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今そこにある危機(感)


執筆に数ヶ月を費やした、とっ散らかった長文です。
全く面白くないくせに、不安や不快を煽ります。
ただ、観光関係者や経営者の方には、読んでほしい気持ちと、読んでほしくない気持ちが半々です。
気になって読まれるのなら、心して読んでください。
批判、苦情は受け付けませんので、あらかじめご了承ください。

夏を終えて

夏休み、当店にもたくさんのお客様にお越しいただいています。

…と書いていたのですが、その夏も終わりました。
実はこの記事を書きはじめたのは、7月末。
何度か手直ししながら、9月も終わり、10月になってしまいました。

消費税が上がり、秋と共に景気も冷え込んでいくのでしょうか。


このままお蔵入りしそうでしたが、以下、何とか修正しながら進めていきます。

お陰様で、この夏も沢山のお客様にお越しいただきました。夏の暑さが厳しくなると、涼を求めて避暑地である蒜山は賑わいます。
観光地でお商売をする店としては、書き入れ時となります。

今年も、週末やお昼時には行列ができるようになり、観光地として賑わう蒜山となりました。
さらに嬉しいことに、ここ数年は、平日も賑わうことが増えてきました。
常連さんに加え、サラリーマンやお仕事の方々が頻繁に通ってくれるようになっていて、手ごたえを感じています。
数年前は、「平日はのんびり、土日で勝負」という、振り幅が大きい商売でしたが、今はその落差が緩和されて来ました。
観光客や一見さんに依存せず、悠悠のことを好きでいてくださる方で席を埋めたいと思ってやって来たので、本当にありがたいと思っています。

そんな順調に来ていると思っている中で、7月の売上を見たところ、あることに気がついてしまいました。

順調なのか?

豪雨災害の影響で売上が大きく下がった昨年(2018年)の7月と比べると、売上は大きく上がっていました。
しかし一昨年(2017年)の数字を見てみると、今年(2019年)はその数字に全く追いついていないのです。
先述した通り、順調に来ていると思っていたので、この数字は想定外でした。

毎日の忙しさでクタクタとなると、肉体的疲労で、人は満足しがちになります。
しかし、お商売をしている上で大事なのは「満足感」でなく「数字」です。
経営する上で、ここを見誤ってはいけません。

詳しく見てみると、2年前に比べ、平日の数字はしっかりと伸びて、2〜3割増です。
しかし、土日の数字は、明らかに落ちているのです。

7月を振り返ってみると、土日には11時の開店から行列ができていました。ただその行列も、昼過ぎには落ち着いていました。
しかし、2年前の数字を見ると、閉店まで混雑していないと出せない数字が並んでいます。

ならば8月はどうかと見てみると、営業日数は同じなのに、やはり昨年よりも減少していました。(※追記 9月は昨年並み)

右肩上がりを目標にガムシャラにやって来ましたが、頭打ちどころか、右肩下がりにシフトし始めていたのです。

様々な要因が考えられますが、当店の集客力が落ちたと言われたらそうかもしれません。

ただ平日の伸びを考えると、他にも原因がありそうです。
超繁忙期に3時間お待たせした過去がありますが、その時は蒜山に渋滞が起き、人が溢れ、どのお店もキャパオーバーしていた印象があります。
最近、そこまでの混雑した印象がないので、
「蒜山の観光客が減っているではなかろうか」
という仮説を立ててみました。

そこで、この統計をご覧ください。

真庭観光局が出した、2015〜2018の観光入込客数の推移です。

表によると、この4年間に蒜山の観光客数は、252万人から210万人へと右肩下がりに2割減っています。(真庭市全体では384万人→329万人 1.5割減)

2割というのは、かなりすごい数字です。

消費税が2%上がるだけで大騒ぎするのに、20%オフのバーゲン並みのパーセンテージです。
しかも、40万人減ということは、一人1,000円消費していたとしても4億円、一人5,000円ならば20億円!の減収となります。

「蒜山の観光客減少」という仮説は、あながち間違いではなさそうです。

この間蒜山は、岡山県の観光客数第2位の座を「後楽園・岡山城周辺)に明け渡しています。(1位は「倉敷美観地区」)
県南の観光地は、外国人観光客誘致のインバウトでしっかりと数字を伸ばしています。

観光バスによる団体旅行から個人旅行主流に変化した今、公共交通が整備されてないこの地の不利は明らかです。
他の魅力的な観光地やレジャーがある中で、そもそも選んでもらえないかもしれません。

当店のような田舎にある店は、観光客が来てくれてやっと成り立つわけで、観光客減少は死活問題です。

しかし、「ジワジワ」と減っているからタチが悪いのです。急激な変化はないせいか、周囲からは天気や気候の心配はあれど、将来を危惧する声はほとんど聴こえてきません。
だから、常温からゆっくり茹でられるカエルのように、気がつかないうちに手遅れになる可能性すらあります。

