムが盛り上りを見せた2023年ですが、日本だけではなくお隣の台湾でもラム酒を巡るめざましい動きがありました。
サトウキビ大国、台湾。
実はそのルーツは日本にあるということはあまり知られていないのではないでしょうか。
この記事によれば、新渡戸稲造の貢献により、サトウキビの品種改良がなされ、台湾の精糖工場は年間を通じた安定稼働を実現することになったとあります。さすが5千円札の顔。
そう考えると、台湾のラム酒の歴史もそれなりにありそうな気はしますが、確認できるラム酒生産の歴史ではTTL(Taiwan Tabacco & Liquor Corporation)が1971年にラム酒生産を開始とあります。2002年まで台湾における煙草とアルコールの製品販売を独占していたので、そもそもラム酒を作ることはなかったのでしょう。その後、2013年にルネッサンス蒸留所のオリビィエとリンヤ夫妻が地元の糖蜜を使った実験を開始するまでは。
※ルネッサンス蒸留所のラムは昨今こちらのサイトでボトルのレビューが上がっています。https://thelonecaner.com/r1028/
2023年現在、台湾でラム酒を製造する蒸留所は5箇所ほどと聞いています。いずれもこの3-4年の動きとのことですので、日本で考えるとルネッサンス=伊江島蒸留所くらいの時期、3rd wave の蒸留所がこの数年で製造開始しているという日本の状況に近しいものがあります。
視点変わりますが、そういえば、台湾ラムフェスティバルの際には、ホワイトラムに抵抗のない若い人が多かった印象ですが、いったいなぜなんでしょう?
白酒の文化が関係してるのかもね~という意見がありましたし、なんとなく飲んだ人のコメントからは日本酒っぽいニュアンスも感じたのではと思いました。(実際に日本酒の台湾向け輸出めちゃくちゃ増えているみたいです) 一方でアグリコールよりはモラセスの方が皆様飲みやすそうな印象でした。日本と近いとはいえ、やはり文化的背景で好みの傾向に若干の変化があるのは面白かったです。
とはいえ、まだまだラムはカクテルのベースという印象が全般的に強いようで、どのようにラムの認知普及を進めていくかについては頭を悩ませているラム関係者が多いのも日本と似ていました。。。実際にマスタークラスの際にサトウキビの収穫したことある人?と聞いたら20人中1-2名しか手が上がらず、ぜひ体験してほしいなとも思いました。
一方で、世界的にみてアジアのラムってどうなんでしょうというところですが、ヨーロッパ、オーストラリア、シンガポールからラム業界の関係者が集まって来ており、アジアに注目が集まっているとのこと。とはいえ、段階としてはエデュケーションのフェーズであり、まだまだ成長の余地があるとのこと。
今年の11月にシンガポールで開催されたウィスキーライブでは、ラム専用のコーナーがもうけられるなど、徐々にラムにもフォーカスがあたり始めています。環境分析を踏まえると、おそらくはシンガポールがアジアラムの中心地になるのでは、と予測しています。
アジアのラムというカテゴリーへの世界の着目をひしひしと感じつつ、こうやってラムは世界レベルに引き上げられて行くのだなーと市場の力学のようなものを感じました。
まだまだ時間のかかることとは思いますが、結局は熱意を持った人たちの行動の連鎖です。特に海外勢はラムにBETしてる人が多いと思います。コミュニケーション能力はもとより、結果としてのその行動力とスピードは目を見張るものがありますし、何より彼らのビジョンが素晴らしいなと思いました。この旅一番の刺激でした。
何はともあれ、日本のラムブランドが名乗りを上げ始める重要な一歩になったことは間違いなく、これは喜ばしいことと思います。
今回のきっかけを作ってくれた台湾ラムクラブのXian, Hu には大変感謝しています。いい友人が出来ました。彼がやってる台湾ラムクラブもぜひ覗いてみてください。
https://www.facebook.com/groups/441450109954461/?ref=share
そして、台北No1のラムバー、OLE RUMBAR & TAPASはこちら
しかし、40を過ぎてから仕事も家庭も忙しいなかで本当に時間のない生活を送っていますが、そのなかでも色々バランスしながらなんとか時間を作って少しでもラムの普及にお役立ちしていければと思います。(仕事が忙しすぎる時はせめてラムbarへ行きますww)
引き続き来年もどうぞよろしくお願いいたします。
2023年12月31日
Rum club japan 三上雄三