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デ・キリコ展へ

10月のことですが、神戸市立博物館で開催されている
デ・キリコ展を見に行きました。

私が好きなデ・キリコの絵は、アーケードのある
広場の絵ですが、デ・キリコ展ではそのタイプの
絵の他に、形而上絵画、古典絵画など様々な画風の
作品が展示され、その変遷をたどることができました。

私は若い頃からデ・キリコの絵に興味がありましたが、
「もっと知りたいデ・キリコ」という本と
山田五郎さんのyoutubeで予習してから
見に行きました。

一部の絵は撮影が許可されていました。

「17世紀の衣装をまとった公園での自画像」です。

17世紀の衣装をまとった公園での自画像

古い時代の赤い衣装を身に纏い、自己陶酔に浸って
いるような堂々とした立ち姿ですが、
突き抜けている様子に遊び心さえ感じます。
キリコが古典技法で描いていたころの絵で、
足元の植物の絵にも、葉っぱに動きがあったりして
見入ってしまいました。


こちらも古典技法で描かれた「風景の中で
水浴する女たちと赤い布」です。
デ・キリコの妻イザベラがモデルのようです。
気品と知性が滲み出ているように思います。

風景の中で水浴する女たちと赤い布


こちらは、古典技法に転じる前の絵です。
「沈黙の像(アリアドネ)」
デ・キリコはイタリアの広場の絵を
いくつも描いていて、その内の一つです。

沈黙の像(アリアドネ)


私がとても好きな広場の絵は、昔、アメリカの
フィラデルフィア美術館で見た
「占い師の報酬」という絵でしたが
その絵は来てませんでした。

購入したポストカードです。
「バラ色の塔のあるイタリア広場」
近景から遠景へ視線が誘われて、
その空間の中に意識が漂い、不穏な空気の中で
郷愁を感じるような不思議な気持ちになります。

バラ色の塔のあるイタリア広場


「形而上的なミューズたち」です。
デ・キリコの代表的なモチーフの
マネキンです。不思議としか言いようが
ありません。

形而上的なミューズたち

「孤独のハーモニー」です。
手前には様々な物がごちゃごちゃ
積み上げられていて、でも奥に小さく見える
景色は物寂しく空虚な感じがします。

孤独のハーモニー

デ・キリコの晩年の絵です。
部屋で舟を漕いでいる人、もう不思議すぎますが、
窓の外の風景は、過去にデ・キリコが描いてきた
モチーフが見られます。
これまでの人生を振り返り、
自分は大海を進んでいたのではなく、狭い世界で
小舟を漕いでいたのだと気づいた人を表して
いるのかなと妄想してみたりしました。
デ・キリコ本人はそんなことを思うわけはないですが。

オデュッセウスの帰還

「瞑想する人」です。
ここまで来ると、もう本当にデ・キリコが
描いたのかなと思ってしまいます。
瞑想してるのに、全然すっきりしてないというか、
逆にいろんなものに纏わりつかれているように
見えます。

瞑想する人

他に古典技法で描かれた果物の静物画も
よかったです。
私はやはりデ・キリコのイタリアの広場の絵が
好きでした。
好みの絵も好みでない絵も、全体的に
デ・キリコのエナジーや世界を堪能できて
楽しめました。
晩年の絵は、過去の絵に比べて薄味な感じが
しましたが、大きな戦争を体験した激動の時代から
戦後まで、時代の影響を作品の中に見ることが
できたように思います。

晩年の絵に以前ほどの力が感じられないと
思ったのですが、晩年は彫刻に取組んで
いたのでした。その彫刻の数々の作品に
デ・キリコが新しく蘇ったように
私は感じました。
写真撮影は不可なのでお見せできないですが、
奥行きや立体感のある絵が描かれていた
ことを思うと、最後に作っていたのが
立体作品だということに納得がいきました。

予習していたわりに、デ・キリコについての
詳しい内容は書けなかったですが、
絵そのものが謎なので感想は難しいです。
ということを言い訳にしておきます。

この日は、10月の暖かい日で、絵を見てから
港の方へ歩いて散策しました。
広場でジャズのフェスティバルが開催されて
いたり、メリケンパークでは大きなインドの
フェスティバルが開催されていたりと、
にぎやかで楽しい一日でした。
調べて日程を決めたわけではなく偶然でした。

その時の写真を少し。

ジャズフェルティバル いくつものグループが順番に演奏されてました。

インド人による舞踏 お店もたくさん出ていて賑わっていました。


最後に港街の風景です。

メリケンパークの海


秋の午後の神戸


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