実験的タイポグラフィと欧文書体に関するツイートのまとめ(2018年10月〜12月)
自身のブログに公開した記事の転載です。
UIデザインにおけるタイポグラフィ(書体の選択、文字の大きさ、レイアウトなど、文字表現に関わる総称)において、私は読みやすさを重視しています。その一方で視覚的な面白さや表現の自由さもタイポグラフィの魅力であり、必要な要素だと思っています。
以下はタイポグラフィの表現力や視野を広げるために実験的に制作した作品や欧文書体についてのメモであり、2018年10月〜12月にかけてTwitterで投稿した内容をまとめたものです。
Neuzeit Grotesk
Neuzeit Groteskは、ジオメトリックよりのサンセリフ書体という印象を受けます。Neuzeit Groteskはウェイトが太くなっていくにつれて「O」の文字が正円に近づいて、ジオメトリック書体のような雰囲気になっていて面白いです。
Big Softie Fat
Big Softie Fatはラウンド系のサンセリフに分類される書体です。太めのフォントなので本文用にはあまり適さないと思いますが、見出しやアクセント的に用いると効果的です。丸みを帯びているため、大きく扱っても柔らかい印象になります。
Garamond URW Stencil D
Garamond URW Stencil Dはステンシル形状のセリフ書体です。本文用としての使用は状況が限られそうですが、文字を絵として表現したり見出しやアクセントとして用いたりすることに適した書体だと思います。
Codec Cold Logo
Codecは装飾的な特徴のあるジオメトリック書体です。意図的に違和感を表現したり、特別な印象を持たせたりする用途に向いています。主に見出しやアクセント、タイトルロゴとしての使用が適していると思います。
Sugo Pro Classic
Sugo Pro Classicは縦長で力強さがあるサンセリフ書体です。スポーツブランドやテクノロジーブランドの見出しやロゴに適していると思います。細い文字も揃っており、フォントファミリーで強弱をつけられることも魅力に感じます。
Bushcraft
Bushcraftは柔らかな印象のスクリプト書体です。文字の内側の空間が広いため、可読性が高く軽快な印象を受けます。カフェや工芸品、植物を対象としたデザインに馴染みやすいと思います。フォントファミリーにはサンセリフ体も含まれています。
MDL72(MODUL 72 DPI)
MDL72(MODUL 72 DPI)は大きな図形の組み合わせで文字を形作っている書体です。目を凝らして見ればようやく文字が推測できる程度に可読性が低い反面、視覚的な印象度が高いです。特徴的なグラフィックの見出しに適していると思います。
Blush & Bloom
Blush & Bloomはやわらかな手書き文字の書体です。大文字と小文字の大きさに差があり強弱のついた印象になります。手書き文字の本文書体としての活用の他、柔らかさやアナログ感を表現するロゴや見出しにも適していると思います。
Artegra Slab
Artegra Slabは文字の太さや形状が豊富なスラブセリフ書体です。基本の正体(Normal)に加えて長体(Condensed)や平体(Extended)、スモールキャップスも備わっており、見出しや本文など幅広い用途に適しています。
Baskerville URW
Baskervilleは本文用に設計された書体で、長文にも適しているとされています。Baskerville URWのフォントファミリーには文字幅が異なる書体が備わっているため表現の幅が広く、見出しへの使用にも適しています。
TT Commons
TT Commonsはシンプルかつ中立的ですっきりとした書体です。ジオメトリック書体の中では全体的にやや縦長の形状で堅実的な印象を受けるため、「先進的で堅実」や「軽快で堅実」といった表現に適していると思います。
Josephine
Josephineは太く丸みを帯びた形状の書体で、力強さと楽しさを感じます。太めの文字でありながら可読性も備わっている点が特徴です。コントラストが高い、はっきりとした配色との組み合わせで特に目を引きます。
タイポグラフィの違いによる印象の比較
ブラックフライデーセールを想定したタイポグラフィ作品を制作しました。対象とする商品、ターゲットの年代や性別、嗜好の違いを想定して、それぞれを異なる雰囲気で表現しています。同じ情報と同一の黒い背景色でも、タイポグラフィと配色の違いで受ける印象は大きく変わります。
最後に
今後も実験的なタイポグラフィ作品の制作を続けていきたいと思っています。作品はタイポグラフィアーカイブページとinstagramで随時更新中です。
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