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「シー・ハルク」の怒りを抑える力

映像作品を見るのが好きです。
映画とかドラマとか。
時々、アニメ。

今までは単にエンタメとして楽しんでいました。
「あのアクションすごいな!」
「伏線回収が素晴らしい!」
みたいな。

ですが、最近はエンタメ要素だけではなく、作品に影響を与えている背景にも注目するようになりました。

ちょっとわかりにくくなってしまいましたね。
「作品に影響を与えている背景」について、具体的に説明したいと思います。

例えば、ノーミーツが公演を行った「門外不出モラトリアム」という作品。

あらすじは以下のようになっています。

みんなが家から出なくなって4年。
入学からフルリモートのキャンパスライフを送った私は、実感の湧かない卒業を間近に控えていた。

もし、もう一度、家から出られなくなったあの日からやり直せたら、あのささやかな恋も、実ったのだろうか。
あいつがいなくなることも、なかったのだろうか。
たとえバーチャルでも、これが私たちの青春。
だから、何度でも繰り返す。何年この時代に生きることになっても。この部屋から、未来を変える。

収束しない事態と、収束する運命に逆らう物語。

ノーミーツ公式HP:https://no.meets.ltd/works/moratorium/

この作品は、新型コロナによる影響を強く受けていることがわかると思います。

やはり、新型コロナに影響を受けている作品は多いです。
数年後にこのような作品を見返したときに、
「苦しい時代だったけど、乗り越えることができてよかったな」と思えるようになりたいですね。


他にも新海誠監督の「君の名は。」。

昔の恋愛ドラマでは、「待ち合わせ場所に相手が来ない」などのすれ違いが起こっていました。
しかし、今ではスマホが普及し、どこにいても気軽に連絡がとれる時代。
すれ違いを起こす自体ことが難しくなりました。

ケータイが普及した結果、“すれ違い”や“思い違い”が起こりにくくなり、それをもとにした恋愛ドラマが作りづらくなっている

「すれ違いもできない恋愛なんて」平成テレビ史から読み解く、恋愛とケータイの遷移:
https://www.neol.jp/culture/75219/

それに対して「君の名は。」では、スマホを持っていたとしても、気軽に相手に連絡することができないシチュエーションとなっています。
つまりすれ違いを作り出すことに成功しています。

「スマホの普及」が「君の名は。」を誕生させることになったキーワードとも言えるでしょう。


ここまで述べてきたように、
「今見ている作品に影響を与えているのは何だろう?」と考えるのは、楽しいです。


前置きが長くなってしまいましたが、Disney+で配信されている「シー・ハルク」についても、考えてみました。

ここから先は、作品のネタバレを含みます。

















シー・ハルクの怒りを抑える力

ハルクへと変身してしまうトリガーは、「怒りや恐怖を感じること」。
つまり負の感情です。
ブルース・バナーは15年もの歳月を費やし、負の感情をコントロールできるようになりました。

そしてこれまでの経験を活かし、ブルースはジェニファー・ウォルターズに対して、弁証法的行動療法などを伝授します。

しかし、いとも簡単にジェニファーは、負の感情に制御に成功します。

その理由は、彼女のこんなセリフからわかります。

怒りを抑えるのは得意だよ
いつもやってる
街でナンパされた時とかデキない男が私の専門分野に口を出す時とか
毎日怒りを抑えてる
でなきゃヒステリックとか面倒だとか言われてもしかしたら殺される
私は怒りを抑えるプロであなたより無限に経験してきた

「シー・ハルク:ザ・アトーニー」第1話 普通レベルの怒り

普通に生活していても、負の感情を感じる機会が多い
→しかし、その負の感情を表に出すわけにもいかず、コントロールするしかない
→だから、ジェニファーの方が変身をいとも簡単に制御できる
ということですね。

このシーンを通じて、

  • 女性にこのようなセリフを言わせてしまっていること(女性が不満に思うことが多い環境)

  • 「やっぱり女性は大変なんだな」と納得している自分がいること(「女性が不満に思うことが多い環境」ということを認識できている)

を思って少し悲しい気持ちになりました。

アメリカは日本と比較してジェンダーギャップが少ない国です。
(アメリカは30位、日本は120位)

それでも、女性にとっては思うところがあるんだな、と。

まだ1話しか配信されていないので、わからないですが、ジェンダー平等について描かれる作品になるかもしれないですね。

これからどのように展開していくのか、楽しみに見ていきたいと思います。

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