集団授業から個人レッスンになって、「授業準備」はどう変わった?
1. 授業準備ってどうしてますか?
1-1. 自己紹介
こんにちは!
フリーランスで日本語教師をしている「ゆうゆう」です。
毎日、自宅の一室からオンラインで日本語レッスンをしています。
日本語教師歴は6年ぐらい、
フリーランスになってからはだいたい1年半ぐらいです。
先月末からnoteを始めました。よろしくお願いします。
前回の記事、「わたしがフリーランス日本語教師になるまでのおはなし」を思っていた以上にたくさんの方々に読んでいただき、スキを贈っていただき、ありがとうございました。めちゃめちゃ喜んでます。
少しでも「なるほど」とか「そうなんだよねえ」とか「こんなこともあるんだあ」と、思っていただけていたら嬉しいです。
前回の内容を踏まえ、今回は、「フリーランスになってからのおはなし」を書こうと思ったんですが、振り返れば振り返るほどいろんなことが思い浮かんで、まとまらなかったので…。
まずは、「授業準備」にスポットライトを当ててみます。
というのも、
この1年半を思い返していて、特に「あっ!」ってなったのが、
「平日の夜とか週末に授業準備せんで済むようになったなあ」
「いろんな導入・練習の方法を試せるようになったなあ」
「その生徒さんだけのことを考えて準備するのが楽しいなあ」
「前は〈万人ウケ〉を狙ってたけど、今は一人にウケればええもんなあ」
ってことだったんです。
日本語に限らず、どんな言語や科目でも、授業をする立場の方なら、何かしらの「授業準備」が必要だと思うのですが…。
どんなことを意識して、どんなふうに、授業準備されていますか?
わたしの場合、以前、大学や日本語学校で集団授業をしていたときと、フリーランスになって個人レッスンをしている今とでは、「授業準備」にいろんな変化を感じているので、今回はそのあたりを掘り下げてみようと思います。
1-2. この記事で書くこと
この記事では、
わたしがフリーランスになってからの「授業準備」の変化について、
授業のために必要な準備が変わった
授業準備への時間のかけ方が変わった
例文や練習の作り方が変わった
の観点に分けてご紹介していきます。
大学や日本語学校での経験が生きているものもあれば、自己流のものもありますが、ぜひ最後までお付き合いください。
それでは、始めましょう!
2. 個人レッスンになって「授業準備」はどう変わった?
2-1. 授業のために必要な準備が変わった
どこでどんな授業をするかに関わらず、「授業のために準備をする」というのはもちろん変わらないのですが、「何を準備するのか」という部分に変化を感じています。
集団授業のときは、だいたいこんなことをしたり考えたりしていました。
…何だか、タスクが多いですね!💦
そして、事務的なタスクも多いですね!😲
これは、あくまでも一例ではありますが、「大学」や「学校」という環境で働いている以上、わたしたち教師はその看板を背負って授業をしているわけで、どうしても「授業内容そのもの」以上に、「学校という組織の中で動く」ことを、常に頭に入れておかないといけませんでした。
正直なところ、わたしはもっと「授業内容そのもの」に集中して、日本語教育活動に勤しみたかったんですが、大学や学校の「運営を学ぶ」という点ではかなり勉強になりました。
実際、カリキュラムやシラバスの作成、教材の作成、生徒さんのビザ関連のこと、進路のことなど、日本語教育をマネージメントするための知識や経験の幅を広げることができたし、これがなければ、フリーランスとしてやっていく自信もそこまで持てなかったかもしれません。
さて、一方、フリーランスで個人レッスンを始めてからの授業準備は、
… 授業の内容しか考えていないように見えますね!😗 笑
いや、実際そうなんですよね。ほぼ授業を作っている毎日です。
もちろん、個人契約の場合の契約書や領収書、報告書を作ったり、お金の管理、確定申告のための帳簿付けやレシート整理… なんて仕事もあるわけで、事務的なことも当然なんやかんやとあるんですが。
でも、圧倒的に、授業づくりに集中できる時間の割合が増えたのは間違いないと思います。
