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“知らないことに始まらない”《マガジン“新書沼にようこそ” vol.19》
『女性天皇』/瀧浪貞子
推古以来、飛鳥朝から奈良朝にかけて、六人の女帝たちが誕生した。これほど多くの女帝たちが集中して登場した時代は、世界史的にみても例がない。女帝が役割を終えるのは、平安初期に皇太子制度が整備されたことによるが、女帝はどうしてわが国に、それも古代に集中して登場したのか。皇位継承の中で果たした女帝の役割は、何だったのか。元明天皇即位の詔に出てくる「不改常典」という言葉に隠された、真の意味とは?本書は、女性天皇という存在に光を当てることで、古代の王権の知られざる相貌を浮き彫りにする。皇位継承のルールを解き明かした、新たな古代日本史。
実は、大学生の時の学部が史学系で、日本史好きなのです(特に飛鳥~鎌倉時代が好き)。
なので、天皇についてもある程度、勉強はしたわけです。
(日本書紀読解のゼミ…しんどかった……)
でも女性天皇とか、女系天皇とかって、歴史というよりはジェンダー論とか、イデオロギーとかの話になってしまいがちなので、なかなか発言しにくく紹介するの避けていたのです。
が、こちらの本の視点で、面白いなと思う部分があったので一部ご紹介。
奈良時代の女性天皇と藤原氏との関係は対立構造で描かれてることが多いように思うのですが、こちらの本では必ずしもそうとは述べられていません。
特に元明天皇から元正天皇(氷高皇女)という母娘の帝位継承というのは、藤原氏を外戚とする首皇子(聖武天皇)へ帝位を譲らないためとされているものが多く見受けられます。
しかし、こちらの本では以下のような記述が。
氷高の役割は首皇子の即位を実現することであり、そのために要請された女帝であった。
そして聖武天皇の専横的な性格として、よく語られるエピソード。
自分の母親である藤原宮子を、慣例を破り「太夫人」と称すように勅命した件に関しては、本書では以下のように解説されています。
律令の規定に従えば天皇の実母である宮子を「皇太夫人」と呼ぶべきことを、聖武は百も承知していたはずである。むろん宮子をそう呼んで法的に何の不都合もない。にもかかわらず、聖武は、その「皇太夫人」の称号を宮子に与えることを憚ったのである。
これ、ちょっと目から鱗でした。知っているつもりで、まだ知らないというか、ひとつの解釈に凝り固まっていました。
古代〜中世くらいまでは史料が少ない分、状況証拠での解釈も生じてきます。
それが面白いところなのですが、同時にストーリーを作り過ぎてしまうことにも気をつけないといけないなと。
フィクションとして語られる古代史の面白さと、史料などを基に歴史を考えていく面白さ。
合わせて楽しんでいきたいです。
ちょっとマニアックになってしまってすみません。
歴史の見方の楽しさ、味わえるこちらの本、よかったら手に取ってみて下さい。
女性天皇を描いたものといえば、こちら。
こちらは強い女帝を描いたフィクション。
讃良さまかっこいい!
最後までご覧下さり、ありがとうございました。 どうぞ素敵な読書生活を👋📚
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![樹田 和(いつきた なごむ)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/116269602/profile_b39940078aa0d9dd9f359dc3fd9dff03.png?width=600&crop=1:1,smart)