見出し画像

【海外駐在】パラダイムシフト(物の見方の変化)を意識する。日本人が海外で活躍するということ。

日本人が海外で仕事で活躍するにあたっては、チャレンジなことが幾つがあるが、今回は、パラダイムシフト(物の見方の変化)について書いてみたい。

パラダイムシフト(物の見方の変化)とは

異なる文化、環境において、異なる価値観、労働観、幸福感を持つ人達と一緒にスムーズに働くというのは、かなり難易度の高いチャレンジである。私たちは、日本人であるため、日本独特の文化や価値観を持っており、その上に自我というもの積み上げいてる。

そんな、我々が、異なる文化、環境のな中で育った人達と一緒に働く時に、これまでの日本スタイルを全く変えずに、そのまま持ち込んで仕事をしても、上手くいかないだろうとことは、皆さんも想像がつくと思う。

郷に入っては郷に従えと言う言葉の通り、基本、駐在する我々は、出稼ぎで外国にやって来ているのであるから、我々の方がその国の文化、価値観を理解し、敬意を払い、それに適応するというのが筋ということになる。

我々グローバルマネージャーが目指すのは、日本で生まれ育った我々が、その国の文化、価値観、労働観、幸福感、考え方を理解できるようになり、日本のそれと、異なった物の見方を、同じテーブルに載せて、対比の構図で俯瞰的に見れるようになることである。

2つの異なる物の見方をマスターできると、仕事や生活のいろいろな場面において、よりその場に適切な物の言い方や判断ができるようになる。

7つの習慣 Steven Covey著にみる、パラダイムシフト(物の見方の変化)

7つの習慣/スティーブン・コヴィー著と言う本では、このパラダイムシフトを説明するのに、一枚の絵を使って読者に実体験持たせるという、秀逸な説明があるので、それをここに掲載したい。

以下の絵を見たときに、あなたには、この女性が何歳くらいに見えるだろうか。この質問を教室にいる10名の生徒にすると、約半数の人間は20代の若い女性と答え、残りの半数は、年をとったおばさんに見えると答えたりする。
全く同じ1つの絵を見ているのだが、認識される物には、大きな隔たりが生じることがある。

7つの習慣、パラダイムシフトより
7つの習慣、パラダイムシフトより

若い女性が見えると言う人は、上の図の左側の構図(perspective =物の見方)でこの絵を捉え、老婆が見えていると言う人は、右側の構図(perspective =物の見方)で、この絵を見たということである。
異なる環境に入った時は、おうおうにして、自分と現地の人の間に、これと全く同じことが起こると思えばよい。

自分と現地の人では、物の見方が異なり、結果として、同じ物をみても、全く異なる認識を持つことがある。この事を理解し、相手の立場に立った物の見方を身に付けることが大事である。

我々グローバルマネージャーが目指すのは、日本のそれと、異なった物の見方を、同じテーブルに載せて、対比の構図で俯瞰的に見れるようになり、仕事や生活のいろいろな場面において、よりその場に適切な物の言い方や判断ができるようになることである。

この場合だと、1枚の絵に、若い女性にみえるperspective(=物の見方)と、老婆に見えるperspective(=物の見方)の両方が存在することを理解できることが大切である。

日本本社との会議の場では、日本側は若い女性の前提で発言をするが、現地の人には、老婆に見える状況で発言する。当然、話しは全くかみ合わず、お互いに相手側は物を見る目がないとか、何を考えているのか、全く理解できないということになる。

グローバルマネジャーは、双方のperspetive(=物の見方)で物を見ることができ、また、それぞれの側に、相手側の物の見方を説明できるというのが理想である。

パラダイムシフト(物の見方の変化)により、もたらされる物

グローバルマネジャーとは、日本と現地の異なる文化、価値観により、物の見方や考え方に大きな違いのあることを認識する。更に、その両方の物の見方で、物を見る習慣をつける。そうして、仕事や生活の場において、2つの物の見方、考え方から、より適切なものを選ぶ。

それでは、日本マネージャーがグローバルマネジャーになる時に、どのような変容や変化をもつことになるのか、いくつかの要素を下記に見てみたい。

1. アイデンティティの変容

  • 異文化に深く関わることで、自分自身の文化や価値観を客観視するようになり、自己認識が変わる。

  • 例えば、日本の「空気を読む」文化が当たり前だと思っていた人が、欧米の「率直に意見を言う」文化に触れ、自己主張の重要性を再認識する。

2. 思考の多様化(メタ認知の向上)

  • 一つの文化や価値観にとらわれず、多面的に物事を考えられるようになる。

  • 例えば、ビジネスの場で「日本流のやり方」と「海外流のやり方」を比較し、状況に応じて最適なアプローチを選べるようになる。

*メタ認知(Metacognition)とは、簡単に言うと「自分の考え方や学び方
 を客観的に認識し、コントロールする能力」のことです。つまり、「自分     
 が何をどのように考えているのか」「どこで間違っているのか」「どうす
 ればよりよく学べるのか」を意識することを指す。