これは、フリーランスになりたかった理由の一つでもあるので、実現できている自分にとりあえず万歳しときます🙌
2-2. 授業準備への時間のかけ方が変わった
先ほども書いたように、授業準備の中身に変化を感じているのですが、それとは別に、「授業準備にかける時間」にも変化がありました。
端的に言うと、日本語学校のときよりも時間短縮できていると思います。
というのも、特にコロナ禍の状況で学校に勤めていたということもあり、オンライン授業やハイフレックス型の授業が多かったので、基本的に授業内容をすべて事細かくスライドに盛り込んでいたんです。
特に、ハイフレックス型の場合、対面とオンラインの両方の学生を相手に授業していたので、生徒さんの出欠確認や当日のお知らせをするだけでも時間がかかるし、たまに機材トラブルなどもあって、結構タイムロスがあったんです。
そのため、授業中に余計な問題や脱線を起こさないために、事前準備にかなり力を入れていた時期がありました。
この方針だと、そのスライドがもはや教案だったので、当日の授業はかなりラクになったのですが、その準備のための時間確保が大変でした。
常勤で、毎日授業もあって、事務仕事もあって、という中で、ボリューミーなスライドを作っていたので、平日の夜や週末の稼働も少なくありませんでした。
それが今では、スライドを作り込んでおかなくても、最低限必要なスライドを作っておくだけで、授業ができるようになりました。
その理由の一つは、レッスンの時間をすべてその生徒さんのために使えるようになったことで、事前に事細かくスライドを作り込んでおかなくても、その場でスライドに情報を追加することのできる余裕が生まれたことにあります。
出典は忘れてしまったんですが、以前何かの論文で、
といった内容の研究結果を読みました(なんとなくの記憶で、信憑性が薄くてすみません)。
要するに、「〈静的な情報〉と〈動的な情報〉をうまく組み合わせて、学生の記憶に残したい部分を強調することで、かなりいいスライドになる!」ということだと思います。
わたしも日頃、こういったことを意識して、事前に枠組みを作っておき、レッスン中に諸々加えていく、という方針でスライドを準備しています。
これが、「時間短縮」にも「授業のクオリティ向上」にも繋がっていると信じて、続けています。
その他、日本語学校のときは「漢字やって文法やって読解やって…」と、毎日結構ハードスケジュールだったので、その分準備も大変でしたが、今は生徒さんひとりひとりによってレッスン内容が違うし、人によっては「とにかくフリートーク!」とか「わたしの日記を読んでフィードバックしてください!」みたいな生徒さん発信のレッスンもあるので、こちらの準備時間が抑えられることも増えました。
このような、準備時間の短縮も、フリーランスになりたいと思った理由の一つだったので、これからも効率の良い方法を追求していきたいです!
2-3. 例文や練習の作り方が変わった
日本語に限らず、外国語に限らず、科学でも数学でも国語でも、「ルール」や「記号」や「公式」を使って、文を作ったり問題を解いたり事象を説明したりしますが、その「ルール」や「記号」や「公式」だけを見せてもどう使えばいいかわからなかったら意味がないので、そのルールの適切な使い方を見せた上で 実際にやってみる機会も提供することが重要だと思います。
これが、当たり前のようで、結構難しいんですよね。
教壇に立つ立場だと、たまに変なフィルターがかかって、「この文法ならこの例文でしょ!!」って思いこんで準備して、いざ、授業中に何かしらの欠陥に気づいて、「これ、生徒さんにとってはわかりにくかったか💦」とか「わたしの例文のせいで新たな混乱を招いてしまった、ガーン😨」ってなることありませんか?
わたしは学生時代の模擬授業のときからこういう類の失敗を結構してしまって、当時の担当教授に
って感じのことをよく言われて、
おっしゃる通りです先生、ってなってました😿
生徒さんの反応を正確に想定するのは極めて難しいのですが、少しでも精度を上げるために、自分が日本語を教えている環境に合う基準を持っておくことが大事だと考えています。
たとえば、文法導入のための例文を準備するとき、
教科書の例文だけ使うのか、オリジナル例文も作るのか?
