ビジネスは全部フロイトさんから教わった。
どうもこんにちは(こんばんは)トムです。今回はお仕事の話でもしようかと思います。
●ジークムンド・フロイト
ジークムンド・フロイトさん。この方は1850〜1930年頃の学者さん及びお医者さんです。フロイトさんは精神科という医療の創始者で、人類史上初めて人の精神の構造をテーマに研究した方です。
●私がビジネスで活用したフロイトの「無意識」の氷山。
フロイトさんが提言した「無意識/潜在意識」の氷山(上の図)という有名な図があります。私はよくビジネスで困ったらこの氷山を眺めて再思考していました。(変人ですかね…)
「人の意識とは表層でしかなく、その意識の下には巨大な無意識の氷山が眠っている」とフロイトさんは言いました。わかりやすく言えば「わたしたちは意識していることより無意識していることの方が圧倒的に多い」ということです。
●大切なのは「意識改革✖️」ではなく「無意識改革◎」
多くの人は現場を変えたいと願った時、自分や他人の意識を変えようとします。またセミナーや本などによるビジネス学習も、そのほとんどが「学んだ人たちの意識を変えるためのもの」ばかりです。
ところがフロイトさんは言います。
「意識なんてんて(1%)ちょびっと🤏だよ」と。
わたしも職場にビジネスの知識やセミナー学習は随分取り入れましたが…振り返ると「意識」を変えようとしたアクションが成功したことは少なく、それよりもフロイトさんの言う「無意識」に働きかけて自然と組織力が増す仕掛けを考えたり、あるいは無意識のうちにお客さんの満足度が上がる仕掛けを考えた時のほうが余程うまくいった経験則があります。
●ライブイベントに仕掛けた「無意識改革」
note初投稿の 自己紹介1/2 にて新型ライブイベントを立ち上げたエピソードを書いたのですが、このイベントを盛り上げるために用意した無意識改革がありました。
●2ステージ&対岸構造という仕掛け
ライブハウスには「メインステージ」というバンドがライブをするステージがあります。大体ライブはそこでやるだけです。ここに私は自分でスピーカーを持ち込んでメインステージの反対側にアコースティックライブ用のサブステージを作り、メインステージとサブステージで交互にライブをやるシステムにしました。これにはいくつかメリットがありました。
一つは、出演者が増えるため、お客さんも増えます。そして出演者が増えるのですから出演費の収入も増額します。つまり利益も出やすくなります。
ただ、このメリットは目的の副産物でした。元々この構造はお客さんの無意識に働きかけて自然と盛り上がるライブイベントが作れないか?と思って考案しました。
●一番後ろのお客さんが一番前になる構造にしたら、自然と盛り上がるのではないか?
対岸構造の一番の狙いは会場の掻き混ぜでした。
ライブを見るお客さんは2種類に分かれます。【①前で率先して盛り上がって見てくれる人】【②後ろの方でゆっくり見ている人】に分かれます。
バンドは全体を盛り上げるために必死に後ろのお客さんまで巻き込むパフォーマンスをします。そうしないとなかなか盛り上がらず良いライブになりません。(これが大変なんです…)が、対岸構造で交互にライブをすることによって一番後ろのお客さんが今度は一番前になるようにすれば、自然と会場が掻き混ざって盛り上がる空気にならないか?と考えました。
その効果は覿面(テキメン)でした。これはライブを盛り上げようと死に物狂いでパフォーマンスしてきた私にとって信じられない効果でした。これまでは盛り上がらないお客さんの「意識を変える」しかなく、必死に必死にパフォーマンスして…やっと…なんとか…盛り上がる…くらいでした。ですが、このイベントではお客さんが「無意識に盛り上がってくれる」ため、自分たちの好きなライブをやることで自然と会場が盛り上がりました。
対岸構造の最大のメリットは、出演費の増収ではなく「お客さんが自然と盛り上がる」という見えない効果(無意識改革)によるコストパフォーマンスの向上でした。盛り上がるライブには自然とお客さんも集まりますし、出演者も集まります。その効果のほうが利益率よりよほど効果がありました。
●「99%の要素(無意識)」を認識してビジネスをする。
私がビジネスで行き詰った時、なぜフロイトさんの無意識の氷山を眺めるようにしていたか?それは今見えていない無意識(99%の要素)はどこか?自分に対しても、人に対しても、冷静に再思考するためです。
例えば職場の人間関係が悪い現場を改善したいとします。(よくあるやつですね)みんなに「仲良くしましょう」と意識に訴えれば改善されるでしょうか?それはNOです。(そんなんで人間関係良くなったら誰も苦労しません)その気はなくても「自然と仲良くなってしまう」構造にしてしまう無意識改革が施せるか?がカギです。
●マネジメントで私が気付いた無意識(深層心理)の正体。
私も人間関係の課題に取り組んだことは沢山ありますが、だいたいこういう課題を解決しようとするとき、多くの人は飲み会など遊ぶ企画ばかり考えます。これで会社の雰囲気が良くなったのを私は見たことがありません。
理由は簡単です。そういった努力はやはり意識的(1%の要素)でしかなく、その場が終わればまた無意識的(99%の要素)な現実の職場へ帰っていくからです。
意識することなく無意識に仲良くなる仕掛けを職場に作る以外、従業員同士を仲良く働かせる方法はないのです。
では無意識を変えるためにはどうしたらいいか?
