未来 2024年8月号 掲載8首
高田馬場にキックボードは疾駆せり孔雀の羽の七彩に照る
しらじらとはだれ残りて春風は呉羽枝垂の銀朱に戯ゆ
雷のごと椿落ちたり朱殷なる棗夾核桃食みゐる汝に
退紅に華為技術に咲く睡蓮の花の静寂よ百音鳥は飛ぶ
もの甘き木蓮の馨よ汝が陰に空色鼠の雪は溶け初む
冒菜を夜の屋台で食みをれば槿はなほも卵に肖たり
馬酔木はや散るらむと聞く春の日に透明サボテンのごとく陽は透く
春の日に夕雷は鳴る沛然と降る催花雨のやがて止みたり
メモ
海彼通信より
「桜井さん、植物や事物の取り合わせが鮮烈。触覚をもう少し演出してもいい。四首目などおもしろい。」
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