教科書の例文を使うなら、全部ベターッと使うのか?
全部使わない場合は、どういう例文を選ぶのか?
どういうときにオリジナルの例文が必要になるのか?
その場合、どんな例文を作るべきなのか?
といった基準は、学校のカリキュラムや教材、教師のビリーフ、生徒さんの特性、授業形態、それぞれの状況によると思います。
わたしの場合、集団授業のときは、教科書の内容を網羅した上で、補足が必要な場合は補足する、という方針の学校もあったし、例文は自由に先生が準備してください、というパターンもありました。
また、集団授業の場合、「そのクラスにいるみんながわかりやすい例文を」という考えが前提にあったので、当たり障りのない無難な例文も多かったと思います。
また、日本の大学生や日本語学校の生徒さんが出くわすであろう状況を想定した例文も多かったと思います。
フリーランスになってからは、教科書をそのままベターッと使うことは少なくなりました。これは、その生徒さんにとってしっくりこないものばかりを導入時に提示するのは効果的ではないと思ったからです。
かわりに、生徒さん一人ひとりの目的とレベルに合わせて例文をいくつかピックアップしたり、生徒さんの身の回りの状況を織り交ぜた例文を作ったりして、少しでも生徒さんの理解や記憶に繋がるように、と意識するようになりました。
こういった点で、集団授業のときよりも自由度が上がった授業準備は、フリーランスになってからの大きな変化の一つと言えます。
集団授業のときは、「だれにでも伝わる説明を」というのがモットーでしたが、今は「その人に伝わる説明を」というのが大事になりました。
たとえば、N3文法「〜に対して(対比)」を扱うとき、
教科書には、こんな例文が載っています。
この例文は、例えば高校生や大学生の生徒さんにはイメージしづらいのではないでしょうか(根本的に、今の御時世で男女を比べるような例文が適切ではない、という意見もあるかもしれませんが…)。
以前のわたしなら、
といった感じで、無難な家族ネタを使うことが多かったと思います。
でも、最近は、生徒さんそれぞれに合う例文を意識しているので、たとえば生徒さんが高校生なら、「学校にどんな先生がいるの?」と聞いた上で、
といった例文で導入を始めたこともありました。
また、「最近引っ越した」という生徒さんがいたので、前のアパートと新居の似ているところ・違うところを話してもらったあと、それをもとに生徒さんといっしょに、ちょっと長めの文章を作ってみたこともあります。
他にも、アメリカのシアトル在住の生徒さんから、「弟が住んでいるワシントンD.C. とは全然天気が違うんです!」という話を聞いていたので、
のように、実際に生徒さんから教えてもらった話を使うことが多いです。
もちろん、導入後、文法の概念がある程度理解できたら、いろんな文脈に触れて、知らないことにも興味を持って、さまざまなタイプの文に当たる必要があります。
でも、導入するときは、「わかる!」とか「それ知ってる!」と思えることが大事なので、生徒さんに都合の良い例文を作るようになりました。
そのために、普段の雑談をとっても大切にしています。
雑談の中には生徒さんのいろんなエピソードが詰まっているので、例文や練習を作るための材料の宝庫なのです😉
3. まとめ
この記事では、集団授業から個人レッスンになって、「授業準備」にどんな変化があったか、についてご紹介しました。
わたしの場合は、個人レッスンになってからのほうが自由度が上がり、授業内容の準備にも集中できているし、新しいことも試せているので、今の働き方が気に入っています。
ただ、これは、あくまでも一個人の考えですので、教師の方それぞれにとってしっくりくる働き方があったらいいな、と思っています。
今回の記事は、全体的に「いい方の変化」が多めになったので、
次回は、フリーランスになってからの「大変な方の変化」について書いてみようと思います。
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