#352 思考の原液、アイデンティティを形成するための発信。発信の究極的なターゲットは自分自身である
いかがお過ごしでしょうか。林でございます。
昨年秋に文章を書く場所をnoteに移してきまして、もうすぐ1年が経とうとしています。1年くらい、真面目に文章を書くことと向き合っていると、始める前には気付かなかった「書くことの効用」が見えてきたので、今日は「発信」が持つ最も大きな効用だと感じ始めている点について話をしてみたいと思います。
思考の原液を作る作業
私の場合、最近感じている最も大きな効果は、「発信」を通じて、自分自身の思考の原液を作っている、ということです。
発信の目的は人それぞれなので、最終的なアウトプットである記事は、人によっては、ここに完成形があり、完成形の質を高めることを主目的に置いている方もいると思います。
一方で私の場合は、毎日文章を書くことを優先しているので、一本あたりのクオリティにそこまで拘りきれないというのもあるのですが、毎日発信しているそれぞれの記事の内容は、完成形というよりも、ドラフトを書き上げている感覚に近いです。
時々、有料記事で出しているものは、割と自分の中でも一つの「完成形」として出せるなとか、万人に届けることで下手にミスリードされるのは割けたいと思うものになるのですが、そうでないものは、自分の頭にモヤっとある状態の考えを、一度平面の紙の上に並べて置いている感覚に近いです。
空気中にある水蒸気を含んだ気体の温度を下げて、液体にしているような感覚。
頭の中で目に見えないけれど、何となくそこにあるな、と感じる「気体」のような思考を捉えて、無理やり温度を下げるなりして「液体」として見える化しているイメージです。それが時には更に体系化・正規化できて、「固体」の形にしてアーカイブできる時もある。
つまり、自分がぼんやり感じていること、考えていることを言語化することで、自分の考え・思考を作り出す作業に近いと感じています。
私の考えでは、何となく感じていることや考えていることは、「気体」のように自分でも他人でも見えないうちはどうしようもなくて、それを「固体」の形にして、頭の引き出しに置いておくことが大切だと思ってるんですね。
特に、私は日々の仕事ではマネージャーの立場で仕事をしていますが、「あなたはどう考えますか?」をいきなり問われることが多いです。私は頭の回転が遅く、その場で柔軟に思考を巡らせられるタイプではないので、普段から考えておいてストックの形にしておかないと、その場ですぐに答えることができないのです。
先日も触れた通り、マネージャーが即断・即決できない時間は、チームが成果を出していく上でのボトルネックになりますから、即断即決するための考え方のパターンや、自分の中の優先順位・判断軸を固めておくという作業を普段から行うには、発信はものすごく良いトレーニングになっています。
アイデンティティを形成する作業
ここまでは、「自分の思考を固める」というインターナルな効果・目的について話してきましたが、それだけでは「毎日自分だけが見える日記を書くことでも達成できるのでは?」と考える方もいるかもですね。
考えていることをあえて「他人からも見える形」として発信することに視点をずらすと、「自分のアイデンティティを形成する作業」として捉えているのが最も大きく感じているところです。
例えば私の場合、「マネージャーは即断即決せよ!」とか「普段からの頻繁にチームメンバーに期待事項を伝えてフィードバックするのがマネジメントの仕事!」とか「組織図の中で自分より上のポジションの人ではなく、下のポジションをよく見て仕事しよう!(本来、そこに上下関係はありませんが、あくまで組織図を平面で捉えた時の便宜的な表現としての上下)」という内容で発信しています。
これは、自分の考えを発信することで同じように考える人や共感してもらえる人に考えを伝えるという面もあるのですが、それよりも「自分自身に対して、本来あるべきと考える行動方針を言い聞かせている」という面が実は大きいのです。
私も弱い人間ですから、例えば「即断即決しよう!」と言いながら、即断即決には自分自身に対する強いストレスももちろんあります。
特に、自分が決定者として参加する打ち合わせでは、15分なり30分なり、限られた時間の中でメンバーから入ってくる情報だけを元に判断をしなければならないシーンも多く、自分の決定一つでメンバーがその仕事に投入する時間や労力が決まることも少なくないですから、決断することって本当に難しいのです。
「決めてくれ」と言って相談に来るような話ですから、もちろん正解がない話ばかりで、いずれの案にもメリットとデメリットがあるような話ばかりです。短期的にメリットが大きい方を選ぶのか、長期的なメリットを取るのか。
「こうしよう!」と一度決めたことについても、打ち合わせが終わった後で「あの決定で良かったのだろうか?」と不安になってくることももちろんあります。
だから、決断には時間をかけたくなるのです。何も決めないのが一番楽なのです。
でも、それだとチームとしてのパフォーマンスが上がらないことを頭で理解はしているから、こうして発信することで、自分に鞭を打ちます。
この記事を読んでくれている方の中には、普段、近い場所で仕事をしている方もいるので、「あれ、林さん、即断即決すべし!って発信してるのに、普段全然決めないやん!」てなると自己矛盾ですよね。笑
言動不一致のダサいやつになるのは嫌だ!というプライドを利用した手法です。
今年の春に2週間の子連れオーストラリア旅行に行ったのも、年始に「行きます!」と発信したから実際の行動に移せたのが非常に大きくて、発信してなかったら、今も行ってなかったと思います。当時3歳と0歳の子どもを連れて、2週間休む仕事の調整をして、片道10時間程度のフライトに乗るなんて、あえて選ばなくても良いハードモードの選択ですからね。でも、実際に行ってみて、今でも事あるごとに家族とオーストラリアの話はしますし、行ってよかったと心から思っています。
ももクロの「走れ!」という歌で、「今はまだ勇気が足りない 少しのきっかけが足りない」という歌詞がありますが、自分自身で勇気ときっかけを作るのが、発信を通じて宣言してしまう、ということです。
発信の一番のターゲットは、自分自身
ここまで見てきたように、発信の一番のターゲットは自分自身です。
もちろん、多くの人に見ていただいたりリアクションをいただけることは嬉しいし励みになるのですが、一つの記事を書き上げて投稿できた時点で「発信の目的」は果たせているので、誰からも見てもらえない記事でも全然いいと考えています。
noteで言えば「スキ」の数やフォロワーの数が気になる方もいるかもしれませんが、まぁそこは全然気にしないことです。
内容が共感できるところが少なくてもスキが多い記事もあれば、内容が超面白くてもスキが少ない記事もあると感じたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私の場合は、そんなことよりも、発信を通じて自分の行動方針が決まり、言動一致になることを心がけて日々行動する。ここに一番の価値を感じています。
発信を通じて、行動する「勇気ときっかけ」を自分自身で作り、その通りに動けば、必ず人生に何らかの変化が生まれるはずです。
文章は、自分自身に向けて書いている、という感覚でちょうど良いのでは?と考えています。