#369 自分の「人生貸借対照表」を考える。自己資本を何の資産に変えてきたのか(仕事を始めてから)
いかがお過ごしでしょうか。林でございます。
昨日から、自分の財務事情を貸借対照表に当てはめて、貸借対照表と損益計算書の繋がりを改めて概念的に理解する思考のトレーニングをしています。
昨日は、社会人になるまでの人生において、親や国から受けた教育投資という名の他人資本を受けて行った学校生活を通じて、現在の自分の収入の基礎となるスキルにどのように変換していったのか、という点を言及してみました。
今日は、仕事をし始めてから現在に至るまで、貸借対照表の右側をどのような資産に変えてきたのか、という点に注目して考えてみたいと思います!
仕事を始めてからも存在する他人資本
まず、仕事を始めたての時の貸借対照表がどうなっていたのか考えると、右側の「自己資本」に該当する部分は薄く、「他人資本」としての長期借入金として、大学生活で前受金として受け取っていた奨学金という負債を残したままでした。
奨学金の月々の返済額はそこまで大きくなかったものの、同時に負債額もすぐに減っていくわけではなく、仕事をし始めても数年間は、下手すると10年弱の間、奨学金という負債の解消が発生していました。
特に20代は仕事が忙しくてあまりお金を使う暇もなかったので自己資本も徐々に蓄積されていきました。
ここも20代ではあまり興味やリテラシーが低かったことから、ほとんど銀行口座という大きな利回りが期待できない相手に貸付を行なってことになるのですが、途中で「こりゃいかん」となり、手持ち預金よりも大きな金額を投資信託などに回すようになりました。
実際に運用を始めると、当然リスクもあるわけですが、銀行口座に預けるよりも当然ながら大きな利回りを得ることができ、はじめて「金が金を生む」という複利の感覚を実感できました。自分の収入がどうこうよりも、マーケットビジネスで儲ける企業のリアリティがよく理解できるようになったのが学びになりました。
また、結婚してからは住宅ローンを組んで家を購入したため、この辺りは会計取引上にも現れてきますね。住宅ローンという名の巨大な長期借入金が「他人資本」として「負債」に乗っかってきて、貸借対照表左側の資産として「住宅」を手にすることになりました。
自己資本を投資して得た資産:20代は資格とスキル
まず、分かりやすいスキルとして自分のお金と時間を投資したのが、資格習得でした。ただ、私は資格に対してはただのエントリーゲートという考えを持っており、単純に資格があれば仕事に繋がるわけではないと理解しています。
一方で、エントリーゲートではあるので、対象の業界で標準的に必要なスキルを習得することで、その世界で当たり前に使われている言葉を理解できるようにはなるので、実務で活躍できる可能性は、資格なしよりも当然上がる。英語系の資格(TOEICやTSSTなど)は、グローバル領域で仕事させてください!と社内でお願いした時に、当時3年目社員とかで発言権が強くなかった弱者の自分としては、会社と交渉の際の大きな武器にはなりましたから、後のグローバルキャリアを歩んで行くための切符を手にするための初期投資、という気持ちで、オンライン英会話を1日1時間程度行い、TOEICも一時期は毎回受験していました。
私は若い社員の後輩には、特に勉強したほうがいいよ、と伝えていますが、これは自分も入社1〜3年目あたりで、情報処理試験に関しては高度資格を複数取得したことで、その後のキャリアにおける学びが複利で大きくなった実感があるからです。
例えば、これから「ネットワークスペシャリスト」という高度情報処理試験の資格を取るとして、20代前半でも40代後半でも、大して勉強量って変わらないと思っています。もちろん、実務を通じて蓄積した経験がある分、40代後半になってからのほうが理解しやすい面はあるものの、資格試験の特徴を考慮すると、実務だけやっていれば資格が取れるかというとそうではありません。
同じ量を勉強しないといけないのであれば、早いうちに知識を習得して得られるリターンの期間が長くなる若いうちに勉強してしまったほうが良いのは明確です。しかも、ライフステージ上も比較的自分で自由に使える時間が多い10代、20代のうちに専門知識を理解したほうが、後に社内の昇格条件上必要になって無理くり時間を作りながら勉強するよりも遥かに楽だと考えています。
このように、特に20代前半で得た収入は、自分のキャリアアップの土台となる「他人からも分かりやすいスキル=資格習得」などの勉強にあてました。
結果として、社内でも海外での面白い仕事にアサインいただき、アプリ開発における専門性を発揮しながら仕事の成果を出していくことができたので、自分の収入を増やしていく循環も作っていけました。
自己資本を投資して得た資産:30代は仕事以外の経験
20代は、かなり仕事にのめり込んでいましたが、30代に入って気付いたのは、目の前の仕事だけ一生懸命やっていても、人間としての深み・広がりが出てこないということでした。
20代では、仕事で繋がる人たちと良好な人間関係を作ってワイワイしているのが楽しかったし、後輩よりも先輩が多かったので、面白い先輩と一緒にいるだけで面白いと感じていたのですが、徐々に自分の後輩と過ごす時間が増えてきました。
そうなった時に、「仕事の話しかできない自分」だと広がりがなく、これからさらに年代が上がって行った時に、後輩たちからも「つまらない大人」と認識されてしまうと感じ、仕事以外の世界の面白さをもっと知ろう!と感じるようになりました。
それまでも本を読むのは好きでしたが、意識したのは、普段の生活圏とは違う世界に住む人たちと話したり、現地に足を運ぶことです。
何度かご紹介している2週間の子連れ海外旅行シリーズはまさしくそれに該当しますが、もちろん毎回それなりにお金もかかるわけですが、外の世界を見てから日本で当たり前と認識されていることを捉え直すと、なかなかクレイジーだなと思わされる習慣や慣行って結構あったりするわけです。
20代〜30代前半までは、仕事のフィールドが海外だったので、自然と外の世界を見ながら日本のことも見れていたのですが、30代後半に差し掛かり自然体では外の世界を見ることが少なくなってくると、自ら自己資本を投資して経験や多様な価値観という資産に意識的に変換していかないと、どうしても感覚が鈍ってきてしまいます。
今の自分がもっと自己資本を投資していかないといけないと感じているのは、音楽や絵画といった芸術や文化を知るための投資で、「大人としての美意識」を鍛えて適正な価値基準のモノサシを持つことです。
音楽や絵画に対面した時に、その意味や目的を探ろうとするのではなく、ありのままを受け入れて感じる能力。これは、何かのフレームワークを勉強して、日々の生活のあれこれに適用することよりも遥かに難しいことだと感じています。
ただ、30代以降でより人間的な魅力と深みを磨いていくためには、仕事はそれほどにして、仕事以外に全力をかけられる大人になる、というのが個人的なテーマになっています。
これからも、収入の余剰資金として蓄積された「自己資本」を、より自分の人間性(=資産)を磨くための投資に回していきたいと思います。