3. 固定観念(ステレオタイプ)の解体

  • 異文化の人々と深く関わることで、「◯◯人はこうだ」といった先入観が覆され、個人として相手を見るようになる。

  • 例えば、「フランス人は仕事より生活を重視する」と思っていたが、実際には非常に勤勉な人も多いことに気づく。

4. コミュニケーションスタイルの適応

  • 言語だけでなく、ジェスチャー、表情、沈黙の使い方など、文化ごとの微妙な違いを理解し、適応できるようになる。

  • 例えば、欧米では直接的な表現が好まれるが、日本では曖昧な表現が求められることを理解し、適切に使い分けるようになる。

5. 価値観の再構築

  • 「成功」「幸せ」「時間の使い方」など、根本的な価値観が分かることである。

  • 例えば、日本では「長時間働くことが美徳」とされがちだが、ヨーロッパで「ワークライフバランス」を重視する人々と関わることで、自分の働き方を再評価する。

6. リーダーシップやマネジメントスタイルの変化

  • 異文化の部下や同僚をマネジメントする際、自分の価値観を押し付けるのではなく、相手の文化を尊重しながら新しいリーダーシップを発揮できるようになる。

  • 例えば、日本の「細かい指示を出す管理スタイル」から、欧米の「自律性を重んじるスタイル」に適応する。

  • 文化の違いによって予想外の出来事が頻繁に起こるため、それを受け入れ、柔軟に対応する能力が高まる。

  • 例えば、日本では計画重視の文化だが、東南アジアで「予定は未定」が当たり前の環境に適応することで、即興対応力がつくなど。

グローバルマネジャーを目指して

どうだろうか、グローバルマネジャーのイメージ、輪郭が見えたことと思う。文章で書くと簡単だが、実際に、まるドメ(ずーっと日本で仕事、生活をしているの意味。まるでドメスティック)な人が、グローバルマネージャーになるのは簡単ではない。

より正確に言うならば、20年くらい同じ国、例えばアメリカで仕事、生活をすれば、アメリカ人の文化、価値観、アメリカ人のperspective(=物の見方)を身に付けるのは難しくない。40年くらいも住むと、おそらくその人はアメリカ人のようになってしまい、人によっては日本人のperspective(=物の見方)を失ってしまったりする。

グローバルマネジャーが難しいのは、新しい国に到着したと同時に、若しくは、非常に短期間の間に、その国のperspective(=物の見方)を身につけなければならないところである。短期間に自分をパダイムシフトさせなければならない。何年も経ってからでは、あっという間に帰任になるので、時間がかかり過ぎということになる。

そのためには、駐在する国が決まったら、まずは、できるだけその国の文化、歴史、風習、慣習を学ぶことである。もし、英語圏でない場合は、その国の言葉を学ぶということも、その国の文化、価値観を身に付けるのにとても役立つ。単に言葉を教科書から学ぶのでなく、家庭教師の人と、価値観や物の見方について講義してもらいながら語学を学ぶのもとてもよい。

予習の一環として、以前にも紹介した異文化理解に関する優れた書籍(下にリンクを貼っておく)には必ず目を通して、自分の赴く国がどのようなユニークな価値観を持っているかは必ず確認しておくべきである。

そして、着任したてがとても大切である。着任したては、現地のperspective(=物の見方)が見えていないということを強く意識することである。そして、注意して、機会ある度に、現地のperspective(=物の見方)で物を見ることに努めることである。

着任したての時は、現地で起こることを、日本のperspective(物の見方)でしから捉えることができず、大きな誤解をしたり、はたまた、被害者意識を持ったりと、独りよがりな状態に陥りやすいので要注意である。(着任したての時の注意事項については、また、別の記事で書いてみたいと思う。)

赴任を前にして、体当たりで頑張れば大丈夫とか、当たって砕けろといった感じのアドバイスをする輩がいるが、そのやり方でGlobal managerになるには、相当なメンタルタフネスと労力が必要となる。もっというと、そういうやり方で入っていくと、現地の人達にとても大きな迷惑をかけることになってしまう。

外国人である自分が、その国に、ある意味出稼ぎでやって来て働くのであるから、その国の文化、価値観、労働観、幸福感等の理解に積極的に努め、現地の人に敬意を払い、なるべく迷惑をかけないという謙虚な気持ちで、自分ができる準備を予めするのが、Global managerとして活躍するための、キモである。

<異文化理解の秀逸な書籍、2冊>

>>>
ソニーでの海外勤務についてKindleをだしてます。気がむきましたら、ポチッとお願いします。

【ソニー入社3年で香港駐在 駐在員で唯一の中国担当になり、深圳事務所に毎日通わされた。1人だけ貧乏くじ引いて涙眼で働いた。 6年働き中国語がペラペラに 8年後台湾子会社の社長。 中国語のおかげ、貧乏くじでも手を抜かずに頑張ったのがよかった。Kindle本ベストセラー】








いいなと思ったら応援しよう!