働く人と触れ合っているうちに、その街が好きになった

会社の近くに見つけた靴のリペアをしてくれるお店。

初めての時は擦り減ったソールの交換をお願いした。
数か月してなかなか擦り減らないことに驚いた。
ずいぶん色々なお店にお願いしたけれど、こんな風に感じたのは初めてだった。
きっと質の良いソールへ交換してもらえたんだと思って、嬉しかった。

今回はまとめて３足お願いした。
靴底だけでなく、なんだか全体的に新品の時よりも良い靴に生まれ変わってる気がした。

靴を見て思った。
今後靴を買う時は、今まで何度も迷っては諦めていた素敵なデザインで仕立ての良い靴を買おう。

このお店で直してもらえるなら、直してもらいながら長く大切に履けるだろうと思えた。だから、安心して靴を選べる気がした。

素敵な仕事だなと思った。私もこんな風に誰かに喜んでもらえるように仕事をしていきたいと思う。
期待されている以上の仕事をする、昔誰かから聞いたことがあるけれど、求められていること以上に素晴らしい仕事をするってなかなかできないことだと思う。でも、それが人を喜ばせることなんだと思った。

そして何よりお店の方の雰囲気がとても感じが良くて、受け取るだけの短い滞在時間だけど、雰囲気が心地良い。
預かってもらっていた靴は丁寧に私の手元に返されて、またここにお願いしたいなと思いながらお礼を言ってお店をあとにする。

転職してこの街で働くようになって気が付けば今日から5年目に突入。

この街には私の好きなお店が他にもたくさんある。

オーガニックのお野菜を売るお店、一杯500円のとっても良心的で元気なお蕎麦屋さん、呉服屋さんや定食屋さん、おでんやさんにこだわりを感じる古風な喫茶店。

みんな5年前は知らなかったけど今では大好きなお店。

忙しそうに笑顔で働くお母さんや、すこしぶっきらぼうだけど入荷した美味しい果物やお野菜を勧めてくれるお店の方、無口だけど笑ってくれるようになった八百屋のおじさん、こだわりの珈琲を入れてくれる喫茶店のマスター、みんな魅力的な人ばかり。

私の好きなお店はみんな一生懸命に自分の仕事をしている。

毎日のお昼休憩のほんの１時間、私はこの街で働く人からエネルギーをもらう。そして、そのおかげで4年間仕事を続けることができた。

人生の意味は、自分自身の才能を見つけること。人生のパーパスは、その才能を表に出すこと。

パブロ・ピカソ

そんなときに出会った言葉と、今日の気持ちが重なった。