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季節感をくれるのは実は季節じゃない
すごく間が空いたnoteになってしまいました。11月が終わるまであと今日を入れて四日。その間に3本noteを書くという目標をここに宣言してがんばれるようにしたいと思います。
何をしていたかと言うとずっと仕事してたんです。それでもnoteは書けたんじゃないかと思うんですが、なぜか書けなかった。
どう言葉にするといいのかなとずっと考えていたんですが、
SNSを見ていると「言葉が吸い取られる」感じがして、自分の中に言葉が溜められなくなっていた、という状況でした。
自分の好きな書き手さんや、いつも楽しいFBの投稿を見せてくれていた友達も、最近なんとなく「何も書かない」状況になっていたりして、どうしてかなと思っていたのですが、似た枯渇感のなかにいるのかもしれません。
もちろん全然変わらぬペースで書き続ける人もいて、心底尊敬します。そういう人が活力と創造の土台を支えてくれているのだろうと思うけど、きっと順番で休むタイミングが来るのでしょう。
言葉が吸い取られる感じがする、という感覚から距離を置こうと、仕事に集中していました。その仕事が昨日今日でやっと終わりそうなので、四日かけて3本のnoteを書こうと机につく・・・・そんな朝なのです。
そんな朝にふわっと思ったことは、【季節感をくれるのは実は季節じゃない】ということ。
せっかく早起きしたんだから、美味しいコーヒーでも淹れようと思ってキッチンに立ち、手に取ったのはアシスタントさんが10月に送ってくれたカルディの「ブラックハロウィンブレンド」。
11月末にハロウィンって・・・また変なズレかたをしてしまった、とふふふと笑ってお湯を注いでいたとき、もくもくとした湯気とコーヒーの香りと一緒に、たくさんの顔が浮かびました。
会うたびに、その季節の小さなお菓子をくれていた友人。
季節ごとに、そのときのフルーツを差し入れしてくれたアシスタントさん。
打ち合わせの時に流行りのケーキを持ってきてくれていた編集さん。
寒くなる時期にからなずハンドクリームをくれていた女の子。
ああ、会ってない。会ってないなあ。
そうか、と思います。
外に出ることが少ない私に季節を教えてくれていたのは、その人たちだったのです。
ドアを開けるたびに一階進む冬へのエレベーターに北半球に住む私たちは一人残らず乗っていて、季節を感じないわけはないのです。でも季節感ってそういうことじゃない。
季節をどう受け止めるか、季節をどう楽しむか、季節をどう分かち合うか。
季節の感じ方を他の人と顔を見合わせて持ち寄ることが「季節感」をくれていたんです。
何かの出来事がワッと起こって、自分にも思いが生まれて、
でもその想いを言葉にしようとデバイスを手にSNSの画面に行くと、先にワッと世の中に溢れた言葉を浴びてしまう。
「私が書く必要はないな」「似たようなことを書いてる人が他にもいるな」と、自分が言葉にする意味が感じられなくなって、言葉を紡ぐというテーブルにつけない。
霧散した思いは「何かを感じた気がする」という残骸しか残さずに、自分の中に虚無が広がっていくのばかりが感じられる時間。
そこで吸い取られていたのは「出来事に対して反射で発せられる言葉」でした。
「言葉が吸い取られる」のではなくて、私自身が「反射で発せられる言葉」以外の「言葉」を失っていたんだろうと思うんです。
では「反射で発せられる言葉」じゃない言葉とはどんなものか?
美しいものも、醜いものも、不快に感じられるものも、なんでこうなってるのか意味がわからないものに対して
「なんでこうなのか」「誰のどういう意図でそうなっているのか」「どういう理屈でこれがそう感じられるのか」という考察を添えられた言葉、
インプットとアウトプットの間に高低差を出せる言葉なのではないかと思うのです。
「言葉が吸われる」なんて言ってSNSのせいにしていましたが、自分のパワーがどこかにいっていたのでしょう。高低差を出せるくらいまで考えるパワーが。情けない限りですが、情けないところも文章にしてピンで留めておきます。
ハロウィンブレンドのコーヒーをサンタクロースのマグカップで飲んで季節のバトンタッチが行われました。
まず目の前の移りゆく時間を大事にして・・・なんて当たり前のことを言う前に、自分の心が動いた事柄を恐れず文字にしていけたらと思います。
ちょうど一杯のコーヒーを飲み干しました。みなさんの1日に幸多からんことを。
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末次由紀のひみつノート
漫画家のプライベートの大したことないひみつの話。何かあったらすぐ漫画を書いてしまうので、プライベートで描いた漫画なども載せていきます。
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