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“天才vsアイデアマンvs凡人”《マガジン“新書沼にようこそ” vol.8》

『天下人の日本史』/本郷和人

動乱の戦国時代を勝ち抜き、天下を握った武将たち。日本史上、初めて天下を見据えて戦を行った織田信長。信長の後を継いで天下人として統一政権を作った豊臣秀吉。秀吉亡き後、戦国の世を終わらせ太平の世を築いた徳川家康。人気の歴史学者が「信長=天才」「秀吉=アイデアマン」「家康=普通の人」といった三者三様の天下人像を描き出すと同時に、「天下」とは何か、ひいては「日本」という「国のかたち」を考える。

裏表紙より

本郷和人氏は専門の日本中世史に留まらず、様々な『日本史』シリーズを著わしている天下の東京大学史料編纂所教授(妻の本郷恵子氏も同研究所で、かつ上司というところが好き)。

本書は少しだけ著者の専門とする時代から進んだ、いわゆる安土桃山時代あたりを「天下人」をテーマに語る一冊。

そもそも天下人とはなにか?

日本をひとつの国と考え、これを本当にひとつにしようとした者たち、それこそが天下人だったと言えるでしょう。

p219

本書の最後で、本郷氏は上記のように「天下人」を定義しています。
確かに信長も家康も(秀吉にそういう外国の人と触れ合う機会があったか寡聞にして知りませんが)近くに大航海時代でヨーロッパなどからやってきた宣教師と会って話しているらしいし、尾張国とか三河国とかより、もっと大局で日本とか世界を見ることが出来たのかなとは思います。
まぁ、他のキリシタン大名も当然宣教師等と会っているわけで、それらの大名が天下統一できたかというとそういうわけではないわけで。
今更だけど、信長、秀吉、家康はやはり突出した存在だったのかなとは思うわけです。
特に時代は勝者が作る原理から言えば、徳川家康の名がある程度残るのは当然として、信長、秀吉の名が今でも「天下人」として認識されるのは、やはり傑出していたと言わざるを得ないのかなと。

「天下統一」というビジョンを打ち出した天才・織田信長。そして、そのビジョンを引き継ぎ、持ち前の才覚でこれを具体的に実現したアイデアマン・秀吉。
この先行する天下人のビジョンとアイデアを引き継ぎ、これを統治システムとして完成させたのが、三人めの天下人・徳川家康でした。

p212

本書での本郷氏の語る三者のイメージは、奇を
てらったものではなく、一般的に言われるイメージに近いと思われます。
俗に言う「織田がつき羽柴がこねし天下餅」というあれです。
その中でやや徳川家康に対しては、普通の人だったからこそという評価。狡猾な狸親父っぽく描かれることが多いけれど、そこまでではないように語られています。

ですから、私は大前提として家康善人説の立場を取っています。言い方を変えれば、それは残忍かつ狡猾、あるいは天性の才を発揮するようなタイプではなく、こつこつとやっていく平々凡々とした「普通の人」、もっと言えば「凡人」です。やはり優秀な人間は、善人や悪人という枠を超えたところにあるのでしょう。そのため、時にはとんでもなく残忍で狡猾にも思え、とんでもなく聖人のようにも見えるわけですが、家康にはそういう印象はありません。

p214

ちなみに個人的には昔から信長好きだけど、絶対周りにはいてほしくないタイプだなと。
即クビはねられる未来しか見えません。

昔は徳川家康が人気だったと思います。
団塊の世代の本棚に必ずこれあったと思う。

それかこっち(もう戦国時代と関係はない本ですみません)

なんとなくですが、今のご時世は尊ばれるのは、信長か秀吉タイプなのかなぁ。
それともやっぱり家康なのでしょうか。

ちなみにフィクションですが、秀吉描いたもので私はこちらがお気に入り

黒秀吉です。
さすがの山田風太郎、陰謀論マシマシでフィクションとしてかなり面白いです。

あと戦国時代関係だとこの漫画も好きです。

ツッコミどころ満載ですが、結構マニアックなので、この時代好きであればあるほど面白いかも。


歴史は好きなのでつい長くなりましたが、最後までご覧下さり、ありがとうございました。 どうぞ素敵な読書生活を👋📚

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樹田 和(いつきた なごむ)
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