好きな本の話
去年なんとなく立ち寄った本屋さんで見つけた、ヨシタケシンスケさんの本。その頃見たテレビで、絵本なんですが大人も読んでいるという話を聞いて興味がありました。
「メメンとモリ」という絵本です。ヨシタケシンスケさんの本は文庫本なども読んだことがありますが、クスっと笑ってしまう発想が好きです。ちょっとネガティブだったり、心に刺さる言葉もありで。
「メメンとモリ」は3つのお話がありますが、その中に「メメンとモリと汚い雪だるま」という話がありまして、それが何度読んでも涙が止まらなくなるのです。
内容はメメンとモリが作った雪だるまが溶けかかって汚くなってしまった話、です。私は北国に住んでいるので汚い雪だるま自体は実際見ていますが(雪の降り始めの頃や春先の溶けて少なくなってきた雪で作ると大体土やほこりが混じったりして汚い雪だるまになりがち)そんな雪だるまの話です。
その雪だるまの言葉に「こんなはずじゃなかったって思うよね」というのがあって、その言葉にいつも昔の私の記憶が蘇ってくるのです。
「お前は(別れた実の)父親に似て全然ダメだ」「あんたは事務職が合ってるんだからそうすればよかったのに」「公務員と結婚したらいいのに」「s市からなんで帰ってきたの?向こうで就職して帰ってこなきゃよかったのに」「短い時間で終わる仕事なら、他に掛け持ちでもしてもっと働け」「これだから若いやつは信用できないんだ」…etc。
人生「こんなはずじゃなかった」だらけ。自分も家族も。
そんなものをずっと持ち続けていたからなのか、この雪だるまの話がとても刺さるのです。
それでも今の自分があるのはこの人生があったから。その時にその選択をしたから。辛かったことはまだ消えなくても、今は根拠のない希望を持っています。雪だるまが最後に大きな希望を持ったみたいに。
他の2つのお話もとても良いお話です。きっと子どもよりも大人に刺さるんじゃないかなぁと思います。
~後日談~
私に合うと言われた事務職ですが、やってみたら合いませんでした。やってみないとわからないもんですね(笑)。