これはマネジメントに限った話ではありませんが、私はまず課題認識から意識的(表面的)な側面ではなく、目に見えない無意識的(深層的)な側面が認識できるまでトコトン課題と向き合います。
そして私はマネジメントにおいては
「仲が良い」ことに価値は無い✖
「結束して仕事に取り組めている」ことに価値がある◎
と人間関係の課題のなかにある無意識の要素(みんなが意識していない部分)を課題認識しました。仲が良いから結束して仕事に取り組んでいるのではなく、結束して仕事に取り組んでいるから仲が良くなるんだ…という捉え直しです。
●「重い石を持ち上げる仕事があったとして、私ひとりじゃ無理だから、苦手な人とも力を合わせる。」
私がよく従業員に使った例え話です。
例えば重い石があって、自分ひとりでは持ち上がらない。何人かに協力してもらって石を退かしたら、知らない人やジャンルの違う人同士でも仲が良くなることはあっても悪くなることはそうそう無いと思います。
上記した無意識の要素に気付いた私は仲が良い/悪いではなく、職場がやるべきこと/やらなきゃいけないこと(仕事)、そしてそれは苦手な人とも協力し合わなきゃ達成できない!という目標を設定し、そして達成しよう!という文脈でしか従業員にアプローチしないことにしました。(人間関係の問題になど着手しませんでした)
そしてやるべきこと/やらなきゃいけないこと(仕事)に一生懸命取り組んでくれる従業員を労い、そんな達成志向の強い従業員をリーダーとして育てていきました。
すると、リーダー格とそのリーダーをサポートする人のコミュニティが次々に乱立し、多少の忌み嫌い合いが現場にあったとしても、各コミュニティ内で支え合えるので孤独になっての退職者が減少し、かつ各コミュニティは「仕事の達成を目的として結束している」ため、他のコミュニティとも競い合って成果を出すようになっていきました。
気付くとわたしは現場にいる必要すらほとんどなくなり、各時間帯、各チームの結束が次々に結果を出し、成果を出し続けることで組織が自信を持ち、人間関係も良化していきました。
結局、目的が明確な職場だとみんな自然と結束するということです。そうでない職場だから結束のしようがなく(する必要がなく)「あの人とは合う/合わない」で職場を批評するようになり、それが目的であるかのように人間関係が悪化していきます。例えネガティブな話を従業員から数多聞かされたとしても、それは表層でしかなく、仕組みやカルチャーに問題があり、仕事の本質に立ち返って人間関係は「結果としてある」ことに着眼しなければ、まず良好な人間関係の職場にはなりません。
●物事の本質は残念ながら〝複雑である〟ということ。
「無意識」というものに着眼したフロイトさんの素晴らしさは「人の意識というものは結果(1%)でしかなく、その原因(99%)は無意識のなかにある」と意識をシンプルに取り扱わず、その複雑性を受け入れて解明しようとした姿勢にあると私は思っています。
昨今、世の中ほんとうにシンプル!シンプル!シンプル!と、それしか言えない病気にでもかかったかのような有様です。。私としては…ほんとうにそうなのか?シンプルイズベストだろうか?人に伝えて共感を得るためにシンプルが必要になることはあっても、それはあくまで伝え方の話でコトの本質がシンプルだった試しなんてあるだろうか?
シンプル属の方は、もしかしたら私のような無意識に働きかけてくるフクザツ属にとっくに支配されているかもしれません。お気を付けください。
ブランド、カルチャー、アイデンティティ、理念、文脈、時間、集団真理など…結局は目に見えたシンプルな1%の表層ではなく目に見えないフクザツな99%の深層を認識できるようにならければ、自分のことも、人のことも、そして世の中のことも、うまく認識できないまま、濁流に呑み込まれて人生が終わってしまうと私は思います。
●フクザツでいい。ただし、徹底的にやろう。
私はあえて複雑さを極めるような人生にチャレンジしたいと思っています。大は小を兼ねる…といいますか、複雑さのなかにはシンプルさがちゃんとあります。だからフクザツはシンプルも可能の二刀流です。複雑さが煩わしいからとシンプル一本に逃げてしまうと、人生や世界から本来味わえる本質的な刺激や面白味を得られません。私はこの刺激と面白味に満ちた人生と世界を、これからもまだまだ堪能していきたいです。
そんなわけで大変フクザツにお仕事の話をさせていただきました。最後まで読んでくださった神様がいたら、あなたは神様です。すごい人です。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます!ばいばーい✋