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“あなたはけしてひとりじゃない”《マガジン“新書沼にようこそ” vol.18》
『人体常在菌のはなし』/青木皐
見えないイコールいない、ではない! 菌=バイ菌=悪い汚いヤツ、というのは過去の常識。さらに菌は腸内のみならず皮膚にも棲みついていることを知ってほしい。周知となった腸内細菌における善玉菌と悪玉菌の理論は、そのまま人体表面の皮膚常在菌にもあてはまり、常在菌との共生こそが健康で快い生活の鍵である。本書は「菌」を真中に置いて生活スタイルを見直し、善玉常在菌を育てよう、免疫もアレルギーもその観点から考え直そうと提案する、わかりやすい医科学的実用読み物。
出版年は2004年と古いのですが、内容は興味深い1冊。
皮膚にも腸内にもたくさんの「菌」がいて、生まれてから死ぬまでずっとそばにいる。
人の細胞より、もっともっとたくさんいる(その数100兆とか!)。
親密になった人同士(家族、恋人)はその常在菌同士をやりとりし合って、そして他人でなくなっていくとのこと。(私とツレアイが、肌や髪質はおろか、どうかすると視点や考えることまで似かよってきているのはそのせいかしら、なんて、惚)
一〇〇兆個の常在菌が身体にいて共存し、そのバランスを整えさえすれば、味方になってくれる。人間は一人ぼっちではない。こんなに心強いことはないではないか。
その常在菌というのは、先述のごとく、周囲の人や環境から受け取るもの。目に見えないレベルで本当に様々なものに支えられているということでしょうか。(ふとした疑問ですが、治療中などで無菌室にいるような人というのはどうなるのでしょう。周りは無菌でも体内ではやはり常在菌が頑張ってくれているのでしょうか?)
↑こういう調子で芉づる式に知りたいことが増え、本を増やす言い訳になっているのです…
「常在菌が喜ぶことが、私の喜び」、「私が楽しければ、常在菌も楽しい」という循環が大切だ。
この楽しさの循環があってこそ、共存共栄がうまくいく。
冗談ととられそうだが、真面目な話なのである。
何かをかわいがる、大切にするという気持ちは、人の心のイライラを鎮めてくれるものだ。
(中略)
発想を変えて、自分が主体となって、自分を大切にした方がよい。常在菌をかわいがる意識をもつことは、その手始めである。
具体的な常在菌をかわいがる方法、ここで全て詳しく述べることはできませんが、ざっくりと言えば次の2つが紹介されています。
「育菌」の第一段階は、常在菌が嫌がるものをなるべく遠ざけてやることである。
常在菌が嫌がるものとしては.紫外線や乾燥が挙げられています。
今でも紫外線カットや保湿の大切さはよく言われているので、その辺りはそれほど情報が古いわけではなさそうですね。
(ちなみに紫外線カットについては、極端に日焼け止めの多用を薦めるわけではなく、日傘などの使用も推奨されています。)
育菌第二段階は常在菌の好きなものを与えることである。
常在菌の好物は汗とのこと。そういえば最近、 汗をかく機会って減っているなと。意外と運動選手の肌が綺麗なのってそういうわけでしょうか?
本書では腸内常在菌の育菌の方法としての食材や食べ方、皮膚の常在菌の育菌のための入浴やスキンケアなども紹介されています。
基本的なスタンスとして、以下のように述べられているところが安心感。
「健康のために」好きなものを無理に我慢して、ストレスで病気になるのもばかばかしい。
「健康のためなら死んでもいい」という人もいるかもしれないが、まあ、あまり神経質にならないことだ。
最近の新常識も知りたいですが、色々と含蓄ある話も多く、実践できそうな程よいゆるさが、読んでいて「快い」本でした。
ちなみにこの本から興味が派生して、以下の2冊をただいま積読中。
こういうことするから、本が減らないんですってばw
最後までご覧下さり、ありがとうございました。 どうぞ素敵な読書生活を👋📚
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