これも大変恐ろしいことです。

さらに

同時に考えなければならないのは、人口減少です。

次にあるのは、真庭市の人口推移のグラフです。

見事な右肩下がりとなっています。

この状況は、全国的な問題ですが、もともと人口が少ない田舎にとっては、目の前に来ている、いや既に始まっている問題であります。

ピーク時には約7万6千の真庭市の人口は、現在4万4千人、20年後は3万弱まで落ち込むと予想されます。
当店がある蒜山八束地域の人口は、2千5百人。高齢化率40%のこの地では、20年後は1千人減となっているかもしれません。
今でも人口が少ない田舎村が、益々さみしくなるのです。

人がいなくなるということは、消費する人がいなくなるということです。景気は当然冷え込みます。
景気が冷え込むと個人の所得が減っていきます。家計に余裕がなくなると、必要最低限の出費しかしなくなります。
外食やレジャーにお金を使うことは、益々減っていくでしょう。そこで、不景気のスパイラルに陥ります。

そもそも、働く人がいません。今でも人手不足の蒜山ですが、今後さらに加速していきます。
当店のような飲食店や観光業だけでなく、様々な産業で、後継者不在や労働力不足で、事業を断念する人も増えるでしょう。

特に、蒜山の主要な産業である酪農や農業ができなくなると、大きな影響が出ます。人手不足を機械化やロボットなどの先端技術で補える時代は来ますが、その導入には高額な投資が必要ですし、それを回収できなければ、廃業を選ぶ農家さんも出るでしょう。
それでも主要な生産品である牛乳や農産物は、技術革新を取り入れた農家さんで、守られるかもしれません。

しかし、何より避けられないのは、景観が失われることです。
高原を象徴する牧草地や里山の風景は、人間の手が入ってこその景色です。決して自然にできるものではないからです。

下の写真は、1930年代のものですが、これと比べると、現在の蒜山は明らかに牧草地や農地が減り、森林化が進んでいるのがわかります。
今よりも人口も労働力も少なかった昔に、この景観があったということは、農を中心とした暮らしがあったからでしょう。

これからは、少ない人口で、意図をもって、わざわざ景観を守っていかなければならなくなるのです。

「店もない、
名産品もない、
見所もない、
そもそも人がいない」

そんな蒜山に、人はわざわざやって来るでしょうか。

生き残りをかけて

こんな話を聞いて(読んで)も、
「何を言ようるんなら」
「どねぇかなるじゃろう」

と、おっしゃる方もいらっしゃるでしょう。

「そんなこたぁ、知らん」
という、自分の生活が精一杯の人も多いでしょう。

もしかして、私一人で焦っているのかもしれません。

でも、はっきり見えています。
直視したくない危機は、すぐそこにあります。
これから爆発的に人口が増えるわけはありませんし、他力本願のミラクルはまず起きません。
「現状維持は衰退」だと強く認識せねばならないのです。

ネガティブなことをクドクド書いたのも、その現実を知ってほしいからです。
不安を掻き立て、あえて煽っている自覚もあります。
そこまでしても、多くの人の心には届かないからです。

変化や成長を求めない人は、もしかしてそれなりに生き残れる世代なのかもしれません。
50前の私も、それなりに生きていけるでしょう。
しかし、あとの世代に、我々のしわ寄せを渡してはいけないと思うのです。

私には3人の子どもがいます。
彼ら彼女らに三代目として悠悠を継いでほしいという気はありません。
ただ大きくなった時に、誇れる故郷・蒜山であってほしいと思うし、悠悠を仕事として選択するのならば、働きがいのある魅力的な職場であり続けたいとも思うのです。
何より、この蒜山で生まれた「鶏肉でみそダレの焼きそば」文化を絶やしたくはありません。
その為に、現世代の我々がやるべきこと、やらなければならないことはあります。

幸いにも、蒜山には魅力的な観光資源があり、現状ではまだまだ人がたくさん訪れてくれています。
そんな今だからこそ、正しい方向性と適切な努力があれば、まだまだ生き残れると思っています。

そこに共感してくれる人と一緒に、動いていきたいです。

内需拡大、外貨獲得

長々と書きましたが、私が思う正しい方向性とは、「内需拡大、外貨獲得」だと思っています。
いや、それしかないと思っています。
それに向けて、適切に努力ができるかどうかが肝になります。

よく、「国が〜」「市が〜」「政治が〜」という人がいますが、行政が何とかしてくれる訳ではありません。「地方創生」という言葉が死語になりつつあるように、公共サービスを充実させただけでは地域活性は進みません。
資本主義経済の中では、地域活性化の成否に関して民間の活動が決定的だからです。
しっかり稼ぐ力をつけて、それぞれ自立した事業者が増えれば、活気のある地域となっていくはずです。

残念ながら日本は、目立てば叩かれ、稼げば妬まれるおかしな国ですし、特に田舎はその傾向が顕著です。
できれば平穏に目立たず暮らしたいですが、周囲に遠慮して、仲良しこよしで自滅していくのは、もっと嫌です。

ならばやるしかありません。
やることは、見えています。

破壊王 故・橋本真也選手の言葉を借りるなら、
「時は来た。…それだけだ」
なのです。

ということで、自分ができることをやって行きます。もちろん「内需拡大、外貨獲得」で。

これからはじまる「悠悠劇場 新章」を生あたたかく見守ってくだされば幸いです。

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